綾小路くんがハーレムを構築する話
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元気系明るい美少女との約束 ボウリング編
4月上旬。
AM10:45
今日はケヤキモールの中にあるカフェに訪れている。ここは女子にそこまで人気のある店では無いが、店内の雰囲気と本を静かに読める空間が気に入ってる。
前回は鈴音たちのお陰で全く心が休まらなかったからな……
コーヒーを嗜みながらゆっくりする……これぞ理想の休日の過ごし方だと思う。ただ、今日の目的はそれではない。
綾小路「そろそろだな…」
スマホで時間を確認して俺はそう呟く。俺がここに居るのは理由がある。
それは……待ち合わせだ。
ある人物たちに遊びに誘われたから指定されたこの場所で俺は待っている。
約束した時間は11時。もう来ると思うが…
???『あ!清隆くん♪お待たせ~待ったかな?』
???『待たせてごめんね?支度に手間取っちゃって♪』
後ろから声を掛けられて俺は振り向く。どうやら、二人は一緒にここに来たようだな。
綾小路「いや、俺もさっき来たところだ……帆波、桔梗。」
一之瀬「にゃはは♪そう言ってくれると嬉しいな//////」
櫛田「私たちより早く来てくれてたんだね……嬉しいかも//////♪」
約束していた相手は学年屈指の美少女二人……帆波と桔梗だ。
可愛いらしい笑顔に加えて、春の季節にぴったりな私服コーデはとても大人っぽくて魅力的に見える。
まぁ、この二人なら何着ても似合うだろうが。
綾小路「……何が嬉しいんだ?」
櫛田「私たちより先に約束の場所に待っててくれたことがだよ//////!」
一之瀬「にゃはは♪」
綾小路「それくらい当然だろ?二人を待たせる訳にはいかないからな。」
一之瀬 櫛田「「……///////////」」
俺は実際、約束の30分前に来た。一般的には5分前行動と言うが……やはり、この二人を待たすのは忍びないからな。
いや、勿論誰が相手でもそうするけどな?
綾小路「何か頼むか?」
一之瀬「うん。私はサンドイッチとカフェラテにしようかな。」
櫛田「私も帆波ちゃんと同じのにしようかな♪」
二人の分の注文と同時に俺もコーヒーのお代わりと一緒にサンドイッチを頼んだ。
昼食には少し早いが小腹が空いたからな。
綾小路「ところで、今日は何処に行くんだ?」
櫛田「それなんだけど、帆波ちゃんと話し合った結果…」
一之瀬「久しぶりにボウリングに行きたいなぁって……どうかな?」
ボウリングか……波瑠加たちと行った振りくらいだと思う。
初めてやった時はそれなりに楽しめたのは覚えてる。
ただ……直ぐにコツを掴んでしまってストライク連発しないようにスコアをセーブしようと心掛けるのが大変だったな…確か。
綾小路「それで構わない。二人の行きたいところに合わせる。」
櫛田「やったね。楽しみ楽しみ♪」
一之瀬「にゃはは♪ありがとう、清隆くん!」
帆波が俺に笑顔を向けてお礼を言ってきた。それにしても……帆波は元気そうで良かった。春休み当初に出会った時と比べて表情が明るい。
帆波は、やはり笑顔が一番似合う。正直言うと今日二人に誘われた時、帆波の事が気になっていた。
今、見る限り無理して笑ってないのが伺える。とりあえず、良かったなと素直に思った。
俺たちは他愛ない雑談を交えながら、カフェでの時間を楽しんだ。
店員『ありがとうございました~』
一之瀬「んー♪今日良い天気だね~♪」
櫛田「ほんと、ほんと♪絶好のお出かけ日和だね!ねぇー清隆くん?」
綾小路「……そうですね。」
櫛田「あれ~清隆くん、どうかしたの?」
一之瀬「にゃはは♪なんか余所余所しいよ?」
俺たちはカフェを後にし、ボウリング場に行くため向かってる。
それは大いに結構なんだが……
ただ、この状況は非常に精神的によろしくない……何故なら…
綾小路「あー……ちょっとくっつき過ぎじゃないか?」
櫛田「え~そうかな?これくらい普通だよ//////?」
一之瀬「そうそう~//////♪」
綾小路「いや、でも……誰かに見られたら…」
そう……俺は今、非常に柔らかいものに包まれている…。
右腕に帆波が、左腕に桔梗が俺の腕を組む形で歩いてる。
特別歩きづらいとかでは無いが……この状況を他の男子に見られたら俺は2年に進級する前に抹消されかねさない…。
二人にはどうにか普通に歩いて貰いたいんだが…
一之瀬「ごめんね……嫌だよね?」
櫛田「……清隆くんの迷惑になるなら離れるね?」
明らかに落ち込む様子を見せてから上目遣いで聞いてきた。
無論、ここは離れて貰うのが得策だ。この感触から離れるのは正直言うと、惜しいが……
今回ばかりは、心を鬼にして強い精神力で断…
一之瀬 櫛田「「ダメ……かな…?」」
綾小路「ダメ……では…ないです。」
櫛田「えへへ♪ありがと、清隆くん//////♪」
一之瀬「にゃはは//////♪」
今回も美少女二人の破壊力抜群の上目遣いの前には……屈するしか無かった。
うん、まぁ、こうなるに決まってる。この二人から上目遣いでダメ?なんて事を言われてみろ?
断れる男がいるわけないと思う。
綾小路「ただ、あまり人目につくのは避けたいんだが…」
櫛田「んー……清隆くんがそう言うなら仕方ないね~じゃ、近道しよっか♪(チッ……周りに見せびらかして自慢する予定だったのに)」
一之瀬「さんせーい!確か、この裏から通れば近いよ?」
二人は裏通りに入る案を出してくれた。俺の意見を呑んでくれて助かる。これで、少なくとも誰かに会うことは避けれる。
この状況を見られたら時の言い訳は事前に用意出来てるが……
帆波たちと腕を組んでる状態を誰かに見られたら大変だ……早く裏通りに…
???『あれ~きよぽんじゃん?なーんで一之瀬さんたちと居るのかなぁ?』
裏通りに入ろうとした瞬間、後ろから声を掛けられた。
この愛称で呼ぶのは一人しか居ない。
一之瀬「あ!長谷部さん。おはよう♪」
櫛田「長谷部さん、おはよー♪」
長谷部「おはよー♪きょーちゃん、一之瀬さん、そして……きーよぽん?」
綾小路「おはよう……ございます。」
波瑠加は帆波たちに笑顔で挨拶していたが
……俺に向ける笑顔は引きつってるように見えた。
しかし、こんなところを波瑠加に見られるとは…
一之瀬「今日は佐倉さんと一緒じゃないの?」
櫛田「あ、確かに!」
長谷部「うん。今日は一人でブラッとうろつこうかなって思ってねー……きよぽんたちはどっか行くの?」
帆波たちと一緒にいるところを見られたとは言え、別にやましい事は1つもない。
ここはしっかりと事実を伝えておいた方が良さそうだ。
綾小路「今からボウリングに行こうと思ってな。」
長谷部「ふーん……その状態で?」
波瑠加は俺にジト目を向けてそう言った。
その状態……つまり、帆波たちと腕組んでる状態で行くのか?って事だろう。
どう答えるか……結局二人の上目遣いには敵いませんでしたなんて言い訳効かない気が…
一之瀬「長谷部さんも良かったら一緒にボウリング行かない?皆で行った方が楽しいし!」
長谷部「へっ?いや、でも…」
櫛田「せっかくだから一緒に行こうよ、長谷部さん!」
流石は空気を読める二人だ。
俺が返事に困ってるのを見兼ねて助け舟を出してくれるのは有り難い。
二人に誘われた波瑠加が出した結論は…
長谷部「んー……それじゃ、お言葉に甘えてお邪魔しちゃおっかな?私も交ざってもいーい、きよぽん?」
綾小路「勿論だ。」
意外にも波瑠加も一緒に行く事に決まった。
波瑠加が俺たちのグループ以外の誰かと行動するの初めて見る気がする。
櫛田「決まりだね♪じゃ、行こ行こ♪」
一之瀬「にゃはは♪早く行こ♪」
綾小路「……そうだな。」
長谷部「むー……」
二人は俺の腕を組んだまま歩く。波瑠加が現れてから腕を組む力が強くなったのは気のせいだろうか?ダイレクトに柔らかい感触が……
そう思って歩いていると……今度は波瑠加まで俺の後ろにぴったりとくっついてきた。一体何故だ…?
それのお陰で俺は両腕と背中がとても柔らかい感触に包まれ、非常に精神によろしくない状態でボウリング場に向かうハメになった……
ボウリング場。
店員『ごゆっくりどうぞ~』
俺たちは受付を済まして指定されたレーンに向かってる。
長谷部「おー…あんまし混んでないね?」
一之瀬「にゃはは♪ほんとだねー?」
櫛田「でもラッキーじゃない?」
綾小路「そうだな。」
春休みも残り僅かに差し掛かり混んでると予想したが、意外にも混んで無かった。
ここはボウリング以外にもダーツやゲームセンターもあるからそっちに流れているのかもしれない。
まぁ、何にせよ人が居ないのは好都合だ。
櫛田「最初、ドリンクバーで飲みもの取ってこない?誰か一緒に行こ!」
一之瀬「じゃあ、私手伝うよ!」
綾小路「そう言うことなら、俺も手伝うぞ?」
一之瀬「にゃはは♪清隆くんたちは待ってて!私と桔梗ちゃんで持ってくるから。」
櫛田「二人ともなに飲む?」
こう言うのは男の使命だと思って立候補したが……
ここは二人に甘えるとしよう。
長谷部「じゃあ、オレンジジュースでお願いしまーす♪」
綾小路「……メロンソーダで頼む。」
櫛田「りょーかい♪」
一之瀬「じゃあ、行ってくるね~」
二人はドリンクバーのコーナーに向かって行った。次は俺が持って来ようと思う。
波瑠加はスマホを片手に手を振ってよろしくね~と軽い感じで見送っていた。
すると……
長谷部「ねぇ~きよぽん♪ちょっちお話し聞いてもいいかな~?いいよね~?」
二人が完全に見えなくなった途端、満面の笑顔で俺の隣にやって来た。
それだけなら全然良いんだが……
笑顔で俺に話しかけるその姿が恐く見えた……何だか嫌な予感がする…。
綾小路「……何なりとどうぞ。」
長谷部「それじゃ、早速♪別にね?きよぽんが誰と遊んでてもそれは自由だし全然良いと思うんよ?ただね~……腕組んで歩くのはどうなのかなぁ?」
綾小路「それは……」
長谷部「そこんところどうお考えですか~?どうしてきよぽんはされるがままだったんですか~?」
俺の勘が無情にも当たってしまった。
口調はいつもの波瑠加と同じなんだが……言葉の節々に棘があるような気がする。
それに質問がよりによって答えづらい…
綾小路「えっと……その…断りづらかったといいますか…」
長谷部「うんうん、そうだよね~学年屈指の可愛い女の子に腕組まれたら断れないよね~?」
綾小路「……」
波瑠加は俺の考えを見透かしてるのだろうか?
全く、その通りなので俺は何も言えなかった……
そんな俺に対して波瑠加は呆れてるのか…それとも怒ってるのか……いや、どっちもか…。
長谷部「まぁ、いいや。今日は一之瀬さんたちに免じてここまでにしておいてあげる♪ただし~私のお願い1つ聞いて貰おっかな♪」
綾小路「……お願い?まぁ、俺に出来る範囲なら…」
長谷部「何にしよっかなー……それは後のお楽しみってことで♪」
一之瀬 櫛田「「お~い♪」」
波瑠加は二人が帰ってきたのを見て、俺から少し離れた。
いやに、楽しそうな表情を浮かべてたな……俺をからかう時の表情そのものだった。
一体何をお願いされるんだろうか?少し不安だ……波瑠加の事だから無茶ぶりも十分に有り得る…。
一之瀬「お待たせー♪」
櫛田「あれ?二人とも先に投げてなかったの?別にやってても良かったのにー」
綾小路「あ、あぁ…二人を待ってたんだ。」
長谷部「そうそう。二人ともジュースありがとね♪」
波瑠加は俺にウィンクを向けてそう話した。
そのウィンクがとても嫌な予感がしてならないが…
一之瀬「それじゃ、盛り上がってボウリングしよっか♪」
櫛田 長谷部「「おー♪」」
綾小路「おー…」
俺も一応、その場の空気に合わせて3人と同様に精一杯声を出した。
しかし、3人から元気無いと笑われた……俺的には頑張って声出した方だったんだがな…。
そんなこんなで一抹の不安を抱えたまま、ボウリングが始まった。
ストライーク!!!
一之瀬「にゃはは♪やったー!」
櫛田「帆波ちゃん、スゴい!これでストライク3回目だよ~」
長谷部「スゴいね~一之瀬さん。」
一之瀬「えへへ♪でも、桔梗ちゃんも長谷部さんも上手いね~?」
長谷部「あはは、そうかな~?次はきよぽんの番だよ~?」
何だかんだ始まったボウリングも楽しめてる。このメンツで遊ぶのは初めての筈なんだが、驚くほどしっくりくる。
3人とも明るいタイプだし、割りと馬が合うのかもしれない。ただ、誰かがストライクを取る度にハイタッチする儀式は慣れないが…結構緊張する。
帆波や桔梗はボウリング来慣れてるのか、相当上手い。波瑠加のスコアも二人より劣るが、普通に上手い部類に入るだろう。
対する俺はと言うと……
綾小路「……8ピンか。難しいな…」
櫛田「あ~惜っしい!」
一之瀬「にゃはは♪次はストライク取れるよ!」
帆波たちに気付かれないように上手いこと手を抜いてスコアを出す事に徹している。
それのお陰でスコアはこのメンツで最下位だが……仕方ない。
俺だけストライクを1度も取ってないのはカッコ悪いかもしれないが……そうでもしないと全部ストライクを取ってしまうからな…。
長谷部「んー……?」
櫛田「次、長谷部さんの番だよ?」
長谷部「あ!ごめんごめん。」
一之瀬「どうしたの、長谷部さん?」
長谷部「いやね?今日きよぽん調子悪いんかなぁって……思って。」
一之瀬 櫛田「「え?」」
波瑠加の一言で、空気が変わった。
これは、ちょっとまずいかもしれない……
一之瀬「清隆くんってもしかしてボウリング上手なの?」
櫛田「そういえば、清隆くんの投げるフォームスゴく綺麗だよね?」
案の定、二人から疑念を持ち始めてしまった。
綾小路「あー……そんなことないぞ?帆波たちの方が上手いと思うんだが…」
長谷部「でもさ~前に皆でボウリング行った時、みやっちと勝負してきよぽんストライク取りまくってたじゃん?」
綾小路「それは……」
一之瀬「にゃ?そうなの?」
長谷部「うん。みやっち…っていうのは私たちのグループの三宅くんのことなんだけど、ボウリングスゴく上手くて私教えて貰ったくらいだしね~」
櫛田「ちなみにどれくらいストライク取ってたか覚えてる、長谷部さん?」
長谷部「きよぽんもみやっちも7回くらいだったかな?」
一之瀬 櫛田「「な、7回?スゴーい//////!!!」」
綾小路「……」
せっかく、ここまで上手く誤魔化してきたんだが……波瑠加の記憶を蘇らせてしまったようだ。
以前、俺は波瑠加たちとボウリング行った時、確かに明人とスコア勝負をした。
明人と同じくらいのスコアを出せばいいだろうと軽い気持ちでスコアを叩き出した。
明人がボウリング相当上手い方だと知ったのは勝負が終わってからだった。
綾小路「あの時は偶々、上手くいっただけで…」
長谷部「あはは♪偶々なわけないっしょ~私たちに華持たせようしてるんでしょ?」
一之瀬「にゃはは~そうだったの?」
櫛田「私たちの為に……清隆くん優し過ぎだよ//////♪」
綾小路「いや、その…」
長谷部「ってことで~そろそろ本気出してね、きよぽん!きよぽんのストライク見たいし~//////♪」
一之瀬「う、うん!私も清隆くんのストライク見たいな//////♪」
櫛田「私もカッコいい清隆くんみたーい//////!」
今からでも調子悪いと言えばいいのだろうが……
もう状況的にストライク取るしかない流れだ、これ……
それに3人の美少女から期待の眼差し向けられたら何も言えない。やるしかないか…
綾小路「あー……一応、頑張ってみるがあんまり期待しないでくれ…」
一之瀬 櫛田 長谷部「「「頑張って~//////♪」」」
3人からエールを貰ったので俺はしっかりとストライクを狙うため綺麗なフォームでボールを投げた。すると、ボールは綺麗な軌道を描き……
ストライーク!!!
有言実行のストライクを取れた。
一之瀬「スゴいスゴーい//////♪」
櫛田「本当にストライク取っちゃうなんて……カッコいい~//////♪」
長谷部「流石、きよぽん//////♪」
綾小路「ふぅ……」
何とか格好はついたな……柄にも無く緊張した。
俺は安堵してそのまま座ろうとしたら…
一之瀬 櫛田 長谷部「「「………」」」
無言でハイタッチの構えを見せてきた。
俺もやれという事なのだろうか?
自分からするのは恥ずかしいんだが…仕方ない。
綾小路「い、いぇーい…」
長谷部「あははは、おっかしい♪きよぽん堅すぎでしょ~。いぇーい♪」
一之瀬「にゃはは、いぇーい//////♪」
櫛田「いぇーい//////♪」
波瑠加たちは笑いながら、ハイタッチをしてくれた。
自分からするのは初めてだから堅いのはしょうがないと思う…
まぁ、こういうノリもたまには悪くないかもな……
長谷部「ねぇねぇ、きよぽん~♪」
綾小路「どうした?」
長谷部「さっき話したお願い今、思いついたから聞いて欲しいなぁ♪」
一之瀬 櫛田「「??」」
俺の隣にやって来た波瑠加が笑顔でそう言ってきた。
ここできたか……一体何をお願いされるんだろうか?
話しを知らない帆波たちはキョトンとしていた。
綾小路「……お願いは何だ?」
長谷部「私にボウリングのフォームを教えて欲しいなぁ//////♪」
綾小路「フォーム?それなら前に波瑠加は明人に教えてもらっていなかったか?」
無茶ぶりだけは避けたい気持ちで恐る恐る聞いたら意外なお願いだった。
別にそれくらい全然構わないが……波瑠加は以前、ボウリングを明人に教えてもらって上達したと思うんだが…
長谷部「だって、みやっち口頭だけだったもん。こうすれば上手くなるぞ~みたいな事言って、後は自分でやってみろって感じだったし~」
綾小路「まぁ、確かにな…」
長谷部「きよぽんには実践的な感じで教えて欲しいんよ♪私もきよぽんみたいに綺麗なフォームで投げたいからお願い~!」
波瑠加は両手を合わせて可愛くお願いしてきた。
実際、もっと高難度のお願いされると思ったから助かる。
それくらいなら俺でも簡単に教えられそうだ……良かった。
綾小路「分かった。俺で良ければ教えるぞ?」
長谷部「わぁーい♪じゃあ、早くこっち来て~!」
一之瀬「……」
櫛田「……」
波瑠加にグイグイと背中を押されて、ボールを投げるポジションまで連れて行かれた。
その際、後ろの二人の視線が気になったが……
とりあえず、俺はフォームの手本を見せるように投げる構えをした。すると…
綾小路「それじゃあ……」
長谷部「あー違う違う!そうじゃなくって~…もっと私に近づいて!」
綾小路「ん?」
長谷部「私にこう……後ろから覆い被さる感じで教えて//////♪」
一之瀬 櫛田「「!!」」
帆波たちは驚いた表情でこちらを凝視していた。
えっと……覆い被さるってことはつまり…
俺が波瑠加に身体を密着してフォームを教えるって事だよな?それって俺にはハードル高くないか?そんな教え方しなくても伝わる気が…
長谷部「きよぽん、まだ~?はーやーく♪」
綾小路「あー……どうしてもその教え方じゃないと駄目なのか?」
長谷部「ダ・メ♪私のお願い聞いてくれるんでしょ~?どうしてもそれが嫌なら……違うお願いに変えてあげよっか?それでも私は全然良いけど~♪」
どうやら波瑠加が折れてくれる気配は無さそうだ……
お願いを変えたら、もっと難解な無茶ぶりが来るかもしれない。
波瑠加の様子からして十二分にあり得る。ここは…
綾小路「えっと……どう教えればいいんでしょうか?」
長谷部「ふふん♪そうこなくっちゃね~♪じゃあ~……後ろから私を支えて//////♪」
俺は波瑠加の後ろに回って、抱き締めるような形を取った。
こうでいいんだよな?何も間違ってないよな?
セクハラとか言われないよな?
綾小路「……こうか?」
長谷部「う、うん♪いい感じいい感じ~そのままで教えてね//////♪(や、やっばいね~これ?思ったよりきよぽんが近すぎて恥ずい…//////でも、これくらいしなきゃ二人に負けちゃうからね~!愛里がいない今は私がきよぽんを確保しとかないと!)」
一之瀬「にゃー……(いいなぁ、長谷部さん……私も流れで清隆くんにお願いしてみようかな//////?あんなに距離近いと心臓が持たないかも~//////)」
櫛田「むー……(くっ……その手があった!私としたことが、清隆くんに近づけるあんな簡単な方法を見逃してたなんて…羨ましいーーー!)」
うん……これ色々とまずいな…。自分からこの体勢に持っていってるのが恥ずかしい…
波瑠加のスタイルの良さがダイレクトに伝わる上に距離が近すぎて緊張する。だが、今は波瑠加の言う通りに従っておかないとな…
俺はこのままの状態で口頭で教えつつ、一連のフォームの動きをレクチャーした。
波瑠加は終始嬉しそうだった。俺をからかって遊ぶのがそんなに面白いのだろうか?耳が真っ赤なのは気になったが……
綾小路「……まぁ、大体こんな感じだ。」
長谷部「オーケー♪じゃあ、今の感じで投げてみるね~♪」
波瑠加は俺の教えた通りのフォームでピンに向かって投げた。
すると…
ストライーク!!!
ボールは綺麗な軌道で全てのピンを倒した。
長谷部「やった~ストライク♪きよぽんのお陰だね~ありがと//////♪」
綾小路「良かったな。」
波瑠加はストライクを取れて興奮しているのか、俺と何度もハイタッチを交わした。
上手く伝わって良かった。元より波瑠加はセンスもあったけどな。
とにかく、これで終わった……よく耐えた俺。早く座って休憩を…
一之瀬 櫛田「「きーよたーかくーん//////!!」」
いつの間にか俺の背後に居た帆波たちは笑顔で俺に話しかけてきた。
この流れはもしや……
綾小路「えっと……どうした?」
櫛田「長谷部さんだけだとズルいから~私たちにも手取り足取り教えて欲しいなぁ♪」
一之瀬「お願い出来ないかな//////?」
綾小路「二人とも俺が教えなくても十分上手いと思うんだが…」
一之瀬 櫛田「「……ダメ?」」
綾小路「ダメ……じゃないです…。」
一之瀬「にゃはは、やった~♪」
櫛田「えへへ♪ありがと、清隆くん!」
俺は最早条件反射のようにそう答えていた。
もうこれはしょうがない。この美少女二人の上目遣いに敵うわけない。
最早二人は俺が断れないと知った上での確信犯なのでは?
櫛田「長谷部さんに教えたみたいにやってね?」
一之瀬「にゃはは♪お願いします//////♪」
綾小路「……はい。」
長谷部「……(はぁー……ほんと女の子に甘いよね~きよぽんって…この女たらし!)」
結局、帆波と桔梗にも波瑠加と同じようにフォームを教えた。
教える際、帆波たちは自分から身体を密着してきた気がする。いや、気のせいかもしれないが……
波瑠加たちは俺のフォーム矯正のお陰かボウリングを終えるまで、ストライクを量産しまくっていた。
店員『ありがとうございました~』
一之瀬「う~ん!楽しかった~♪」
櫛田「ほんとほんと~♪来て良かったね~」
長谷部「きよぽんのお陰でボウリングめっちゃ楽しかったし~♪」
一之瀬 櫛田「「ね~」」
俺たちはボウリング場を後にして、並んで歩いてる。
波瑠加たちは終始楽しそうにボウリングの感想を言い合っていた。
あれだけストライク取れたらさぞ気持ちいいだろうし楽しかったと思う。3人が楽しめたなら何よりだ。
綾小路「……3人ともくっつきすぎじゃないか?」
櫛田「え~♪気のせいじゃない?(今日は中々アピール出来たかも//////♪これからもこれくらいの距離でガンガン攻めないとね~//////♪)」
長谷部「そうそう~気のせい気のせい~♪(やっぱ、私もついてきて正解だったね。次からは愛里と一緒にきよぽんの手綱しっかり握っとかないとね~他に負けるわけにはいかないし~//////♪)」
一之瀬「にゃはは♪(今日は本当に楽しかったな~♪清隆くんボウリングまで上手いなんてカッコ良すぎだね~//////♪今日は私にしてはアピール出来たんじゃないかな?恥ずかしかったけど…にゃはは//////)」
右腕に帆波、左腕に波瑠加、背中側に桔梗と3人とも朝よりぴったりとくっついてる気がする。
密着具合が半端ないんだが……そんなにくっつかれると色々まずい。
これ以上は俺の精神が持たない……勿論、嫌なわけでは全くないんだが。
櫛田「ねぇねぇ~また皆でボウリング行かない?」
一之瀬「にゃはは、さんせーい♪」
長谷部「じゃあ、今度は愛里も連れてきていいかな?」
櫛田「もちろん、全然良いよ♪」
このメンツに愛里なら直ぐに馴染むだろうから心配はいらなそうだな。
綾小路「……それは俺も頭数に入ってるんでしょうか?」
一之瀬 長谷部 櫛田「「「当たり前♪♪♪」」」
いつの間にかボウリングの約束までつけられた。
そんなに声揃わせなくても…まぁ、俺も楽しかったのは事実だしまた行きたいと思った。
結局、3人は寮につくまで離してくれなかったが……俺は何も言えなかった。
次行くときはもう少しお手柔らかに頼みたいな……と考えながら帰路についた。
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