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八条学園騒動記

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第六百七十一話 野上君の戻る先その十二

「だから日本の仏教の地獄がありな」
「他の宗教でもですね」
「地獄がある、キリスト教の地獄もな」
「存在していますね」
「ダンテの神曲じゃ」 
 ルネサンス時代を代表する文学である、ラテン語ではなくトスカナ方言で書かれていることが特徴である。
「あの様にじゃ」
「なってるんですね」
「少なくともカトリックではな」
「そうですか」
「そしてイスラムの地獄もあるしな」
 この宗教はこの宗教で存在しているというのだ。
「こっちでは地獄に落ちる者は少ないが」
「イスラム教は天国に行きやすいですか」
「そうじゃ、だからな」
「イスラム教では地獄に落ちる人は少ないですか」
「そうじゃ、そしてヒンズー教でも道教でも地獄があり」
 そしてというのだ。
「ギリシア、北欧、エジプト、インカとな」
「それぞれの信仰でですね」
「地獄がある、それで日本の仏教ではな」 
 そちらではというのだ。
「かなりじゃ」
「広いですか」
「それでどうもじゃ」
「餓鬼になる様な奴でもですか」
「地獄におる」
「そうなんですね」
「それでわしはそうした亡者は嫌いじゃ」 
 こう野上君に話した。
「餓鬼と同じであるからのう」
「博士は小悪党は嫌いで」
「悪を為すのならな」
「堂々とですね」
「そうあるべきであるからな」
 だからだというのだ。
「わしは小悪党は嫌いであり」
「餓鬼になったから小悪党になるんですね」
「だからじゃ」
「餓鬼はお嫌いなんですね」
「そういうことじゃ、何でも大きなことをせんと思わねば」
 かなり匂いがきついウォッシュチーズを食べつつ話した、その強烈な悪臭も博士にとっては食欲をそそるものになっている。
「ならぬわ」
「大きなことですか」
「あらゆることをな」
「だから博士もですか」
「大きなことをせんと考えてな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「日々行動を取られてるんですね」
「そうしておる」
 チーズを食べてからワインを飲んで話した。 
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