八条学園騒動記
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第六百七十一話 野上君の戻る先その五
「チームを持っているだけでな」
「あれですね、毎日ネットでもテレビでもチームの名前が出て」
「親会社の名前も出るからな」
「いい宣伝になりますね」
「だからチームが大赤字でもな」
「親会社としてはですね」
「それだけで名前が日本中に伝わるからな」
そうなるからだというのだ。
「いいのじゃ」
「そうなんですね」
「だからそれなりに力がある企業はな」
「チーム持つんですね」
「野球だけでなく他のスポーツでもな」
「宣伝になるので」
「最高の広告じゃ」
スポーツチームはとだ、博士は今度はサラミを食べてから話した。
「まさにな」
「だからメリットがあるんですね」
「左様、赤字でも軍需産業をやるよりな」
それよりもというのだ。
「スポーツチームを持つ方がな」
「利益が出ますね」
「何故連合で軍需産業があまり活発でないか」
博士はこのことも話した。
「それはじゃ」
「儲からないからですね」
「やたらと技術と設備の投資が必要じゃが」
それに金がかかるがというのだ。
「市場は限られておる」
「そうですよね」
「あれはこれといってじゃ」
「利益が出ないですね」
「だから多少赤字でもな」
それでもというのだ。
「スポーツチームを持つ方がな」
「メリットがありますね」
「企業としてはな」
「そうなんですね」
「軍需産業はじゃ」
この分野はというのだ。
「必要ではあるが」
「国防もまた」
「だから市場はあるが」
それでもというのだ。
「それは決して大きくなくな」
「限られてますね」
「軍隊位じゃからのう」
「それで設備や技術投資にですね」
「やたらかかる」
「利益が出にくいですね」
「それならばたわしでも売った方がじゃ」
その方がというのだ。
「ずっとじゃ」
「利益が出ますね」
「うむ」
そうだというのだ。
「これがな」
「軍需産業ってそうしたものですね」
「中々儲けにならん」
「よく死の商人と言われますが」
「兵器を売るよりもじゃ」
「スポーツチーム持つ方がいいんですね」
「そっちは多少赤字でもじゃ」
ワインを飲みつつ話した。
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