完全な無関心
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第二章
「そのうえでな」
「話にもあげられないか」
「もういなかったことになる」
「そうなることがか」
「最初からな、それがだ」
まさにというのだ。
「完全な終わりなんだ」
「人間としてか」
「連中の話は聞いてもな」
「もう朝から晩まで起きてると酒浸りらしいな」
「着替えも掃除もしないで風呂にも入らないでな」
父は息子に話した。
「それでだ」
「ずっと飲んでばかりか」
「そんな人生だとわかるな」
「ああ、長くないな」
「連中はそうなったんだ」
「そんな人間にか」
「もう人間ですらないんだよ」
父は忌まわし気に言った。
「可愛がっていたふわりにああしたことをした時点でな」
「もうか」
「餓鬼になっていたんだ、今の連中はな」
「餓鬼でか」
「餓鬼のまま死んでな」
そうなってというのだ。
「本物の餓鬼に生まれ変わるんだ」
「嫌なことだな」
「そうなってそうなる連中なんてな」
それこそというのだ。
「誰が気にするか、もうな」
「あの二人は完全に終わったんだな」
「そうだ、だから誰も話さないんだ」
「そういうことか」
「覚えておけよ、連中みたいになったらな」
父は息子に真顔で話した。
「完全にな」
「終わりだな」
「そうだ、ああなったらな」
こう言ってだった。
父はビールを飲んだ、そのうえで親戚との会話に入った。楽しそうに話すがそこにあの二人のことは一切なかった。
完全な無関心 完
2022・9・24
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