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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第十二幕その七

「だからね」
「お歳を召されるのも当然だね」
「六十年も経ってると」
「一口にそう言っても」
「相当なものだね」
「そうだよ、そしてそれだけの間一緒にいられたことは」
 その六十年をというのです。
「何度も言うけれどどれだけ素晴らしいか」
「そうだよね」
「とても素晴らしいよね」
「十六年どころじゃないから」
「こうしてお祝いすべきことだね」
「うん、昭和の三十年代からその長い昭和も終わってね」
 そうなってというのです。
「平成に入って地震があって」
「そこから復興して」
「二十一世紀に入って世の中はどんどん進歩して」
「そして今は令和だけれど」
「その間ずっと一緒だったからね」
「とても素晴らしいよ、だから皆でお祝いしよう」
 先生はその素晴らしい式の中で皆に笑顔でお話しました、そうしてです。
 式は幸せに包まれた中で進んでいきました、家族や知り合いの人達のお祝いの言葉や歌それにご馳走に美味しいお酒もあってです。
 皆満喫しました、そのうえでプレゼントをお渡ししました。
 先生はご夫婦に置き時計が入った飾られた箱と扇子が入った同じ様な箱をお渡ししてこう言いました。
「つまらないものですが」
「いえ、先生も来られてです」
「お祝いしてくれるなんて」
 ご夫婦はプレゼントを謙虚に出した先生に静かにお礼の言葉を述べました。
「子供や孫達にそうしてもらって」
「曾孫達も親戚も知り合いもそうしてくれて」
「先生もとは」
「何と言っていいか」
「六十年一緒にいられることはそれだけ素晴らしいことなのです」 
 先生は謙遜するお二人に笑顔でお話しました。
「ですから遠慮なくです」
「プレゼントを受け取っていいですか」
「そうなのですね」
「はい、そうされて下さい」
「悪い気がしますが」
「こんなに頂いて」
「幸せと善意は素直に受け取っていいのです」
 先生はまだ謙遜するお二人にこうも言いました。
「ですから」
「それで、ですか」
「今はですか」
「受け取って下さい、僕のものも。そして」
「そして?」
「そしてといいますと」
「お二人が喜んで頂ければ何よりです」
 ご自身のプレゼント達でとです、こう言ってでした。
 先生はプレゼントを渡しました、そしてでした。
 自分の席に戻ってお食事に戻りました、そのメニューを見ますと。
 蛸と鱧があります、蛸はお刺身にされていて鱧はお吸いものです。どちらも和食で皆それを見て言いました。
「お二人の好きなものだね」
「その蛸と鱧だね」
「どちらも美味しいね」
「お二人が好きだからメニューにあるんだね」
「そうだね」
「絶対にそうだね、いやどちらもね」
 先生はにこにこと食べつつ言いました。
「とても美味しいね」
「そうだよね」
「凄くいいね」
「じゃあそのどちらも食べていこうね」
「他のものもね」
「本当にイギリスにはないからね」
 先生は食べつつこうも言いました。 
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