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展覧会の絵

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第九話 聖バルテルミーの虐殺その十二

「だからこそね。女の子にもね」
「手を出すんだね」
「その十歳の娘だけれど」
「塾の小学生のクラスにいるよ」
「どのクラスかしら」
「上級コースだよ」
 そのクラスにいる塾生だというのだ。
「成績はいいよ」
「そうなの。じゃあ今度ね」
「その娘をここか家に呼んで」
「楽しんでみるわ。幼い身体を抱くのもね」
 同性のそれをだとだ。雪子は邪悪な笑みで話していく。
「美味しいからね」
「じゃあ楽しむといいよ。それでだけれど」
「それで?」
「あのビデオはどうするのかな」
 一郎は雪子のその邪悪に満ちた目を見ながら。彼女に問うた。
「いい映像になったけれど」
「そうね。DVDやブルーレイにするのもいいけれど」
「それだけじゃないね」
「ええ。それだけではないわ」
 こう言ったのである。
「仕掛けるわ。あいつにね」
「彼氏にだね」
「ええ、そう考えているわ」
 またしてもだ。雪子は心の底から邪悪な笑みを浮かべた。
 そうしてその笑みでだ。こう言ったのである。
「あいつのことはもうわかってるし」
「それで仕掛けて」
「そう。あいつも篭絡してね」
 何をしていくのかをだ。雪子は兄に話していく。
「面白くしていくわ」
「悪い娘だね」
「御互い様でしょ?」
 悪魔の笑みで兄に返す。
「それは」
「ははは、それもそうだね」
「御互い楽しんでるんだから」
「そうだね。じゃあ僕もね」
「あの娘と。今日も遊んだのよね」
「今日は学校でね」
 一郎は一見すると穏やかで知的な、しかしその裏側に果てし無い卑しさと邪さを満たした笑顔で応えた。これこそが彼の本質なのであろう。
「そうしたよ」
「それなら一緒じゃない」
 兄の話を聞いてだ。こう返した雪子だった。
「完全にね」
「ははは、そうなるね」
「そうよ。じゃあ私はね」
「今日は何をするのかな」
「叔父様はおられないし兄さんとも気分じゃないし」
 だからだというのだ。
「お薬は使ったけれどね」
「それでもだね」
「今日はしないわ」
 いつも楽しんでいるその快楽をだ。味あわないというのだ。
「そうするわ」
「わかったよ。それじゃあね」
「兄さんはこれから塾の講義よね」
「そうだよ」
 一郎は雪子に淡々と答えた。
「これでも評判がいいんだよ」
「外面のお陰ね」
「人は評価は外見でするものだよ」
 少なくとも一郎はこう考えていた。そして実際にだ。
 このことを言ってだ。そのうえでこうも言ったのだった。
「それは雪子もわかっていると思うけれど」
「思ってるわ。その通りよ」
 雪子もそのことは否定しなかった。邪悪な笑みと共に。
 そうした話をしてだ。それからだった。 
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