ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第81話
前書き
SUPER HEROを見て悟飯って平和が続くと気が極端に抜ける病気なんだろうかと思った。
早速悟飯達の家に到着したピッコロだが、庭でボロボロになっており、見覚えのあるポーズで倒れている悟飯を見て、また姉弟喧嘩をしたのかと溜め息を吐くピッコロであった。
「起きろ悟飯」
取り敢えずパンのことで話があるために足先でつついて悟飯を叩き起こすピッコロ。
「う…ん…あ、ピッコロさん…」
「こんな所でパンの迎えも仕事もせずに昼寝か?」
「ち、違いますよ!姉さんにやられたんです!」
「それで今度は悟林に何を仕出かしたんだ?」
「何で僕が仕出かした前提なんです…?実は…その…」
悟飯は自分が何かやらかした前提で話を進められることに渋い顔になるが、ピッコロに今回のことを説明した。
悟林にパンの迎えを頼んだこと、しかし今日はトランクスとのデートで、それでも姉ならすぐに幼稚園の迎えが出来ると思ったので頼んだら悟林に父親としてなどの諸々の理由で説教と鉄拳を喰らったのである。
それを聞いたピッコロは再び溜め息を吐いた。
「俺は恋愛のことは分からんが、当たり前だ大馬鹿者。大体お前は悟林にパンの迎えを頼んでまで何をしていた?」
「虫のレポートを…南の島で凄い蟻を発見しちゃって…この蟻は危険が近付くとちょっと光って変身するんです。超サイヤ人みたいで…」
「そんなことを聞いているんじゃない!子供の迎えに行けないくらい、研究が大事なのかと聞いているんだ!修行のサボリ癖がマシになったかと思えばこれか!!」
修行を怠け過ぎていた時や今回のパンのことと言い、何故この弟子はこうも手が掛かるのだろう。
「あ、いえ…そんなことは…」
「大体もう少し厳しい修行をしたらどうなんだ!いつ危険が襲ってくるかも分からないんだぞ」
今の悟飯は精々現状維持くらいでモロとの闘いの時とは変わらず、いや…戦闘の勘が鈍っているのであの時より弱くなっているかもしれない。
「えー、そんなことまだありますかね?」
帰ってきた返事は危機感の欠片もなかった。
モロを悟林が倒し、そして宇宙の犯罪者は銀河パトロールが取り締まっているだろうし、もうこの第7宇宙の脅威と言えばフリーザとセルくらいだが、あの2人はまるで地球にちょっかいをかけに来ないため、もう闘いは起こらないのではないかと悟飯は思い始めている。
「それにフリーザやセルが何かしたらお父さん達が…」
「この大馬鹿者がっ!!油断しきった所をパン達がブラックに殺されたことをもう忘れたのか!!未来の悟飯のようになれないのは仕方ないにしても少しはあいつの姿勢を見習おうとは思わんのか!!」
「う…っ」
並行世界の出来事とは言えブラックに妻子が殺されたことや未来の自分のことも言われた悟飯は呻く。
「しばらく平和が続けばこれか…いくら悟空やベジータと悟林が強くても出来ないことはある!せめて自分の身と家族は自分が守れ!!そんな様だからパンからも情けないだの弱そうだのと思われるんだぞ!!」
伯母である悟林と姉弟喧嘩をしてぶっ飛ばされている姿を見ていたパンにとって悟飯は優しいが格好悪い父親と言う評価である。
「え!?パ、パンが…す、すみません…」
まさか可愛い愛娘からそんな風に思われていたとは思っていなかったのか相当ショックを受けていた。
「今日は代わりに行ってやる。だがその代わりに…」
「え?うわっ!?」
ピッコロが手を悟飯に向けると悟飯のボロボロの服が変わり、代わりにピッコロのマント付きの道着になったのだが、マントの重量が尋常ではなく、気を抜いていたとは言え悟飯が簡単に膝を着く程であった。
「道着を着るのも久しぶりだろう?」
「た、確かにそうですけど…何ですかこの重さは…!?」
「特別製だ…今日1日、そのマントを脱がずに過ごせ。」
「え、ええ!?そんな…こんな重いマントを着けて仕事なんて…」
「良いことを教えてやろう。悟空と悟林はそれよりも重い服を着て仕事をしている。あまり動かないお前と動くあいつらとではどちらがキツいだろうな?少しでも気を抜けば家が壊れるぞ」
ピッコロが去り、悟飯は舞空術で体の重さを調節しながらノロノロと自宅に戻っていった。
「お、重すぎて集中出来ない…脱ごうにも重すぎて…このままやるしかないのかなぁ…」
悟飯の情けない声が妙に響いた。
一方、悟林はトランクスと合流して謝罪していた。
「本っ当にごめん!!」
「いや、別に良いよ悟林さん。そんなに待ってないし…って言うか数分くらいちょっとした誤差くらいだよ誤差」
トランクスは申し訳なさそうに謝罪する悟林に苦笑する。
今のトランクスの背丈は初めて未来トランクスが過去にやってきた時と同じくらいになっていた。
「本当にごめんねトランクス君。せっかく誘ってくれたのに…」
「それにしても悟林さんが少しでも遅れるなんて珍しいね?何時も時間は守るのに」
「パンちゃんのお迎えさえ出来ないうちの馬鹿弟の教育に力を注ぎ過ぎてね」
「あ、そういうこと…でも仕方ないんじゃないかな?母さんもそうだけど、ああいう人達って一度夢中になると周りが見えなくなるし」
一応科学者であるブルマを母として持つトランクスは、こういう人種には良くあることなのだと理解している。
「うーん、そう言うもんかな?」
「悟林さんも修行に熱が入ると時間忘れてやっちゃうでしょ?それと同じだよ…まあ、最近の悟飯さんは少し頼り過ぎだと思うけど」
流石にパンのお迎えすら、他人任せなのはどうかと言うのはトランクスも思ったようだ。
「…よし、悟飯の話題終了!早速遊園地に行こうよ」
「うん、そうだね。悟林さんって遊園地行ったことないんだっけ?」
「ないよ、子供の頃から修行とか農作業、ついでに勉強ばっかりだったからね。最近の流行もさっぱり」
セルとの闘いの後は7年間も死んでいたので最近の流行にはついていけず、ほとんど世捨て人のような状態であった。
なのでブルマとチチが最近の流行について話し合っていても宇宙共通語が使えない宇宙人の会話のように聞こえる。
分かりやすく言えばナメック語の会話か。
「…だったら俺が悟林さんと初めて遊園地行くんだよね…よし」
拳を握り締めて闘志を滾らせるトランクスに悟林はクスッと微笑んだ。
ただ遊園地に遊びに行くだけなのに今から激戦区に向かうかのような表情だ。
「別に闘いに行くわけじゃないんだからリラックスしなよ」
「あ、そうだね…母さんに見られたら確実にからかわれていただろうな」
「ねえ、トランクス君。ブルマさんを母さんって呼ぶようになったの…やっぱりトランクスさんの影響?」
「え?まあ、兄ちゃんの影響じゃないって言ったら嘘になるけど…やっぱり17歳にもなってママって呼ぶのは…」
「うーん、私達姉弟は基本的にお父さん、お母さんって呼んでたからねえ…」
呼び方が基本的に一貫している自分達には少し分かりにくい気持ちなのだろう。
「それにしても思い出すなぁ、今のトランクス君を見てるとトランクスさんと初めて会った時」
「お兄ちゃんに?」
「うん、多分トランクスさんが来てくれなかったら今こうしてトランクス君とデート出来なかったしね。いやあ、トランクスさんに会った時は本当にびっくりしたよ。あの時の私は超サイヤ人になれてお父さんやフリーザ以外に強い奴なんていないって思ってたからさ。私より強いお兄さんが現れた時の衝撃は凄かったよ!」
何せ最初の超サイヤ人でさえ伝説と呼ばれている程だった時期なので、当時は悟空とフリーザを除けば最強だと思っていたのだ。
だからこそ未来トランクスが現れた時の衝撃は凄まじかったのだが。
「そっか、お兄ちゃんが来なかったら。俺と悟林さんがこうやってデートなんて出来なかったんだよね…」
本来の未来では肉体年齢が離れている上に自分と悟林は師弟関係であり、想いも伝えられないまま悟林と死別するのが正史だと言うのだから恐ろしい。
「そうだねえ、昔は君が生まれてくるって知った時は絶対に未来の私のように君の師匠になって強くしてやりたいって思ってたんだけど、そんな君とこうやってデートしてるんだから人生って言うのは分かんないもんだよね」
セルとの闘いで死んだ後は生き返るつもりなど微塵もなかったし、今の自分達の関係は本当に不思議な物だ。
だが、嫌な感じは全くしないが。
「さあ、行こうか」
「そうだね、行こう悟林さん」
早速遊園地に行き、初めての遊園地を目にした悟林。
「へえ、色んな乗り物があるんだねえ…」
「うーん、悟林さんならジェットコースターとかどうだろう?」
「じゃあ、早速乗ってみようか」
トランクスと共にジェットコースターに乗り込んだ悟林だったが、後に後悔する羽目になる。
ジェットコースターの速度が半端(勿論悟林にとって)過ぎて急激な変化もあり、酔ってしまうことになるのであった。
「うう…」
「だ、大丈夫?悟林さん?」
「ごめん…私はどうやらジェットコースター駄目みたい…」
「あんなに速く飛んでるのに…?」
「寧ろ速いから酔わないんだよ…中途半端なスピードの動きの変化は…無理…」
そう言えば悟空もタイムマシンに酔っていたし、何らかの乗り物に酔うのは悟空の遺伝なのかもしれない。
取り敢えず来て早々にダウンしてしまった悟林にジュースを渡した。
「ごめん…」
飲み物もオレンジジュースなのでこういう気配りは本当にありがたい。
「俺の方こそごめん、まさかこんなことになるなんて…」
「いやいや…私の方こそごめん…」
「次はもっと大人しい乗り物にして、その次は買い物にしようか」
「ありがとう…」
意外な弱点が判明した悟林。
回復を待って取り敢えず大人しそうな乗り物…メリーゴーランドや観覧車辺りか…観覧車は最後に乗るとして。
「空中ブランコやコーヒーカップとかなら大丈夫かな…?取り敢えず悟林さん、乗ってみて駄目だったらすぐに教えてよ?」
「はーい」
取り敢えず絶叫系の乗り物は抜きにして様々な乗り物に乗っていき、そして買い物をすることに。
「遊園地って結構色々あるんだね」
大量のお菓子や食べ物を購入していると、ぬいぐるみが視界に入った。
「ぬいぐるみ?」
「うん、この黒猫。目付きがベジータさんみたいじゃない?」
「はは、確かに」
この目付きの悪い猫のぬいぐるみは何故か女性人気が高く、まるで自分の父親のベジータのような目付きに思わず笑ってしまう。
恐らくビルスの星にいるベジータは今頃くしゃみをしているかもしれない。
「可愛い」
「欲しいの?」
「うーん、あんまり私は家にいないし、あっても意味ないんじゃないかな?確かに可愛いけどさ」
「(そう言えば悟林さんの部屋って悟飯さんと悟天の部屋と比べても殺風景だったよな)」
前に見た時、あまりにも物がない…強いて言えば道着の材料や本が何冊かあるだけだった気がする。
元々セルとの闘い以降は生き返る予定はなかったし、部屋は農作業や修行の終わりの休憩と就寝に使う程度。
しかも最近はビルスの星で修行しているので余計に部屋を使う頻度が落ちている。
「……買おうか?」
「へ?トランクス君、欲しいの?」
「俺じゃないよ。悟林さんにだよ」
「え?いいよ、悪いし」
「たまには悟林さんもこういうのを部屋に置くのも良いんじゃないかな?寧ろ悟林さんがしてきたことを考えるとぬいぐるみ1個じゃ全然足りないって」
地球や宇宙の命運を賭けた闘いに小さな頃から闘っていたのだ。
それこそ自分がブウと闘った時の年齢の半分くらいの頃から。
「うーん、じゃあこれ」
「鉄人・マヤリト?…悟林さん、こういうぬいぐるみが好きなんですか?」
「ん?何となくかな?これが一番気になるの。」
悟林が指差したぬいぐるみはガスマスクのような顔をした旧式のロボットのようなぬいぐるみである。
ブルマも独特な感性をしていたし、悟林が欲しいならとトランクスがそれを購入して悟林に渡した。
「ありがとね」
「どういたしまして…それにしても悟林さん。男物の服を着てるよね、似合ってるけど」
未来トランクスが着ていたのとグローブとサイズ以外は同じなので悟林が着ているのは男物だが、サイヤ人特有の雰囲気のおかげか違和感なく似合っている。
「へへ、実はこの服はトランクスさんが初めて過去に来た時に着ていた服なんだよ。懐かしくて着ちゃった」
「へえ、流石はお兄ちゃん。俺なだけあってセンスが良いね」
「なあに?自画自賛?」
「別に良いじゃん。俺もそれなりにセンスには自信あるからね…あのさ」
「ん?」
言いにくそうにしているトランクスに悟林が不思議そうに見上げる。
モロとの闘いの時まで自分が見上げられる側だったのに今ではこれである。
トランクスは少しの沈黙の後に口を開いた。
「悟林さんってお兄ちゃんのこと好きだったの?」
「え?」
「あ、ほら。お兄ちゃんと悟林さん凄く仲良かったし」
実際に未来トランクスは自分から見ても真面目な好青年で、未来トランクスと自分のどちらが女性に好かれるかと聞かれれば前者の方だろう。
悟林も未来トランクスとは悟空やベジータ、ピッコロとは接し方が全然違うからだ。
「うーん、トランクスさんは私にとって頼りになるお兄さんって感じかな?やっぱり初めて会った時に私より強くて10歳も離れていたからだろうけど。セルとの闘いでも助けてくれたし、何かいるだけで頼りになる人……悟飯もトランクスさんみたいにいるだけで頼りになるような男になって欲しかったんだけどねぇ…」
厳しい言葉や冷たい言葉をぶつけることもあったが、あれは少しでも平和ボケしやすい悟飯に頼りになる男になって欲しいと思ってのことなのだが、父親譲りの能天気さが悪い意味で引き継がれており、少しでも平和が続けばボケてしまうのでもう悟林は諦めて何も言わなくなった。
「う、うーん…悟飯さんがお兄ちゃんや未来の悟飯さんみたいになるのはあまり想像出来ないんだけど…」
自分も未来トランクスのようになれと言われたらかなり厳しいところがあるから偉そうには言えないが。
「だろうね。でも私はトランクスさんはお兄さんみたいで好きだけど異性としてはトランクス君の方が好きかな?」
未来トランクスは頼りになる兄のような存在だが、トランクスは悟林なりに大事にしているのだ。
「そっか…え?」
「さあて、遊ぶよトランクス君。次の乗り物に行こ」
「……初めて好きって言われた…」
次の乗り物に向かおうとしている悟林をトランクスは顔を真っ赤にしながら硬直していた。
しかし、即復活して悟林を追いかけて遊園地を周り、そしてやはりサイヤ人である悟林には食べ物の方が喜ばれた。
満足そうにしている悟林に、次のデートはフードテーマパークにしようと思ったトランクスである。
「よし、トランクス君。軽く運動に付き合ってよ!」
「うん、良いよ。でも手加減してよ?」
最近は学校生活もあり、修行にムラがあるトランクスは流石に通常状態でも悟林の相手は厳しい。
「大丈夫、軽くだから!かかっておいで!!」
遊園地を後にして人気のない小島に移動すると悟林とトランクスが一礼をした後に構える。
「はあああっ!!」
気を解放したトランクスが悟林にラッシュを繰り出す。
悟林はトランクスのラッシュに対して片手で捌く。
「うん、良いよトランクス君。その調子」
「(くそ、こっちは全力でやってるのに片手で防がれてる。そう言えば兄ちゃんも未来の悟林さんに修行つけてもらった時も簡単にあしらわれてたんだっけ?)」
時代は違ってもトランクスと悟林の力関係は変わらないと言うことなのだろうか?
「考え事とは余裕だね。それっ!!」
「うあっ!?」
悟林が隙だらけのトランクスの顎を蹴り上げて海に叩き落とした。
「ゲホッ!ゲホッ!」
海水を思い切り飲んでしまったトランクスは咳き込む。
「トランクス君、軽めとは言え真剣にやらないと駄目だよ?」
海から戻ってきたトランクスに悟林はタオルを差し出しながら注意する。
「ご、ごめん…」
渡されたタオルを受け取り、それで顔を拭く。
「素直でよろしい。それじゃあもう一度……」
悟林が再び組手をしようとした時である。
空から無数のビームが降り注ぎ、悟林とトランクスに直撃した。
「ふむ…悪の秘密組織のボスクラスの人間だから不本意ながら遠距離狙撃をしたが、この程度か…」
「勝手に殺すんじゃないよ」
トランクスを庇いながら金色のオーラで煙を吹き飛ばし、超サイヤ人に変身した悟林が上空で銃を向けている存在を見上げた。
「咄嗟にバリアを張り、直撃を防いだか」
組手の邪魔をした不届き者は胸に“1”の文字が染め抜かれた年代物の軍服のようなスーツと背中の赤いマント。
そして鶏冠のようなヘルメットをかぶっているのが特徴である。
特に肩口のワッペンには見覚えのあるマークがある。
「そのマークはレッドリボン軍の…なるほど、人造人間ね…まだ残っていたのか…しぶとい」
「やはり気付くか」
「人がせっかく楽しんでいたのを邪魔してくれて…レッドリボン軍は本当に人を苛つかせるのが上手な軍隊だよね…お父さんに滅ばされた負け犬軍隊の人造人間。お前を送り出した場所と人物はどこかな?」
「それを聞いてどうする?」
「簡単だよ。二度とふざけた真似が出来ないように残った施設もお前を造った奴も吹き飛ばしてやるのさ」
人造人間を造るような存在なのだ。
ろくでもない人間に違いない。
それこそドクター・ゲロのような。
「やはり情報通りだ。お前のような悪は倒さねばならない」
「倒すねぇ…やってみなよガラクタ君」
人造人間は銃を向けるとビームを発射し、悟林は体を大きく捻り、独特な手の組み方で気を溜めるとビームを迎え撃とうとする。
「あれは…父さんのギャリック砲だ!!」
父親であるベジータの技の1つであるギャリック砲の構えであることに気付いたトランクスは目を見開いた。
「喰らえ!ギャリック砲ーーーっ!!」
ビームと気功波が激突し、周囲を吹き飛ばす。
しかし、徐々に悟林のギャリック砲が押し返されていく。
「へえ、少しはやるね。少しだけ本気を出しても良さそう」
潜在能力を解放し、究極化を果たすと一気にギャリック砲でビームを押し返す。
「なっ!?」
あっさりと押し返されたビームに驚愕する人造人間。
ビームを粉砕して迫る気功波を人造人間が避けると先程の仕返しとばかりに悟林は上空から無数の気弾を放つ。
人造人間はそれをギリギリでかわしながら銃を構えて悟林を狙う。
しかし、銃を向けられていることに気付いていた悟林は再びギャリック砲を放った。
最大出力のビームと気功波が再び激突する。
「ぐっ!?何と言う…パワー…!!」
しかし、究極化を果たしている悟林のギャリック砲は人造人間のビームを押している。
「お前をバラバラにしてメモリかなんかを取り出したらブルマさんに調べてもらってすぐにお前達のアジトを見つけて全部吹き飛ばしてあげるよ。だから安心して消し飛べ!!」
「や、やはりカプセルコーポレーションは悪の…」
人造人間が何か言っているが気にせずに更に気を高めた。
「超ギャリック砲っ!!」
「っ!!」
次の瞬間、大爆発が起きる。
トランクスは爆風で吹き飛ばされそうになるが何とか堪えて悟林の元に向かう。
「悟林さん!大丈夫!?」
「うん…あっ!?しまった…あいつからメモリを抜き取れるように程よくバラバラにするはずだったのに力加減を間違えた」
地球を壊さないように地表でエネルギーを爆発させた超ギャリック砲は凄まじい破壊力で、これではあの人造人間は木っ端微塵だろう。
それを聞いたトランクスは表情を引き攣らせながら笑った。
「は、ははは…それにしても悟林さん。父さんのギャリック砲を使えるようになってたんだね…」
「あーうん、ベジータさんがサイヤ人王家に伝わる技だから覚えろって…どう?私のギャリック砲は?」
「す、凄かったよ…父さんも喜ぶ…いや、悔しがるかな?」
恐ろしい破壊力だったので、これを目の当たりにしたベジータは不機嫌になるのは間違いないだろう。
「でも、この技を教えてくれたってことは私達のことを認めてくれてるんじゃない?」
「え?…あ…」
あのベジータがサイヤ人王家に伝わる技を下級戦士一族の悟空の娘である悟林に教えたのだから多分そういうことなのだろう。
あのプライドが高く気難しい父親であるベジータにも自分達の関係を認めてもらえていることはトランクスにとって素直に嬉しかった。
良い雰囲気が流れているが、物陰に隠れながらこの場を離れる存在がいることに気付いていなかった。
そして地球から遥か遠くの宇宙で活動していたフリーザ軍。
その宇宙船の中でNo.2(と言うことになっている)のセルが異変に気付いた。
「む…」
「おや?どうしましたセルさん?」
セルの変化に気付いたフリーザが振り返る。
「孫悟林の気を感じる。どうやら地球にいるようだ…激しい気の高まりを感じる…トレーニングにしては気の変動が激しすぎる…奴にそこまでの力を出させる程の存在が地球にいるとは考えられんが…」
「ふむ…なるほど…少々興味深いですが、我々はここ一帯の星の制圧をしなければなりませんので止めておきましょう」
「では、フリーザ。私が地球に行ってきても構わんな?」
「は?」
「忘れたとは言わせんぞ。貴様がブロリーと言うサイヤ人を私に報せずに地球に向かったことはな」
かつてフリーザが三度目の地球の襲撃をした際にブロリーと言う超天才サイヤ人と共に向かったのだが、その時のセルは高重力の星に住む原住民の殲滅を行い、その環境を利用したトレーニングをしていたので地球でブロリーの戦闘を見る所か闘うことさえ出来なかった。
「…一応通信は入れてましたよ。次からはスカウターを装着して通信に応答出来るようにしておいて下さい」
しかし、フリーザもセルには一応通信はしていたのだが、全く通じなかったのでセル抜きで地球に向かったのである。
「スカウターか…あれはどうも性に合わんな…まあいい、少しの間留守にするぞ」
「はいはい…ご勝手に…」
フリーザは宇宙船から飛び出すセルを見て深い溜め息を吐くのであった。
後書き
悟林の新習得技
ギャリック砲
悟林がビルスの星でベジータと修行していた際に伝授された。
超ギャリック砲
超かめはめ波のギャリック砲版。
初出はドラゴンボールGTのベジータに寄生していた大猿ベビーが超サイヤ人4の悟空に対して使用。
多分ドラゴンボール超でもザマス戦の聖なる逆鱗の迎撃にも使われていたと思われる。
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