レーヴァティン
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第二百六十話 条約を結びその十六
「本当に」
「ああ、碌でもないことをしてな」
「周りから嫌われてな」
「それで死んでもそうなる」
「何も生み出さないでな」
「地獄に行った方がましか」
幸正はふとこう思った。
「餓鬼になる位なら」
「そうかもな」
芳直も否定しなかった。
「本当に」
「地獄も酷いがな」
「まさに地獄の責めを受けるな」
「だが地獄に行くのはな」
それはというと。
「悪人だ、悪人でもだ」
「色々か」
「浅ましく醜くな」
そうしたというのだ。
「心底な」
「見下げ果てた下衆だな」
「そうした奴が餓鬼になってな」
「ずっと餓えや渇きに苦しみ」
「何も生み出さない」
「それならな」
「まだだ」
餓鬼道それに堕する位ならというのだ。
「幾ら責め苦を受けてもな」
「地獄の方がましか」
「幾ら悪人でもだ」
それでもというのだ。
「地獄に落ちた方がだ」
「餓鬼になるよりましか」
「餓鬼は浅ましい」
そうした存在だというのだ。
「とことんな」
「それを思うと」
「地獄に落ちる方がな」
「まだましか」
「そうも思う」
「地獄に落ちてもね」
留奈も言った。
「悪人でとことんまで責め苦を受けても」
「それでもっちゃな」
「浅ましい感じはしないわね」
「そうっちゃな」
愛実は白子を食べつつ留奈に応えた。
「特に」
「そうよね」
留奈は留奈で天麩羅を食べながら頷いた。
「地獄の方は」
「かなり無茶苦茶な責め苦を受けてもっちゃ」
「餓鬼になるよりはましってね」
「思えるっちゃな」
「まだね」
「だから六道ではっちゃ」
そこではというのだ。
「地獄よりも餓鬼の方が下とっちゃ」
「する場合もあるのね」
「そうみたいっちゃ」
「餓鬼になることは地獄に落ちることよりも酷い」
「そうした人生を歩んでっちゃ」
そうしてというのだ。
「生きたまま餓鬼になってっちゃ」
「誰からも忌み嫌われて」
「そしてっちゃ」
そのうえでというのだ。
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