イベリス
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第六十七話 運動についてその三
「あっちじゃね」
「それでだしの味が違うのね」
「ラーメンだってね、それでもんじゃほぼ食べないし」
関西ではというのだ。
「あっちは完全にお好み焼きだから」
「それが主流だから」
「このプールにもお店あるしね」
その出店を見て話した。
「もうあっちはね」
「お好み焼きね」
「それとたこ焼きに」
それにというのだ。
「今食べているね」
「焼きそばね」
「それの文化圏なのよ」
「食文化がそうなのね」
「そうよ、一回じっくり楽しみたいわね」
関西をとだ、愛は心から言った。
「大阪も京都もね」
「八条グループの本拠地神戸も?」
「そっちもね」
「そうなのね」
「大阪物凄く面白い街みたいだし」
「私は東京が一番いいけれど」
「それは叔父さんが東京好き過ぎるからでしょ」
愛は食べながら少しむっとした顔になって返した。
「だからよ」
「それでなの」
「そう、叔父さんの東京愛は信仰の域に達してるわよ」
「だから埼玉行きたがらなかったし」
「他の場所もいいわよ、というかね」
「というか?」
「東京って確かに人多くて何でもあって便利よ」
そうした街であることは事実だというのだ。
「けれど物価高いでしょ」
「それ言われるわね」
咲も否定しなかった。
「東京は」
「しかも冬寒いでしょ」
「からっ風でね」
「災害多いし」
「それ有名よね」
「こんな災害多い街ないわよ」
愛はどうにもという顔で話した。
「大地震に大火事に富士山の噴火に台風に落雷に」
「災害のオンパレードね」
「歴史見たら凄いでしょ」
江戸時代がはじまってからだ、尚江戸時代で既に人口百饅を誇る世界最大の都市であった。
「東京って」
「災害で何度も壊滅してるわね」
「それ見たらね」
「東京程災害の多い街ないっていうのね」
「地震、雷、火事って言うけれど」
世の中で怖いものはだ。
「そこに台風と噴火入れてもいいでしょ」
「親父じゃなくて」
「この五つよりは遥かにましでしょ」
「うちのお父さん怖くないし」
「うちもね、というか人間から怨霊になれば怖いけれど」
それでもというのだ。
「人間より災害の方が怖いわよ」
「そう言われるとね」
「そりゃヒトラーやスターリンが権力握ったら怖いわよ」
この独裁者達がというのだ、共に人類の歴史に永遠に名を残すであろう者達だ。
「洒落になってないわ」
「どっちが怖いかしら」
「判断つきかねるわ、絶対に部下も碌なのじゃないし」
ヒムラーなりベリヤなりである、こうした独裁者達の常として秘密警察も駆使するものだ。
「だからね」
「怖いわね」
「そうだけれどまずね」
「それはないわね」
「日本ではね」
この国ではというのだ。
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