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夢幻水滸伝

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第二百五十三話 兎族の仙人その一

                第二百五十三話  兎族の仙人
 郭神暦はこの世界に来てすぐに声からこの世界の自分のことを聞いた、そして今の自分の周りを見ると。
 山々が連なっていた、そして自分の傍にいる狐や兎、熊、狼、豹、寅、それに鳥達が話してきた。
「あれっ、仙人さんじゃない」
「急に出て来たね」
「またどうしてこちらに」
「修行に来たんですか?」
「いや、実はや」 
 郭は山の生きもの達にこの世界での自分のことを話した、するとだった。 
 生きもの達はそれはという顔になった、そして口々に彼に話した。
「まさか星の方とは」
「只者ではない感じでしたが」
「そうでしたか」
「この世界を救われる方でしたか」
「どうもそうみたいや、しかし具体的に何をすればええ」
 郭は生きもの達に問う様に言った。
「僕は」
「そう言われましても」
「わし等にもわかりません」
「今人の世は大変ですが」
「あちこちの街や村に分かれて争っています」
「そうなっています」
「ややこしいことになってるか」
 郭はその話を聞いてこの世界での人の世のことを知った。
「そうなんか」
「はい、そうです」
「この広東省も複雑な状況です」
「それぞれの街や村に分かれてです」
「争いもあり」
「そして戦も起こっていてです」
「族も跋扈していてです」
 戦以外の困った事情の話もだ、生きもの達は郭に話した。
「獣の中には暴れていてモンスターも出ています」
「災害もありますし」
「元々豊かな省ですが今はそれを充分に活かせず」
「人も困ってます」
「そうなんか、困ってる人を助けんと世界は救えん」
 郭はこう考えた。
「ほんまにな」
「それではですね」
「人の世に出られて」
「そして収められますか」
「そうされますか」
「まずは広東省からやな」 
 郭は強い声で話した。
「起きた世界では僕の故郷でもあるし」
「あっ、そうなんですか」
「仙人さんの起きられた世界ではそうですか」
「仙人さんの故郷ですか」
「そうなんですか」
「その縁もあるしな。縁は大事にするもんや」
 郭は冷静な声で述べた。
「それでや」
「広東省からですか」
「ここからことをはじめられますか」
「そうされますか」
「そうするか。ほなこの山を下りて」 
 そうしてとだ、生きもの達に話した。
「ことをはじめるで」
「そうですか、頑張って下さい」
「この世界の為に頑張って下さい」
「わし等は仙人さんを応援させて頂きます」
「この山から」
「そうしてくれると嬉しいわ。ほなまたな」  
 郭は山の生きもの達に別れを告げ笑顔で手を振り合ってから山を下りた、山を下りて麓の村に入った。
 そして村の酒場でこの世界のことを今度は店の親父に聞いた、生きもの達から話を聞いたが人からも話を聞きたかったからだ。
 するとだ、親父も山の生きもの達と同じことを言った。 
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