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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第十幕その十二

「平成、令和となって世の中変わったね」
「お二人が結婚したのが昭和三十年代」
「最初の東京オリンピック前で」
「まだテレビも普及しだした頃で」
「冷蔵庫も洗濯機もで」
「そのテレビも白黒テレビだね」
「自家用車なんて夢だったよ」
 その頃はとです、先生は皆にお話しました。
「もうね」
「そうだったね」
「そんな頃でね」
「オート三輪なんてものがあって」
「新幹線もまだ」
「工事中だったわね」
「そう思うと大昔だよ、けれどね」 
 それでもというのです。
「その大昔でもね」
「それでもだよね」
「お二人はその頃から一緒だね」
「そんな今から見ると想像出来ない時代から」
「そうされてるんだね」
「そうなんだ、今の子供は白黒テレビは知らないだろうね」
 とてもというのです。
「コンピューターだってね」
「その頃なんて滅茶苦茶大きくて」
「物凄く大きくて立派な組織の本部にしかなくて」
「特別なことを調べて計算する」
「そんなものだったね」
「今じゃ大抵のお家にあるよ」
 そうなっているというのです。
「コンピューターもね」
「全く違うね」
「コンピューターについても」
「本当に」
「その頃と今を比べたら」
「別物だよ」
 皆も言います。
「むしろテレビとか以上にね」
「変わったね」
「お部屋一つ分位あったのがね」
「もう一人で楽々持てる位の大きさだよ」
「そうなっているわ」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「尚更実感出来るよ」
「そうだよね」
「本当に変わったよ」
「昭和から比べるとね」
「随分ね」
「しかもご夫婦は戦争中にお生まれになっているね」
 先生はこのこともお話しました。
「そうだね」
「そうそう、それで昭和三十年代に結婚されてるね」
「お生まれになったのはその時だね」
「大変な時だったわ」
「イギリスもそうだったけれど」
「日本もね」
「そうした時でね」
 それでというのです。
「その頃と昭和三十年代を比べてもね」
「かなり違うね」
「そうなってるね」
「戦時中と三十年代を比べても」
「同じ昭和でも」
「街並みも服装も生活用品もね」
 こうしたものもというのです。
「戦時中はまだ井戸も多かったしね」
「そうそう、水道の普及もね」
「三十年代程じゃなくて」
「井戸が多かったね」
「そうだったね」
「江戸時代の江戸は町全体を流れている川それに堀を利用して水道があったけれどね」
 それでもというのです。
「やっぱり井戸もね」
「多かったね」
「戦時中は」
「そうした状況だったね」
「勿論電気もまだまだで」
「夜も暗かったね」
「空襲を警戒して灯火管制をしていなくても」
 それでもというのです。
「電気もね」
「普及していなくて」
「ラジオだけだったね」
「そう思うと全く違うわ」
「同じ昭和でも」
「それでプロ野球もね」
 先生はこちらのお話もしました。
「当時は職業野球と言っていたしね」
「戦時中はね」
「そういえばユニフォームも違ったね」
「何か野暮ったい?」
「そんな感じで」
「お二人が過ごされた八十年の間にね」 
 先生はしみじみと思いました。
「世の中は本当に変わったね」
「全くだね」
「お生まれになってダイアモンド婚式を迎えるまでに」
「何もかもが変わったね」
「そうだよね」
「そのことも思うと余計に感慨があるよね」
 先生はしみじみと思いました、そうしてダイアモンド婚式が行われるその日を心待ちにするのでした。
 
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