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イベリス

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第六十五話 静かにはじまってその八

「なおすのよ」
「そうした方がいいのね」
「だからね」
 その為にというのだ。
「咲もね」
「夏でもお風呂ね」
「その方がいいのよ」
「そうなのね」
「そうよ、特にお母さんの今の歳になればわかるわ」
「そうなの」
「おばさんになればね」 
 そう呼ばれる年齢になればというのだ。
「わかるわよ」
「おばさんになって」 
 そうなってというのだ。
「肩や腰、膝にくればね」
「わかるの」
「そうよ」92
 実際にというのだ。
「実際にね」
「そんなものなのね」
「自分がそうなったら」 
 そうならというのだ。
「よくわかるのよ」
「そういうものなのね」
「お母さん腰は膝は殆どだけれど」
「肩なのね」
「そこがね」
「いつも凝っていて」
「困ってるから」 
 だからだというのだ。
「ここ何年かは夏でもよ」
「湯舟に入ってるの」
「そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「肩凝りどうにかしてるのよ」
「そんな事情があったの」
「そうなのよ」
 これがというのだ。
「実はね」
「お母さんも色々大変なのね」
「肩凝りを甘く見たらいけないわよ」 
 母は酒を飲む娘に真顔で話した。
「頭が痛くなったりするから」
「頭までくるの」
「だから常にね」
「治さないと駄目なの」
「それにお風呂もいいから」
「温めるといいの」
「そうよ、温めて冷たいシャワーで冷やしてね」
 そうしてというのだ。
「また入るのよ」
「そうしたらいいの」
「それでかなり楽になるのよ」
「肩凝りにはお風呂がよくて」
「そうして入ったらね」
「かなりよくなるのね」
「夏でもそうしてるのよ」
 咲に話した。
「それで垢も匂いも落ちるし」
「肩凝りも治るから」
「夏でも湯舟の方がいいのよ」
「シャワーよりも」
「そうよ、世界的にはシャワーで終わる国が多いけれどね」
「冬でもね、イギリスなんてね」
 咲はここでこの国のことを話した。
「シャワー浴びて身体洗って」
「あそこは洗い流さないでしょ」
「知ってるの」
「知ってるわよ、泡はそのままタオルで拭いてね」
 身体を洗ってだ。 
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