| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第93話 三大勢力よ、いらっしゃい!初めての異世界旅行、これがグルメ界だ!

side:イッセー


 三大勢力の会談から3日が過ぎた。現在俺の家には不穏な空気が漂っている。


「……」
「……」
「……」


 三大勢力のトップであるサーゼクスさん、アザゼルさん、ミカエルさんがそれぞれソファーや椅子に座ったり壁にもたれ掛かっているが誰も何も言わない。


 護衛として付いてきたグレイフィアさんやバラキエルさんも険しい表情をしている。唯一人ヴァスコさんはリラックスした様子を見せていた。


 集まったオカルト研究部のメンバーや教会組も不安そうな顔をしている。


 そもそもあれから何があったのかを説明しないといけないな。


 あの後空間が崩れそうになり転移しようとしてもそれが出来ずにあのままでは次元の狭間に放り出されて全員死ぬところだったんだ。


 だが次郎さんか空間をノッキングして無理やり固定させて親父が空間に穴を開ける事でそこから脱出することが出来たんだ。生身だと消滅する次元の狭間も節乃お婆ちゃんの気圧ドームで無事に抜けることが出来た。


 ……えっ?なんで空間をノッキングしたり穴開けて脱出できるのかって?おまけに次元の狭間を耐える気圧ってなんなのだって?


 良い質問だな、俺も知らねえ。多分あの人達だからとしか説明できねえよ。むしろ説明できる人がいるのなら説明してくれ!頼む!


 ……まあそれからはもう大騒ぎさ。なにせあんな化け物を禍の団が所持しているって分かったんだからな。


 更に負傷者も多くこのままでは話し合いにならないとして親父は三日後に改めて話し合いの場を設けると言い解散したんだ。


 サーゼクスさん達もかなり動揺していたようで親父たちの提案をすぐに受け入れた。多分あの場で戦いになったら不味いと思い直に承諾したんだろう。


 そして三日が立ち現在俺の家に三大勢力のトップが集まっているんだ。


 しかし誰も何も言わないな……まあ無理もないか。これからいよいよD×DとG×Gの主要メンバーが集まって話し合いをするんだからこの空気も仕方ないのかもしれないな。


 なにせD×D組からすれば全く状況が分からないし今まで存在も知らなかったG×G組の事を強く警戒してるのは当然だ。


(そもそも言い出しっぺの親父は何してるんだよ?俺これ以上この空気の中に居たくねえんだけど……)


 肝心の親父たちはまだ来ない、この空気をこれ以上吸うのは嫌だから早く来てほしいぞ……


「いやー、すまんすまん。遅くなってしまったわぃ」


 するとアロハシャツを着た親父がルフェイと一緒に部屋に入ってきた。


(緊張感の欠片もねえな……)


 親父の恰好を見て俺はため息をついた。まあ親父らしいと言えばそうなんだけど……


 だが三大勢力のトップたちは親父が現れたのを見て更に警戒心を強める。相当警戒しているな……


「はっはっは、そう警戒するな。なにもとって食おうとしてるわけではないじゃからな」
「……アンタを前にして気なんて緩められるかよ」


 あのアザゼルさんですらかなり警戒している。


「なんじゃ、お互い酒を飲み合った仲じゃないか」
「あの時は普通の爺さんだって思ってたからだ。あんなバケモンたちを圧倒するような人間だと知ってたら一緒には飲まなかったよ」
「そうか、なら土産として持ってきたG×Gの酒はいらんか」
「いや、それはくれ」


 シリアスな空気を壊してアザゼルさんがそう言った。それを聞いたサーゼクスさんは苦笑してミカエルさんは厳しい視線を彼に向ける。


「アザゼル、今はそんな事を気にしている場合じゃないでしょう!」
「いやだってあの酒本当に美味いし……」
「はっはっは!素直で結構!」


 親父はそう言ってアザゼルさんにお酒を渡した。さっきまでのシリアスな空気よりはマシだけどなんか閉まらねえよな……


「さて、それでは移動しようか」
「移動……?話し合いはここでするのでは?」
「お主らも実際に目で見た方が早いじゃろう?招待しよう、グルメ界にな」


 親父はサーゼクスさんにそう言ってニヤリと笑った。


 俺達はサーゼクスさん達を連れて地下にあるボンゴレ・リングに向かった。


「この辺りには魔力を遮断する魔法陣が設置されているみたいだね。通りで透視魔法や察知系の魔法が通じないと思ったよ」
「それだけの物がここにあるんですよ……これがそうです」


 俺はサーゼクスさんに魔力を遮断する魔法陣が必要だと話してボンゴレ・リングを見せた。


「この機械の輪は?」
「これが異世界を渡る装置、通称『ボンゴレ・リング』じゃ。そこにいる異次元七色蝶の持つ次元力を使い異世界を渡ることが出来るんじゃ」
「珍しい蝶だな……ちょっと近くで拝見させてもらおうかなっと」
「近寄らんほうが良いぞ」


 アザゼルさんはシュウに近寄ろうとするとすさまじい警告音が鳴りだした。


「な、なんだ!?」
「シュウ……異次元七色蝶は凄く繊細な生き物なんですよ、気に入っていない生物が近寄るとストレスで死んでしまうんです。だからこの装置が完成するまでは俺達とオカルト研究部、あと教会組しか異世界を行き来することができなかったんです」
「因みにシュウを入れている新しいケースはグルメ界と呼ばれるG×Gにある危険地帯から取ってきた物質で出来ておる。リアスちゃんやサーゼクス殿以外では破壊するのは難しいじゃろうな」


 俺はアザゼルさんにシュウの生態を説明した。すると親父はシュウを入れているケースはグルメ界で取ってきた物質で作られているため破壊は困難だと説明する。


 リアスさんとサーゼクスさんが例外になったのは二人が滅びの魔力を使えるからだろう。


 親父は簡単に防いだしグルメ細胞には再生されるから効果が無いように思えるが、実際は問答無用で物質を消し去る滅びの魔力はヤバいからな。


「因みにシュウが死んでも3回ほどは異世界を行き来できるほどの次元力を既にこの装置は蓄えておるからおかしな考えはせん方がええぞ?」
「……肝に銘じておきます」


 親父は釘を刺すようにサーゼクスさん達にそう言った。


 場合によってはシュウを殺して異世界の行き来をできなくすることもできるからな、サーゼクスさん達がそんな軽率な行動をするとは思っていないが念のために言ったのだろう。


 まあそれだけの次元力を蓄えられたのは黒歌が持っている異次元七色昆虫のエースのお蔭なんだけどな。


「さて、それじゃ早速向かうとしようか」


 親父がボンゴレ・リングを作動させると輪の中心に光る渦のようなものが生まれた。これで異世界に行けるのか。


 俺達は恐る恐る輪の中に入るとそこは最近お菓子の家の地下に作った食料保管庫の一室だった。


「こんなところに装置を置いたのか」
「うむ、上だと装置の熱でお菓子が痛んでしまうからな」


 確かに地下なら涼しいしアイスなどを保管する冷凍室もあるから熱を下げるにはいいのかもしれないな。


 因みにD×Dの方のボンゴレ・リングは無機質な機械だけど、G×Gの方はドーナツのような見た目をしている。


 ブルマさんの遊び心って奴だな、お菓子の家ともマッチしてるしセンスが良いぜ。


「ここが異世界か?なんだか狭いな」
「ここはG×G側の俺の家の地下ですよ。異世界には来ていますので安心してください」
「ふむ、確かに見た事の無い食べ物が置かれているね」


 アザゼルさんにここが何処だと聞かれて家の地下だと話す、サーゼクスさんは見慣れない食材を見て異世界であると判断したようだ。


「皆さん、こんにちは!今回案内を担当させていただくルフェイです!」
「ルフェイ?」


 そこに俺の弟子であるルフェイが姿を現した。


「ルフェイ、案内ってどういう事だ?」
「えへへ、それは後で説明しますよ」


 ルフェイはフロルの風を取り出した。


「今から移動しますので動かないでくださいねー」


 ルフェイがそう言ってフロルの風を使うと、俺達は前に見た場所に来ていた。


「ここって確か第1ビオトープの研究所よね?リーガル諸島にワープしたの?」
「はい、皆さんにはこれからIGOがどんな組織なのかを説明していきますねー」


 リアスさんがこの場所がリーガル諸島だと言うと、ルフェイは笑みを浮かべてそう答えた。


「いかがなさいますか、サーゼクス様」
「ここまで来たんだ。素直に着いていく事にしよう」


 グレイフィアさんはいきなり別の場所に飛ばされたことを警戒してるようだが、サーゼクスさんは素直に着いていこうと答える。


「バラキエル、異世界っていうのは本当に存在していたんだな!いやぁ~俺もあるんじゃないかとは思ってたんだけど実際に来れるとはなぁ。長生きはするもんだぜ」
「お前は何処に行っても変わらんな、はぁ……」


 アザゼルさんも異世界の可能性は考慮していたようで、実際に来たことでテンションを上げていた。そんな彼を見てバラキエルさんは呆れた様子を見せる。


「いざという時は頼みますよ、ストラーダ猊下」
「承知いたしました、ミカエル様。しかしそのような事態にはならないと思いますぞ」
「何故そう言えるのですか?」
「ふふっ、老兵の感ですよ」


 トップ3人の中で一番警戒しているミカエルさんはヴァスコさんにそう言うが、彼は余裕のある笑みを浮かべてそう答えた。


 歳で言えばミカエルさんの方が圧倒的に上だが、人間と天使では年を取る感覚が全く違う。老兵と言える歳のヴァスコさんだからこそああも余裕が持てるのかもしれないな。


 そして三大勢力のトップを交えたG×Gツアーが開催された。



―――――――――

――――――

―――


「こ、これは……」
「なんとも異様な光景だ……」
「まったく知らねえ生き物がうじゃうじゃいやがるな……」


 移動しながら親父はサーゼクスさん達にこの世界の事を色々説明した。IGOの目的を話した後食料を大量に生産している工場を見てもらった。


 そして今はチェインアニマルの作られる施設を見てもらっている。


 多種多様な生き物たちが生きている姿を見て驚くアザゼルさん達に「リアスさん達にもあんな時期があったなぁ……」と懐かしさを覚えていた。


「ここは第1ビオトープ、通称『リーガル諸島』と呼ばれる島じゃ。ここではワシらが生み出した様々な生物たちが独自の生態系を作り上げておる」
「えっ、ここに居る生物はあんた達が作ったっていうのか!?」
「うむ、全てではないがな」
「まさかあれだけの数の生物を人工的に生み出しちまうとはな……俺達の世界でもクローンの研究はされているがこちらと比べれば雲泥の差だな」


 アザゼルさんは研究者でもあるからか、人工的に生み出された私物を興味深そうに見ていた。


「因みにこれはこの島に生息しとるロックドラムという生物の外殻でこっちは怪鳥ルバンダの牙じゃ。お主は研究者であるとイッセーから聞いていたのでな、肉とかよりもこういった素材の方が喜ぶと思って用意しておいたぞ」
「うおおっ!?なんだこの素材は!?ケルベロスやミノタウロスから取れる素材とは全くの別もんじゃねえか!?こ、こんなレアな素材がわんさかあるっていうのかよ、この世界は!?」
「うむ、その通りじゃ」
「やべぇ!俺はもうこれだけでじいさん達に協力したくなってきたぜ!美味い酒もあって珍しい素材もあるとか楽園かよ、ここは!?」


 アザゼルさんはルフェイみたいな反応をしていた。この調子でいけばアザゼルさんは簡単に堕とせそうだぞ。


 そうだ、ルフェイで思い出したんだけど先ほど何故彼女が先にG×Gにいたのかというと、実は会談後に親父から今回の件について話しを持ち掛けられたらしく準備も手伝ったらしい。


 その際にフロルの風を作るための材料を親父から貰っているんだが、なんか相当レアな素材ももらったらしくホクホク顔で説明してくれた。


 だが親父の指示でサプライズのためとはいえ俺にまで内緒にしていたから軽く拳骨はしておいた。


「……人工的に生命を生み出すなど神への冒涜ですよ」
「ほう、言うではないか。それならお主らが率いる天使の組織は清廉潔白だと胸を張って言えるのか?」
「それは……」
「ワシが最初にここをお主らに見せたのはIGOという組織が正義の味方ではなくこういう倫理的に嫌悪されることもしていることを見せるためじゃ。ワシらの目的はあくまでも世界中の人たちに安定した食を与えられる世界、そのために必要ならこういう事もする」


 ミカエルさんは人工的に生命を作る事に嫌悪するが、親父にじゃあ天使たちは清廉潔白な組織なのか、と言われて何も言えなくなった。


 彼だってバルパーが残した研究成果を奪って自身らの糧にしたからな。


「俺はこの爺さんの言う事には賛同するぜ。組織の長としてこういう事も許容しないといけないときは来る。そうだろう?」
「……ええ、その通りです。不快な発言をして申し訳ありません」
「気にしとらんよ。そう言われるだけの事はしとるからな」


 アザゼルさんは親父のやってることに理解を示しフォローを入れる。それを聞いたミカエルさんは親父に頭を下げたが親父は気にしていないと返した。


「しかし前に見たような化け物たちと違って余裕で勝てそうには思えますね」
「うむ、ここいらにいる生物は捕獲レベルは10~30くらいじゃからな。グルメ界の生物と比べれば可愛いもんじゃろう」
「グルメ界……確かあの恐ろしい化け物たちが生息する地域の事ですか。確かこの星の7割がそんな地獄みたいな場所なんですよね?」」
「うむ、この後実際にグルメ界の入り口も見てもらうぞ」


 サーゼクスさんはここに居る猛獣は前の襲撃に見たモノよりレベルが低いと言うと、親父は後でグルメ界の入り口を見せると話す。


 これは俺も楽しみだな。なにせグルメ界の事は言葉で説明されてばかりで実際に目で見たことはないんだ、いずれ向かう場所を見ておくのも悪くない。



「さて、まだまだG×Gツアーはこれからじゃぞ」


 親父はそう言って笑みを浮かべた。



――――――――――

――――――

―――


「うおー!いけー!」


 食料を生産する工場とチェインアニマルを作る施設を見せた後、コロシアムに移動した俺達は中央で戦うガララワニとトロルコングの戦いを見ていた。


 今じゃ片手間で倒せるようになったけど、やはり巨大な猛獣同士がぶつかり合う姿は迫力があるな。


「よっしゃー!俺の予想が当たったー!!」
「まったくアザゼルったら……」
「私の上司が済まない……」


 因みにアザゼルさんはここで賭けが行われていると聞くと、俺のこの世界の通貨を貸してくれと言ってきた。この人は……


 リアスさんとバラキエルさんも呆れてるぞ。


「ここは一体……」
「このコロシアムでは捕獲した猛獣同士を戦わせて強さを測っとるんじゃよ。捕獲レベル1が大体猟銃を持ったプロのハンターが複数人いて捕まえられる程度のレベルじゃな」
「ふむ、僕達なら容易く倒せそうだが中級レベルの悪魔や堕天使などでは厳しいな……」
「あのゴリラのような生物は知性も高そうだ。私も戦ってみたくなってきたよ」


 捕獲レベルの説明を聞いたサーゼクスさんは冷静にそう分析した。まあ中級では厳しいだろうな。


 しかもトロルコングは群れで行動するからな、そういった群れで行動する猛獣は捕獲レベル以上の脅威になるだろう。


 ヴァスコさんはトロルコングの知性の高さを見抜き自分もあそこで戦ってみたいと話す。


「しっかしなんかコロシアム前より大きくなってないか?」
「そりゃ前はGTロボやお前さんのせいでコロシアムがボロボロになってしまったからな。より強固に強く立て直したのさ。今度はお前でもあのアクリル板は壊せんぞ?」
「へー……試してみようかな?」
「やめんかバカもんが!」
「冗談だよ」


 前よりコロシアムが大きくなっていると思ったが、マンサム所長の説明で納得した。あれからここまで時間が進んだことに感慨深さを感じるな。まあ実際は数か月くらいしか立っていないけど。


「さて、今日はお主らを楽しませる為にメインイベントを用意したぞ。イッセー、出番じゃ」
「えっ?俺なにも聞いていないんだけど?」
「そりゃ今言ったからな」
「おい!」
「はっはっは、すまんすまん!」


 俺は親父に急にコロシアムに出ろと言われて驚いた。不満はあるがまあ仕方ないと思いコロシアムに向かった。


「久しぶりだな、ここに入ったのも……」


 まだ駆け出しだった頃、このコロシアムで猛獣と戦ったこともあったな。最後に入ったのは初めてテリーと出会ったときか。


 俺の登場に観客たちのボルテージは最高潮になりかなり盛り上がっている。


『これより美食屋イッセーとIGO副会長の茂松様との手合わせをご覧いただきます。この試合は賭けは出来ませんが余興としてお楽しみください』


 アナウンスからそう言った説明がされて茂松さん……いや茂さんがコロシアムの中に現れた。


「茂さんと手合わせか、久しぶりにするな」
「お前がどれだけ強くなったか楽しみにしていた。さあ、やろうか」


 茂さんは鼻に付けていたノーズグリップを外すと閉じていた左目を開眼させて筋肉を肥大させる。俺も戦闘態勢に入った。


「行くぞ!」


 俺は茂さんに接近すると左手でパンチを放った、茂さんはその攻撃を右足を上げて膝でガードする。


「ぬぅん!」


 今度は茂さんがパンチのラッシュで反撃してきたのでそれらをかわしてナイフで攻撃を仕掛けた。


「甘いわ!」


 だが茂さんは簡単にナイフを掴んで防いでしまう。そのまま壁に向かって俺を振り回して叩きつけようとする。


「させるか!」


 だが俺は叩きつけられる寸前に両足で壁に着地してその反動を利用して茂さんに蹴りを放つ。茂さんは片腕でそれを防ぐが、緩くなった拘束を外して距離を取った。


 俺達の攻防に見ていた観客たちも歓声を上げる。


「ふふ、中々に強くなったな。イッセー」
「はっ、相当手加減してるくせによく言うぜ」
「ならもう一段階ギアを上げて行こうか」


 茂さんはそう言うと腕を蛇の口のように構える。あの技はまさか……!?


「空を穿つ牙……『空牙(くうが)!!』


 すると茂さんの手から牙のような衝撃波が放たれた。


「フライングナイフ!!」


 俺はそれをフライングナイフで相殺する。


 あ、あっぶねぇ……!もし茂さんが加減してくれてなかったら俺のナイフを打ち消してコロシアムに大きな風穴を開けるところだったぜ……!


「いきなりそんな大技を使うな!加減してるとはいえ俺が避けたらどうする気だったんだよ!?」
「お前は避けんさ、そういう男だろう?さあ、もっといくぞ!」
「この隠れ酒好きの戦闘狂め!」


 連続して放たれる空牙をフライングフォークやナイフで相殺していく。


 というか何で俺は両手で攻撃を放ってるのにあの人は合わせた腕のみでそれ以上の攻撃を放てるんだよ、親父の凄さに隠れるけどこの人も十分人外だ。


「レッグ・ナイフ!!」


 一瞬の隙をついて接近した俺は足でのナイフを放った。


「蟒蛇斬り!!」


 その一撃を茂さんは足から放った蛇のような斬撃で打ち消した。


「ダブルフォーク・ダンシング!!」
「八岐大蛇!!」


 今度は両手での連続攻撃を繰り出すと、茂さんは両腕から高速のラッシュを放ち俺の攻撃にぶつけてきた。


 最初はなんとか打ちあえていたが、直ぐに不規則に放たれる攻撃の嵐についていけなくなり背中に一撃を受けた。


「ぐっ……レッグ・フォーク!!」
「蛇腹突き!!」


 体勢を崩しながらも放った足でのフォークを、茂さんは腕から放った蛇のような動きをする打撃で突き破ってきた。俺は腕を組んで更にフォークシールドで防ごうとするが凄まじい衝撃にふっとばされた。


「がはっ!?」


 俺は肺から息を吐き出すほどの衝撃を受けたが、直ぐに立ち上がった。茂さんは腕を組んで追撃はしてこなかった。


「やっぱ強いな、茂さんは……だがよ、俺だっていつまでもあんたらの背中を追ってばかりいるガキじゃないんだぜ!それを証明してやる!!」


 俺は茂さんに目掛けて一直線に走っていく。そして赤龍帝の鎧を纏ってブーステッド・釘パンチの体勢に入った。


「15×2で30連!!ブーステッド・釘パンチ!!」
「蛇王・撃龍衝!!」


 俺は必殺のブーステッド・釘パンチを放ち、茂さんは両腕をねじるように重ね、一気に解き放つ。すると腕から巨大な蛇のような一撃が放たれて俺の一撃とぶつかった。


「ぐううぅぅぅぅ……!!」
「ぬうううぅぅぅぅ……!!」


 凄まじい衝撃が辺りを振るわえた。最初は拮抗していたと思っていたが茂さんが力を加えると俺の一撃をかき消して俺を吹っ飛ばした。


 錐揉み回転しながらアリーナを覆うアクリル板にぶつかった。まさか身をもってこのアクリル板の頑丈さを思い知る事になるとはな……


「くっそ~……やっぱ遠いなぁ」
「いや、予想以上に強くなっていて俺も驚いた。見ろ、以前は傷もつかなかったのに今は右腕に傷を負っている」


 茂さんはそう言うと自身の右腕を俺に見せてきた。確かに斬り込みが入ってるな。


「それでもまだまだだよ。もっと修行して絶対に茂さん達に追いついてやるからな」
「なら俺もそれを楽しみにしておこう。いつかお前と飲む極上の酒を用意してな」
「そりゃ楽しみだ」


 差し出された手を掴んで立ち上がり茂さんと握手を交わした。その様子を見ていた観客たちは先程より大きな歓声を俺達に浴びせる。


「ふー、戻ったぞ」
「おいイッセー!お前の細胞を研究させてくれ!グルメ細胞と赤龍帝の籠手を宿した人間の細胞がどうなってるのか調べてぇんだ!」
「うわ!なんだ!?」


 観客席に戻るといきなりアザゼルさんがそう言ってきたので驚いた。


「済まない、イッセー君。一龍殿からグルメ細胞について話しを聞いていたのだが、それを聞いたアザゼルがすっかり興奮してしまってね……神滅具と強い悪魔を宿したグルメ細胞を両方持っている君の事を調べたくて仕方ないらしいんだ」
「なんじゃそりゃ!?」


 どうやら俺達が戦っている間に親父がグルメ細胞の事を説明してたみたいだな。バラキエルさんの話を聞いて俺はそう思った。


「どうじゃ?あれがグルメ細胞の力じゃ」
「なんというか……リアス達が隠そうとしていたのも納得の代物ですね。悪魔が知れば必ずそれを奪おうと動く者は現れるでしょう」
「教会も暴走する可能性がありますね」


 親父にグルメ細胞を持った人間の戦闘を見た感想を聞かれたサーゼクスさんとミカエルさんはそれぞれそう答えた。


「グルメ細胞の説明はまた後にするぞ。今度はグルメ界の入り口の一つである三途の道に向かうからな」
「おっ、いよいよグルメ界って奴を拝めるんだな。中に入るのか?」
「中には入らんよ、お主らでも簡単に死んでしまう……それがグルメ界じゃからな」


 アザゼルさんにそう言う親父の目はとても鋭く光っていた……


 だが俺は寧ろ期待に胸が溢れそうだった。いつか必ず皆と行くグルメ界、それを実際に見れるんだからな!


 そして俺達はルフェイのフロルの風を使い第1ビオトープを後にするのだった。

 
 

 
後書き
 ゼノヴィアだ。三大勢力のトップ達にグルメ界の事を説明していくが、実際に見てみると震えが止まらないな……


 だが私は美味しいモノを食べたい!その為だったらどんな地獄にだって向かうつもりだ、その為にも修行を再開したいが今は大事な時だから我慢しないとな。


 その後巻き起こる一龍殿と魔王サーゼクスとの一騎打ち!?魔王殿は全力を出したいと言っていたが果たしてその真意は……?


 そして戦いの後は美味しい食事だ!これこそグルメ界の醍醐味だからな!


 次回第94話『対決!一龍VSサーゼクス!D×G連合結成!!』で会おう!次回も美味しく頂きますだぞ!
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧