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神の料理

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第四章

「美味い、実にな」
「その通りだな」
 ゼウスも食べつつ述べた。
「どれも美味い」
「それも最高にな」
「見るのだ」
 ここでゼウスはこうも言った。
「他の神々を」
「うむ、誰もが楽しんでいるな」
「美味いからな」
「そうだな、オリーブは海の幸も美味しくするのか」
「それがオリーブなのです」
 アテナはポセイドンに微笑んで答えた。
「あらゆるものをです」
「美味くするか」
「その実を使っても油を使っても」
「そうなのだな」
「オリーブがあれば」
 まさにそれだけでというのだ。
「あらゆるものがです」
「美味くなるのか」
「そうなのです」
「そうなのだな、これは認めるしかない」
 ポセイドンは食べつつ述べた。
「オリーブのことをな」
「そうして頂けますか」
「まさに最高の実だ」
「左様ですね」
「あらゆるもの、海の幸まで美味くするな」
 こう言いつつ食べていった、そうしてだった。
 ポセイドンは以後自身の食卓でオリーブを用いる様になった、そうしながら海の神々に対して話した。
「忌々しいが美味い」
「オリーブはですね」
「実にな、だからそなた達もだ」
 神々の中にいるクリュサオルの言葉に応えた。
「食べるのだ」
「オリーブを使ったものを」
「そうするのだ、いいな」
「それでは」
「全く、また負けたではないか」 
 ポセイドンはこうも言った。
「アテネの取り合いにもな、そしてな」
「オリーブのことでもですね」
「アテナに負けた、しかしな」
「それでもですね」
「今回はよしとしよう」
 こう言いつつオリーブで味付けされた海の幸を楽しんでいった、ポセイドンはそれからもオリーブを使った料理を楽しんでいった。それは今もギリシアの海の中で続いているという。


神の料理   完


                     2022・3・14 
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