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抱きしめていて

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第二章

 私はゲームをはじめた、スマートフォンのそれをしたが課金はそこまでしてのめり込むつもりはないのでしなかった。そうしてだった。
 ゲームに飽きたところでお風呂に入って寝た、そんな仕事とゲームだけの日が続いた。
 そしてやっと仕事が落ち着いてだった。
 ほっとしたところで彼は出張から帰ってきた、それで部屋に入って来た彼にも話した。
「本当に忙しくて周りもそうでね」
「仕事ばかりでだったんだ」
「ええ、お部屋に帰っても寂しかったわ」
「ご飯を食べてもだね」
「職場の自分の机で食べるだけってね」
 会社の中の友達とそうするなら兎も角だ、会社全体が忙しくてそれも出来る状況ではなかった。
「寂しかったわ」
「そうだよね、食べ終わるとすぐまた仕事だよね」
「そんなのだったからね、けれどそれも終わって」
 忙しかった仕事も一段落してだ。
「ほっとしているわ、あなたも戻ってきたし」
「それは何よりだね」
「今からシャワー浴びるから」 
 私は彼に告げた。
「だからね」
「じゃあ僕も浴びて」
「ベッドで待ってるから。一緒に寝ましょう」
「そうしようね、じゃあね」
「ええ、何なら一緒に入る?」
 シャワーにとだ、彼に微笑んで誘いをかけた。
「これから」
「そうしていいかな」
「あなたがそうしたいなら。どうかしら」
「そう言われたらそんな気になったよ」
「じゃあ今からね」
「一緒に入ろうか」
「そうしましょう」
 こう言ってだった。
 私は彼の手を取って一緒にバスルームに入った、そこでお互い裸になって抱きしめられた。するとそれまで心の中を占めていた寂しい気持ちが急に消え去っていった。
 そしてベッドの中で一緒にいるともう忘れていた、それどころか満足していた。そのうえでゆっくりと目を閉じて二人で眠りに入った。


抱きしめていて   完


                  2022・2・27 
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