レーヴァティン
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第二百五十九話 ヴェネツィアに向かう中でその五
「仲良くなるぜよ、おまんともじゃ」
「僕ともなんだ」
「わしはおまん嫌いじゃないぜよ」
「僕もだよ」
剛は当季に笑顔で応えた。
「何か自然とね」
「波長が合うのう」
「こっちの浮島の皆ともでね」
「それでじゃのう」
「そちらの浮島の皆ともね」
微笑んでそうして話した。
「自然とね」
「仲良くなっちょるのう」
「皆波長が合うね」
「そうぜよ、これだけの数ならクラスじゃが」
「仲良しクラスだね」
「クラスも仲がいいならぜよ」
「それが一番だね、ただ僕としては誰かを除け者にすることは」
クラスの中でとだ、剛は話した。これは彼の考えでありそれこそ幼稚園の頃からそうした考えであるのだ。
「あまりね」
「好きじゃないのう」
「そうなんだ」
こう言うのだった。
「どうもね」
「だからそうなりそうなモンはか」
「なってる人もね」
剛は話した。
「いつも声をかけてるよ」
「おまんはいい奴じゃのう」
「ただ最近わかったけれど」
「何がわかったぜよ」
「いや、一人でいたい人もね」
「ああ、いるのう」
「そのことがわかったよ」
当季に考える顔で話した。
「どうもね」
「それのう、色々な事情や考えがあってのう」
「いつも一人でいたい人がいるね」
「人間いつも皆と一緒にいたいかっちゅうとな」
これがというのだ。
「そうとも限らんぜよ」
「そうなんだよね」
「もうどえらいトラウマ抱えて」
そうなってというのだ。
「いつも一人でいたい」
「そうした人もいるぜよ」
「心を閉ざしてね」
「あれぜよ、高等部の話聞いちょるのう」
「遠井君だね」
「今は親友さんと彼女さんに囲まれてぜよ」
当季はその彼遠井希望のことを話した。
「そしてぜよ」
「幸せだけれどね」
「それでもぜよ」
「以前はね」
「告白して振られてのう」
「告白する様に言った友達に裏切られてね」
「振られた時に色々あった様じゃのう」
それでというのだ。
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