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ハッピークローバー

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第三十三話 夏が近付いてその七

「これまでの自分を反省してね」
「よくなるどころかだったの」
「色々いい教えを聞かせてもらっていい人と出会えても」 
 そうなってもというのだ。
「天理教の仕組みを批判するだけになったの」
「えっ、仕組み?」
「そう、あれやこれやとね」
「そんなのどうでもよくない?」 
 留奈は本気で首を傾げさせて言った。
「いや、それよりも自分がどうかでしょ」
「どうあらためるかよね」
「だって働かないで離婚されてだから」
「普通はそう考えてね」
「そこで反省するわよね」
「それで修行して心を入れ替えるわね」
「そうなるでしょ」
 こう母に言った、真剣にわからないという顔になって。
「やっぱり」
「けれどそれがよ」
「天理教の仕組みに文句言う様になったの」
「それだけだったの」
「じゃあ修行させてもらった意味ないわね」
「それで当然行いも全然あらたまってなくて」 
 それでというのだ。
「働かない、感謝しない、尊大でしかも何も出来ないね」
「そんな人のままだったの」
「それで挙句はサラ金に手を出して」
「住んでる場所もなくなって」
「一旦ホームレスになってそこから見付けてもらって助けてもらったけれど」
「そこでも反省しないで」
「何処にもいられなくなってね」
 そうなってというのだ。
「遂にまたホームレスになったの」
「そうなの」
「奥華の方じゃ半分いなかったことにされてるそうよ」
「嫌われてたのね」
「だってお世話しても感謝しないで文句ばかり言うのよ」
 そうした輩だったからだというのだ。
「挙句皆から見捨てられてね」
「いなくなったのね」
「けれど悪名だけ残って」
「うちの学校が八条グループが経営していて」
「経営している八条家がその教会の信者さんだから」
 その関係でというのだ。
「その人のことを聞いてね」
「伝わってるのね」
「八条グループ全体にね」
「お父さんもグループの企業で働いてるしね」
「お母さんもね」
「それでその人のお話知ってる人多いのね」
「ええ、最低の人だったってね」
 その様にというのだ。
「今でもね」
「言われてるのね」
「もう死んだかも知れないけれどね」
「野垂れ死にね」
「そうなっていても」
 それでもというのだ。
「もう誰もよ」
「何も思わない人ね」
「そうよ」
 こう娘に話した。
「それでお母さんもこの人のお話聞いて知ってるから」
「私にお話してくれたのね」
「あんたにもお兄ちゃんにも絶対によ」
「そんな人になって欲しくなくて」
「それでそんな末路を迎えない為に」
「怒る時は怒るわ」
 人の道を踏み外すかしそうな時はというのだ。
「そうするわ、これからもね」
「そうするのね」
「全く最低な人もいたものね」
「その人はね」
「というか何の努力もしない人だったそうよ」
「そうなの」
「ただ本だけ読んでね」
 そうしてというのだ。 
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