救われた烏の雛達
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第二章
育てていった、するとオスカーはすくすくと大きくなった。そうしてだった。
飛べる様になると家の窓を開けて飛び立たせた、そして。
二人は飛び去っていく彼を見つつ心からよかったと思った、だが一日半程すると家のベランダにだった。
「カア」
「あれっ、オスカーじゃないか」
「そうね」
夫婦は家の中からベランダを見て話した。
「折角皆のところに返したのに」
「戻ってきたな」
「どうしてかしら」
「何かこっちを見ているぞ」
夫は妻にオスカーを見て話した。
「ひょっとして俺達に親しみ感じてるのか?」
「巣立つまで育てたからかしら」
「そうじゃないか?」
「じゃあオスカーの方に行ってみる?」
こう話してだった。
二人でベランダに行くと懐いてきた、それでだった。
二人はこの時からまたオスカーと一緒の時間を過ごす様になった、オスカーはよく家族や仲間達と共に家に来てだった。
ベランダや庭で夫婦と一緒の時間を過ごしてだった。
「カア」
「ニャア」
家の愛猫であるローラ、雌のサビ猫の彼女共雛だった頃からの付き合いでだ。
また仲良くなった、オスカーは自然に戻っても家族だった。夫婦はこのことを実感して心から彼との時間を楽しんだ。
動物好きな仕事仲間からその話を聞いてだ、イギリスドーセット州ウェーマスで船大工をしているリー=カルバートは自宅で妻のエリーゼに言った。今彼は仕事は一時解雇の状況でまた職場に戻る時を待っていた。
そうした状況の中でだ、金髪で長身で引き締まった体格に立派な髪の毛と同じ色の髭をたくわえた彼は薄いブラウンの髪を短くしたうえでセットした面長でソバカスのある茶色の目の妻に対して言った。
「うちと同じだな」
「今のね」
「まさかな」
「カア」
家の高い場所に停まっている烏を見て言った、性別は雄である。
「うちと同じ様な話があるなんてな」
「思わなかったわね」
「ああ、国は違ってもな」
「イギリスとカナダでね」
「それでもな」
「同じ様なお話があるのね」
「ああ、こいつを拾ってな」
その烏を見つつ話した。
「買いもの帰りに」
「ラッセル=クロウをね」
「そうしてな」
「烏の雛の飼い方勉強して」
「二十分ごとに餌あげて」
「そうしていってな」
そうしてというのだ。
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