ドリトル先生のダイヤモンド婚式
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第九幕その五
先生はお鼻にカレーの匂いが入ったことを感じました、すると左側に洋食屋さんがありました。ですが。
先生は皆に笑ってです、こう言いました。
「お昼を食べたからね」
「そうよね」
「ちょっとカレーを食べるのはね」
「残念だけれどね」
「出来ないね」
「お腹一杯食べて食欲もないしね」
だからだというのです。
「今回は入らないよ」
「そうだね」
「あそこのカレーも美味しいけれど」
「それでもね」
「入らないね」
「そうだよ、また今度だよ」
次の機会だというのです。
「その時に入ってね」
「食べようね」
「そうしようね」
「それじゃあね」
「今はね」
「匂いだけを楽しもう」
カレーのそれをというのです。
「そうしよう」
「そうしようね」
「じゃあ行きましょう」
「そうしよう」
「先に進みましょう」
「そうしようね」
こうお話してでした。
先生は皆と一緒に洋食屋さんの前を通って先に進んでいきました、そしてその先にあるお店がありました。
先生から見て右手に骨董品屋さんがありました、その店頭ショーウィンドウのケースの中にでした。
見事な置時計がありました、先生はその置時計を見て言いました。
「これはまた」
「あっ、これよくない?」
「この置時計は」
「ご夫婦のプレゼントにするにはね」
「いいんじゃない?」
「しかもお値段もね」
「うん、これはいいね」
先生はその時計を見て皆に応えました。
「本当にね」
「このお店の前で出会うなんてね」
「こんな見事な置時計に」
「これまでも探していたけれど」
「ここで会うなんてね」
「これは運命かも知れないわ」
「そうだね、運命だね」
先生は皆のその言葉に頷きました。
「これは」
「そうだよね」
「それじゃあ買う?」
「この置時計を」
「それでご夫婦のプレゼントにする?」
「そうする?」
「そうしよう、じゃあお店の中に入ろう」
こう言ってでした。
先生は皆と一緒にお店の中に入りました、そうするとです。
色々な古いものが並んでいる黒を基調としたシックな雰囲気のお店の奥のカウンターの席に座っている丸眼鏡をかけた髪の毛のないお年寄りに声をかけました。
「こんにちは」
「ドリトル先生じゃないですか」
「暫くです」
「今日は何のご用件ですか?」
「店頭の置時計のことですが」
「ああ、あれですね」
「あの置時計を買いたいのですが」
先生はお年寄りこのお店の店長さんである鈴木さんに言いました。
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