バスに乗って飼い主のところへ
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第一章
バスに乗って飼い主のところへ
アメリカニューヨークには色々な人がいる、それは人だけでなく生きものも同じだ。
シアトルから観光に来たイチロー=イマイ顔が某元日本人メジャーリーガーにそっくりで名前もそのままの彼はだった。
乗ったバスの窓際の席にチャトラの猫がいるのを見て言った。
「このバスは猫も乗るのか」
「ああ、そうだよ」
隣にいた白人の六十代位の男が笑って言ってきた。
「マリナーズとはそこが違うな」
「あっ、僕あの選手じゃないから」
イマイは男に笑って返した。
「顔はそっくりでも」
「そうなのか」
「同じ日本の血は引いていても」
それでもというのだ。
「僕は二世だからね」
「別人か」
「髭ないし」
顔はそっくりだがそうだった。
「別人だよ」
「そっくりさんでもか」
「スポーツはサイクリングだしね」
野球だけでなくだ。
「趣味は旅行だよ」
「それで今ここにいるんだな」
「そうだよ、それであの猫は」
「雄のタビー=ブーって言ってな」
白人の男は猫の名前を話した。
「隣にいる人の家族だよ」
「ああ、あの人のか」
見れば好々爺な感じの白人の男性が隣の席にいる。
「家族か」
「そうだよ、ああしてあの人の散歩にいつも一緒でな」
「外出の時もか」
「ああしてなんだよ」
「一緒なんだな」
「そうさ、大人しくて愛嬌のあるいい子だよ」
男はイマイに笑ってこうも話した。
「このバスに乘ってる皆の人気者さ」
「それは何よりだね」
「挨拶したら鳴いて応えてくれるしな」
「じゃあ僕も挨拶してみようか」
「降りる時にしたらどうだい?」
「次で降りるしそうするよ」
笑顔で応えてだった。
イマイは降りる時にその前にタビー=ブーと飼い主の席に来た、そして猫に対して笑顔で挨拶をした。
「こんにちは」
「ニャア」
猫は顔を向けて鳴いて応えた、その顔は確かに愛嬌のあるものだった。
イマイはニューヨークを旅行した次の年にはイギリスに旅行に行った、方言の様な違いがあるが同じ英語なのでこのことも大きかった。
それで今はエジンベアにいたが。
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