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雄と雌の違い

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第二章

「よく見るとな」
「わかるか?」
「トイレする時見るんだ」
 父はこの時のことを話した。
「散歩の時にな」
「家だとトイレでか」
 犬用のだ、ふわりは家ではそこでちゃんとするのだ。
「そこでする時か」
「雄は片足上げるんだ」
「ああ、後ろのか」
「それが縄張りにもなるからな」
「マーキングだな」
「だから片足上げてな」
「そこにちゃんとかかってか」
 洋介は父に顔を向けて言った。
「マーキングになる様にか」
「しているんだ」
「そうなんだな」
「けれどふわりはそうしないな」
「いつも足を下ろしたままその場でしてるよ」
「雌はマーキングしないんだ」
 父は息子にこのことを話した。
「だから特にこだわらずな」
「トイレしてか」
「そして足を上げないんだ」
「それでわかるんだな」
「ああ、犬を見極めるにはな」
 その性別をというのだ。
「トイレだ」
「それを見ればわかるんだな」
「そうだ、ふわりもそれでわかるからな」
「性格なんか完全に女の子でもな」
「ぱっと見でわからないからな」 
 家族でないと、というのだ。
「性格なんてな」
「仕草もか」
「ああ、それでも見極めようと思ったらな」
「トイレか」
「犬はそれを見ればいいんだよ」
「成程な、わかったよ」
 洋介は父の話をここまで聞いて頷いた。
「犬はトイレだな」
「その時を見ろよ」
「ワンッ」
 ここでふわりが起きた、そしてその通りという風にだった。
 一声鳴いてそれからケージを出てトイレをした、その時も足を上げることはなかった。


雄と雌の違い   完


                 2022・8・25 
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