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ハッピークローバー

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第三十二話 泳いだ後でその十四

「凝るところは凝るのよ」
「どんなところにですか?」
「文学とかポスターとか音楽とかね」 
 そうしたものにはというのだ。
「あとバレエにも」
「凝るんですね」
「そしてバレエを活かせるものは」
「シンクロとか新体操とかですか」
「そうしたのは物凄く凝るのよ」 
 ロシアはというのだ。
「そうしたお国柄なの。けれどそうしたもの以外はね」
「凝らないんですね」
「大雑把よ。そもそもロシア人って商売上手ってイメージあるかしら」
「ないですね」 
 かな恵ははっきりと答えた。
「そういうのは」
「そうでしょ、実際にね」
「ロシア人は商売は苦手ですか」
「欧州ではイタリア人やオランダ人が有名だけれど」
 商売上手だとだ。
「ロシア人はね」
「商売については」
「あれば売るという様な」
 そうしたというのだ。
「感じでアメリカ人や中国人と比べると」
「負けますか」
「勝負にならないわ」
 ロシア人として言うのだった。
「元々素朴で真面目に黙々と働くのが美徳だし」
「イワンの馬鹿ですか」
「そう、ああした風がね」  
 トルストイが世に出したこの話の様にというのだ、トルストイはロシアの面白い話や童話も世に紹介しているのだ。
「いいとね」
「ロシアでは思われてるんですね」
「それに無欲だし」
 ロシア人はというのだ。
「がめつく稼ぐというのもね」
「あまりないですか」
「ええ、だから商売もね」
「商売って儲けるのが考えですね」
「その儲けるという考えがね」
 これがというのだ。
「あまりないの」
「イタリア人やオランダ人みたいに」
「そしてアメリカ人や中国人よりもね」
「そうなんですね」
「勿論日本人よりもよ」
 かな恵を見て話した。
「全然駄目よ」
「そうですか」
「ものはあって使えたら」
 それでというのだ。
「いいというね」
「そうした考えなんですね」
「そうした考えになるの」
 ロシア人はというのだ。
「だからよりよい品質をとかね」
「そうした考えもですか」
「日本人と比べてあまりね」
「ないですか」
「だからコンドームもね」
 こちらの品質もというのだ。
「日本の方が遥かに上よ」
「そうですか」
「しかもソ連時代もあったし」
 先輩はこの頃の話もした。
「あの頃はもう決まった時間働けばよくて造るものもね」
「あっ、ただ造ればいいですね」 
 かな恵は自分が知っている共産主義即ちソ連の知識から応えた。 
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