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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 

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第八幕その十一

「本当にね」
「問題ないんだね」
「特にね」
 そうだというのです。
「健康診断を受けることはいいことだけれどね」
「気にし過ぎてもだね」
「よくないでしょ」
「それはね」
「だからね」
 それでというのです。
「あまり気にしないでいいわ」
「そうなんだね」
「いつも気を付けても」
「心配はし過ぎない」
「そうでしょ」
「そうだね、僕もいつも言ってるし僕自身ね」
 先生はまた自分のことをお話しました。
「元々ね」
「細かいことは気にしないわね」
「そうだしね」
「だったらね」
「あまりだね」
「気にしないで」
 そうしてというのです。
「暮らしていくよ」
「そうしてね」
「わかったよ、あとね」
 先生はこうも言いました。
「今晩は寒くなりそうだから」
「ええ、結構以上にね」
「トミーがお鍋をしようって言ってるんだ」
「いいじゃない、あったまるわよ」
 お静さんは先生に笑顔で応えました。
「それに栄養バランスもいいわ」
「お野菜も沢山食べられるしね」
「そうよ、それで何のお鍋にするのかしら」
「軍鶏鍋だよ」
「そちらなのね」
「トミーが坂本龍馬さんが軍鶏鍋を好きだって聞いてね」
 そうしてというのです。
「今夜はそれをとお話してね」
「軍鶏鍋になったのね」
「そうなんだ」
「いいじゃない、実は私もあの人に会ったことがあるのよ」
「坂本龍馬さんにだね」
「その頃の私はまだ若かったわね」
 お静さんは笑って言いました。
「見て思わずときめいたわ」
「恋をしたのかな」
「そこまでいかなかったかも知れないけれど」
 それでもというのです。
「素敵な人だと思ったわ」
「そうだったんだね」
「前向きでね、ざっくばらんで」
「そうした人だったと評判だね」
「小さなことにもこだわらなくて」
 そうした人だったというのです、坂本龍馬さんは。
「それに先生位に大きかったわ」
「ああ、あの人はそうだったらしいね」
「その頃は皆小さかったけれどね」
「日本の人達もね。西洋でもあまりね」
「大きくなかったの」
「実はナポレオンの頃でもフランス人は平均で一六〇位だったんだ」
 それ位の背だったというのです。
「当時の日本人は一五五位だったね」
「大体ね」
「一五〇だったかも知れないね」
「今じゃ女の人でも小柄だけれど」
「当時は男の人でそれ位でね」
「勝海舟さんも今から見たら小さかったわ」
 この人もそうだったというのです。
「驚く位ね、けれど龍馬さんはね」
「僕と同じ位でだね」
「頭一つ分は普通に飛び出ていてね」
 そこまで大きくて、というのです。
「目立っていたのよ」
「そちらのことでもだね」
「その背丈のこともあってよ」
「お静さんは龍馬さんにときめいたんだ」
「ええ、だから京都でああなったって聞いて」  
 それでとです、お静さんは悲しいお顔になって言いました。 
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