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レーヴァティン

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第二百五十八話 ヴェネツィアへ向かいその一

               第二百五十八話  ヴェネツィアへ向かい
 当季はワイン風呂の中で生き返った様な笑顔で言った。
「まっことよかぜよ」
「本当にその様でござるな」
「いや、サウナで汗をかいて水風呂で冷やして」
 共にワイン風呂に入っている進太に応えた。
「そうしてまたサウナと水風呂に入ってぜよ」
「今こうしてでござるな」
「ワイン風呂に入ってぜよ」
 そこまでしてというのだ。
「まっことぜよ」
「お酒が抜けたでござるな」
「そうなったぜよ」
 まさにというのだ。
「完全にのう」
「それは何よりでござるな」
「やっぱり二日酔いには風呂ぜよ」 
 当季はこうも話した。
「最高ぜよ、それでワイン風呂じゃがのう」
「どうでござるか」
「菖蒲湯も柚子湯もいいが」
 東の浮島にあるこうした風呂もというのだ。
「この風呂もいいぜよ」
「気に入ってくれたでござるな」
「まっことのう、色もよくて」
 見れば奇麗なワインレッドである、赤ワインのそれで湯舟が染まっていて実に魅力的な色になっている。
「そして香りもぜよ」
「いいでござるな」
「ワインのそれがのう」
 右目を瞑り顎に右手を当てて述べた。
「いいぜよ」
「東の浮島ではお酒をお風呂に入れるでござるか」
「日本酒を入れるぜよ」
「そうでござるか」
「酒風呂はあるぜよ」
 これはというのだ。
「あの谷沢さんも入ったっちゅう」
「谷沢さん?誰でござるか」
 進太はその名を聞いてもわからなかった、それで怪訝な顔になってそのうえで当季に対して尋ねた。
「一体」
「中日ドラゴンズの選手だった人ぜよ」
「ああ、あの人でござったか」
 チームの名前を言われてだ、進太も頷いて応えた。
「ミスタードラゴンズの」
「そうぜよ、足が悪かったが」
 アキレス腱の炎症であった、それで戦線も離脱していた時期があった。 
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