DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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<海上>
今食堂では、マリーが変化の杖を使いリュリュに変化をした。
食堂内にいた水夫等からは、マリーの姿に響きが沸き起こる。
「す、すげぇ…美人…」
隣にいたウルフは、それが自分の彼女である事も忘れ、見とれ呟く。
「どう?…勝てる?…言っておくけど、魔王より手強いわよリュリュお姉ちゃんは!」
絶句するアルルに、追い打ちをかける様に語るマリー。
「か、勝てないかもしれない…」
今更ながら後悔するアルル…
「アルル!勝ち負けなんて関係ない!…確かに僕はリュリュが好きだ。でも、アルルの方がもっと大好きなんだ!それにリュリュは妹なんだ…どんなに好きになっても、これ以上はどうにもならない…だから…アルルが気にする必要は無いんだよ」
「つまりお兄ちゃんは、ヤれない女よりも、ヤれる可能性のある女に鞍替えしたって事かしら?」
「何でそう言う下品な言い方するんだ!」
マリーの言葉にティミーが怒鳴る。
「だって、お兄ちゃんの父親の娘よ!こうなっちゃうでしょう…」
「はぁ…父親にだけは似てほしく無かったのに…」
珍しく兄妹喧嘩をするティミーとマリー(姿はリュリュ)を余所に、繁繁とリュリュの体を観察するアルル。
「でかい………」
不意にリュリュの胸を鷲掴み、溜息を吐く。
「そうよぉ~!ちょっと歩くだけで、ブルンブルン揺れるのよ!男はみんな、これに釘付け!」
「アルル…そんなに気にする事はないよ。ティミーはアルルにベタ惚れだから!」
絶望するアルルを見かね、リュカが優しく諭す。
「で、でも…コレですよ!コレに惚れてたのに、簡単に私に鞍替え出来るんですか!?」
「一応は僕の娘なんだからさ…コレって言わないでよ………アルル、良く聞いて。この船の船長…モニカの彼氏はカンダタだ。モニカはあの不男に惚れている!僕達大勢の前でプロポーズしたんだから、相当なモノだと思う。でもモニカは、カンダタの見た目に惚れたんじゃ無いと思うよ…もしそうだとしたら、かなり趣味の悪さだね!」
アルルはこの状況を楽しそうに眺めるカンダタを睨み、深く溜息を吐いた。
「で、でも…」
「アルルちゃん…ウルフ君を見てご覧なさい」
ビアンカが義理の娘を諭す為、アルルを優しく抱き寄せ語り出す。
「ウ、ウルフが何ですか?」
「ウルフ君は間違いなくロリコンじゃ無いわ!何故なら私の胸元やスカートの中を意識している事がよくあるから…私の思い違いじゃ無いわよ。私は昔からそう言う目で見られてきたのだから間違いないわ!」
アルルはビアンカに抱き締められ、心地よい温もりに心を落ち着かせる。
「そんなウルフ君が、まだ8歳の少女に恋をした!どう考えても見た目に惚れたワケでは無いでしょう。彼はマリーの内面に惚れ込んだのよ!」
「内面に…」
「そうよ…勿論リュリュの内面も素晴らしい娘だけど、ティミーの心を掴んだのは貴女の内面なのよ…自信を持って!」
「はい…」
ビアンカの言葉に『はい』とは言ったものの、まだ納得はしていない様子のアルル…
「それにアルルちゃん!あまり私の息子を侮辱しないでもらいたいわね!」
「侮辱!?わ、私は別に…」
「貴女は私の息子が、見た目重視で女の子に惚れると思ってるでしょ!…現に、リュリュの姿を見て『勝てない』って言い切ったわ!」
「そ、そんなつもりで言ったのでは…」
「分かってるわよ…アルルちゃんが…いえ、皆さんがティミーの事をどう思っているのかは!」
「「「え!?」」」
ビアンカの台詞に、周囲からも驚きの声が上がる。
驚いてないのは家族だけだ。
「皆さん、こう思ってるのでしょう…極度のシスコンで巨乳フェチ!それが私の息子、ティミーだと!」
本人と家族以外は皆が頷く。
「マリー…」
「は~い」
周囲の驚きを無視して、ビアンカはマリーに声をかける。
するとマリーは変化の杖を掲げ、再度変化した。
目の前に現れたのは、美しいブロンドに青い瞳…どことなくビアンカに似ている美女…それ以上にティミーとそっくりな美女に変化したマリー。
「こ、これがポピーさん…!?」
同姓のアルルが溜息を吐く。
「ポピーもリュリュと同い年の、ティミーの妹よ!でもティミーが大嫌いな女…」
「こ、こんな美女に囲まれて生きてきたのか!?ずりーなぁ…」
ウルフが心のままの感想を述べる…
「全部妹だよ!」
「そ!この娘も妹………シスコン男が放っとくわけないわ!でもティミーはポピーに惚れてない!むしろ………」
「つまり…私が思っていたティミー像は間違っていた…と?」
「そうよ!ティミーがシスコンに見えたのは、初恋がリュリュだから…でも、初恋時には妹だとは知らなかった。それと…優しい子だから、マリーに対して甘く接した所為ね!マリーをリュカ色に染めないようにと努力してたから…」
「手遅れでしたけど…」
ビアンカの言葉に、悔しそうに呟くティミー…
「ふふふ……アルルちゃん、ティミーはね…全くと言って良いほど父親に似てないわ。でもね、たった1つだけそっくりな所があるの…何だと思う?」
「………性別……とか言わないですよね…?」
「それ、面白いわね!面白いけどハズレよ…リュカとそっくりな所は、見た目で人を判断しないとこよ!」
室内の皆が、リュカとティミーを交互に見る…
「つまり私の不安は杞憂って事ですね!?」
「そうだよアルル…僕はアルルが大好きなんだから!」
そう言うとティミーは、アルルを抱き寄せキスをした!
一瞬、ティミーだとは思えないほどの大胆さで!
誰もが変化の杖の行方を目で捜す!
ポピーの姿のままのマリーが、まだ持っている事を周囲に示す為、高らかと掲げた。
「ど、どうやらティミーね…リュカが化けてたワケじゃ無いみたいね…」
ビアンカの言葉を聞き、自分が自分らしくない行動をした事に気付き、赤面するティミー…
確実に彼がティミー本人である事に安堵する周囲。
この日の事で、ティミーの気持ちは確実にアルルへと伝わった…
そして周囲に、ティミーへの誤解も解けたのだ。
変態的なシスコンではなく、天然記念物並みの純情男であると…
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