ドリトル先生のダイヤモンド婚式
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第八幕その五
「さして思わないね」
「美味しいかどうかよね」
「例えば大阪の難波の自由軒とかね」
「あそこのカレーを食べるのね」
「蓬莱の豚まんを食べたりご近所の明石焼き食べたり」
「それでいいのよね」
「僕はね。だからね」
それでというのです。
「贅沢なご馳走にもね」
「興味がないのね」
「美味しかったら」
先生は笑顔でお話しました。
「それでいいよ」
「ステーキにしてもそうね」
「うん、美味しかったら」
それならというのです。
「もうね」
「どんなお肉でもいいのね」
「正直神戸牛は高いよね」
「但馬牛とかもね」
「和牛はとても美味しいけれど」
このことは事実でもというのです。
「高いからね」
「その辺りで売っているお肉でいいのね」
「ステーキもそうでね」
それでというのです。
「すき焼きやしゃぶしゃぶもね」
「美味しかったらなのね」
「安いお肉でね」
それでというのです。
「全くね」
「構わないんだね」
「そうだよ」
本当にというのです。
「それでね」
「無欲ね、贅沢も求めないなんて」
「着ている服もね」
「いつも外出の時はスーツよね」
今は作務衣の上にどてらを着ています、そのお姿がとてもよく似合っていて絵になってさえいます。
「あのスーツも」
「実は然程なんだ」
「高いものじゃないのね」
「そうなんだ」
「礼儀正しい感じで如何にも紳士だけれど」
「スーツは紳士の正装だからね」
「外出の時はいつもなのね」
お静さんも頷きました。
「帽子を被って冬はコートを着て」
「ちなみにタキシードとシルクハットも持ってるよ」
「そちらもよね」
「けれどどの服もね」
「贅沢なものじゃないのね」
「そうなんだ、ブランド者でもね」
こうしたものでもというのです。
「ないよ」
「そうなのね」
「本当にね」
「贅沢はしていないのね」
「贅沢は全く性に合わないよ」
先生は言いました。
「遊びでも旅行は好きでもギャンブルや煙草はね」
「しないわね」
「どちらも全くね」
「勿論麻薬もよね」
「シャーロック=ホームズさんとは違うよ」
コカインが好きだったこの人とはというのです。
「全くね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのです。
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