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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその十二

「それでこの世を覆ってあげるわ」
「その意気です。だからこそ我々も貴女と共にいるのです」
「私がそうした者だからこそなのね」
「はい、その妖術と憎悪、思う存分発揮されて下さい」
「そうさせてもらうわ」
 こんな話をしてだった。彼等もだ。 
 前線に出た。そのうえで指揮を執るのだった。
 司馬尉は自らその手に闇をまとわせ放ちながらだ。血走った目で言うのだった。
「九尾の狐の力、見せてあげるわ!」
「何っ、司馬尉仲達自らだと!」
「自ら出て来たというのか!」
「雑魚は消えなさい!」
 闇の波動を繰り出しだ。連合軍の兵達を吹き飛ばしだった。
 司馬尉は櫓に向かう。そしてそのうえで。
「諸葛孔明、この手で!」
「いかん、行かせるな!」
「司馬尉を倒せ!」
「敵の総大将だぞ!」
「その首を取れば恩賞は思うままだ!」
「早く何とかしろ!」
 連合軍の兵達の間で命令が乱舞する。しかしだった。
 司馬尉は強かった。そのあまりもの強さでだ。
 己に群がる兵達を薙ぎ倒していきだ。こう叫ぶのだった。
「うぬ等雑魚では相手にならん!どきなさい!」
「くっ、この女やはり」
「只の人ではないか」
「魔性の者」
「まさにそれか」
 血走った目が吊り上がり口は耳まで裂け髪は逆立っている。その鬼気迫る顔はまさに異形の者のそれだった。その者が進みだ。
 櫓に迫る。兵達には為す術もない。
 しかしその彼女の前にだ。ある者が出て来たのだった。
「待て、司馬尉仲達!」
「御主は」
「関羽雲長、知っているな」
 その得物を構えてだ。関羽は司馬尉の前に来たのだ。
 そしてそのうえでだ。こう彼女に告げたのである。
「その首貰い受ける」
「関羽雲長、うぬが私を止めるというの」
「私だけではない」
「恋もいる」
 呂布だった。彼女は于吉の前にいた。
 そうしてだ。こう于吉に言ったのである。
「張譲を使って月に酷いことをしたのは御前」
「命は無事だったではないですか」
 于吉はその呂布に対して平然と嘯いてみせる。
「ではいいではありませんか」
「わかった。やっぱり御前は倒す」
 その方天戟を構えてだ。呂布は言った。
「ここで倒す」
「では。劉備さんを倒す前に貴女を倒しましょう」
「行く」
「御主はここで倒す!」
 関羽もだ。司馬尉に突き進みだ。戦いをはじめる。そしてだ。
 正面からぶつかる。司馬尉は関羽にも闇の波動を放つ。その波動にだ。
 関羽は得物を大きく振ってだ。衝撃波を出した。その衝撃波でだ。
 闇の波動を相殺してだ。こう言うのだった。
「御主の波動、見切った」
「くっ、私の術を防ぐとは」
「では行くぞ。ここでこの戦乱終わらせる!」
「やれるものならね。私の闇はこれで終わりではないわ!」
「見せてもらおう。その術もな!」
 二人の死闘がはじまる。そしてだ。
 呂布もだ。于吉に対して戟を繰り出す。まずはだった。
 無数の突きを繰り出す。しかしだ。
 于吉はその突きをかわしていってだ。こう言うのだった。
「御見事です。やはり貴女は」
「恋は。何?」
「この世界で随一の武芸者ですね」
「恋、強くない」
 呂布はそれは否定した。
「むしろ弱い」
「そう仰る理由は何故でしょうか」
「恋は一人だと弱い」
 一人ならばだというのだ。
「ねねがいてくれて月や詠達もいてくれて」
「それでだと仰るのですか」
「はじめて戦える。だから恋一人では弱い」
「面白い考えですね」
「自分の為にだけ戦うなら限界がある」  
 そうだというのだ。それならばだとだ。
 
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