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イベリス

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第六十三話 夏が近付く中でその八

「結局はね」
「人生であって」
「教育ですか」
「それでなるものですね」
「人間の屑になり果てるのも教育で」
 それによるものでというのだ。
「親もだね」
「重要ですね」
「駄目な親が駄目な子供を作る」
「人間の屑が人間の屑を作るんですね」
「性格とかは遺伝じゃなくて影響だよ」
 それによって成るものだというのだ。
「ヤクザ屋さんの子供もヤクザ屋さんの中で育ったらヤクザ屋さんになるけれど」
「普通の家でそだったら」
「ヤクザ屋さんにはならない」
「普通の人になりますね」
「そうなるしね、これは遺伝じゃないよ」
 性格のことはというのだ。
「本当にね」
「影響ですね」
「それでなるものですね」
「最初は真っ白だから」
 部長はまたこう言った。
「人間はね」
「それなら遺伝じゃないですね」
「性格のことは」
「親がどうでも後でどうにでもなる」
「そういうことですね」
「だから聖人になるにもね」
 この場合もというのだ。
「そうした風に書かれていって」
「屑になるにもですね」
「そうした風に書かれていって」
「そうなっていくんですね」
「どうしたらこうなるんだっていうのは」
 この言葉の意味はというのだ。
「どれだけ悪い連中と付き合ってきて」
「悪いものを観て」
「悪い経験をしてきて」
「悪い人間になったからですね」
「そういうことだよ」
 こう言うのだった。
「要するにね」
「屑になるには理由があって」
「その屑はですね」
「それはですね」
「本当に屑になる人生を送ってきたってことですね」
「そういうことだよ、それで屑になり過ぎたら」
 人間はというのだ。
「もう更正もね」
「出来ないですね」
「屑になり過ぎたら」
「もう更正出来ないんですね」
「そうなれないんですね」
「聖人が絶対に屑にならない様に」
 どんなものを見て経験してもというのだ。
「もうそうならない確かなものを持ってるから」
「屑もですね」
「決して更正出来ないものを備えてしまって」
「それで、ですね」
「もう何があっても更正出来ない」
「そうなるんですね」
「どんな哲学や宗教でもだよ」
 例えどの様な素晴らしい教えを聞いてもというのだ。
「更正しないよ、本当にね」
「全く更正しない」
「それで、ですね」
「屑のままですか」
「あまりにも酷いと」
「多少以上に酷くても更正出来るけれど」
 それでもというのだ。 
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