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相良絵梨の聖杯戦争報告書

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神奈一門 対娼婦特攻

 冬木市郊外にはアインツベルン私有地の森があり、そこにアイツベルンの冬木市聖杯戦争用の拠点城があると言われている。
 ご丁寧に書類上は外資系企業所有となっているが、そのは天下の覇権国家。
 衛星写真は全てを見通すのである。


「これ、何だと思います?」

「城ですね」
「城でしょう?」

 アンジェラから渡された衛星写真にポツンとある西洋風の城を見た私と村田浩一郎警視がつっこむ。
 土地の所有者とその外資系企業がアインツベルンのペーパーカンパニーである事を調べたのか村田警視の仕事だったりする。


「最近の衛星って高性能で、夜ならば灯りまで分かるのですよ。
 で、これが夜の写真。城に灯りが灯っています」

 アンジェラの言葉に村田警視が苦々しそうにつぶやく。
 この国の監視システムは高度に整備されており、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、セラ・アインツベルン、リーゼリット・アインツベルンの三人を監視カメラではほぼ把握していたにも関わらず、その補足に失敗していたのである。
 魔術万歳である。

「説明をお願いしても?」

「ああ。都内の監視カメラで補足後、任意聴取という形で接触しようとしたが、捜査員がそこに行くと三人が居ない事例が頻発したんだ。
 おまけに、その間の記憶がないと来た。
 そんな事が冬木に入るまで八回も行われたという訳だ」

 アンジェラの質問に村田警視が苦々しそうに言い放ち私は苦笑するしかない。
 八回という回数は県をまたいだからで各県警が手を出して返り討ちにというパティーン。
 お役所仕事あるあるである。

「それについては理解しました。
 ミズ神奈。
 魔術的な見地から説明をおねがいしても?」

「隠すほどの事もないですね。
 アインツベルンの連中は分かりやすく言えば、暗示とか催眠術で警察を追い払った。
 多分その段階で情報抜かれていますよ」

「公安案件で任意聴取の要請をかけていた。
 現場にはそれ以上の情報は与えていない。
 署に連れて行けば、そこで公安が話を聞く手はずになっていた」

 私の言葉にアンジェラが顔を厳しくして村田警視を睨むが、村田警視は平然と釈明する。
 味方同士のはずなのだが、空気の重たい事重たい事。

「アインツベルンは日本の警察が動いている事に気づいた。
 次は圧力をかけてくると思いますね」

 そんなタイミングで電話がかかる。
 相手はあの言峰綺麗だった。

「……アインツベルンの使い魔から『この国の警察が絡んできた』と苦情が来たが?
 きみたちの事を伝えたがいまいちピンときていなかったようだが、あれでよかったのかな?」

 慇懃無礼な声はスピーカーで二人にも聞こえるようになっている。
 聞いていた二人の感想だが、二人とも『詐欺師』だったのは笑っていいだろう。

「ええ。かまいませんよ。
 アインツベルンの対処はこちらでいたしますので」

 事務的な会話を交わして電話を切る。
 言峰神父は遠坂凛の保護者でもあるのだが、冬木警察署から釈放時に保護者である彼に連絡が行っている事を私たちが知っているのにそれを一言も口にしなかった。
 受話器をおいてため息をつく。

「多分、遠坂凛は聖杯戦争に出る事になるでしょうね。
 言峰綺麗の操り人形として」

 魔術師には魔術師の理があるのは分からなくもないが、殺人をはじめとしたこちらの社会に影響を及ぼすのはな話は別である。
 ましてや、罪のない未成年を殺人者に仕立て上げるのならば、それ相応の代償を払ってもらう必要があるだろう。
 とはいえ、こちらの仕事は事が起こらないと動けない、つまり予防ができないのだ。

「今の言峰神父ですが、公安に経歴を洗わせているが引っ張れる要素が見当たらない。
 何もないというより、経歴を綺麗にしている痕跡は至る所にあったがな」

 聖堂協会の神父で代行者なんてのをやっていた前歴もちの神父である。
 経歴はそりゃ綺麗に洗われたおかげで、表向きに手が出せない。

「話を変えましょう。
 ネオナチの残党ですが、欧州で何人かの魔術師と接触しています。
 先に上陸した連中は囮で、本命はこっちと踏んでいるわ」

 アンジェラが顔つきのレポートを私に渡す。
 何だろうか?
 イケメンではホストとかヒモみたいな顔が出てきた。

「相良豹馬。
 情報屋としても知られている二流の魔術師。
 まぁ、ネオナチ残党だからそれぐらいの奴しか接触できなかったのかもしれないけどね。
 まだ、ロンドンに居るみたいだけど、一週間後に成田行きのチケットをとったわ」

 先に警察側にも情報を送っていたのか、村田警視が口を挟む。

「こいつは新宿の繫華街で活動していて、現在六導玲霞という娼婦のもとで暮らして……」

 ん?
 娼婦?

 私は二人の会話の後受話器をとって電話をかける。
 相手は敬愛する姉弟子様だ。

「あ。姉弟子様。
 少しお願いしたい事がありまして……」

 かくして、令呪の出ていた六導玲霞は保護され、相良豹馬は日米捜査機関の要請と言う形で英国にて緊急逮捕される事になった。 
 

 
後書き
 この作者のこの一門は娼婦特攻持ちである 
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