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悪左府

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第二章

「だからな」
「通われてですか」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「絆を築く、絆を持てばな」
 それでというのだ。
「麿の力になるからな」
「だからですか」
「それで、ですか」
「源様の屋敷にも通われ」
「そのうえで」
「麿を助けてもらう」
 頼長は自身に仕える者達に話した、そしてだった。
 夜に牛車を出して源成雅の屋敷に赴いた、するとすぐに逞しい身体を持つ大柄な男が出て来てであった。
 頼長を見てだ、驚きを隠せぬ顔で彼に言った。
「これは驚きました」
「何故でしょうか」
「左大臣様が来られるとは」
 天下に権勢を持つ彼がというのだ。
「全く以て」
「こうしたことはです」
 頼長は驚いている成雅に静かに答えた、静かだが口調は強い。
「自分から参ってです」
「そうしてですか」
「結ぶものなので」
「だからですか」
「はい、それでなのですが」
 頼長はさらに言った。
「今宵は麿をです」
「左大臣様をですか」
「源殿が攻めて欲しいのですが」
「そうして宜しいのですか」
「麿がいいと言っているのです」
 他ならぬ自分がというのだ。
「ですから」
「それでは」
「お願いします」
「そこまで言われるのなら」
 政雅は頼長の言葉に頷いた、そうしてだった。
 二人で部屋に入った、そのうえで。
 暫くしてだ、頼長は裸で自分と同じく服を着ていない成雅に話した。
「いや、全くです」
「よかったですか」
「普段は麿が攻めていますが」
 しかしというのだ。
「こうしてです」
「攻められることもですか」
「よいものです」
「といいますと攻められることも」
「好きでして」
 頼長はその痩せた顔に笑みを浮かべて話した。
「時々ですが」
「そうしてもらっていますか」
「はい、そして源殿の攻めですが」
 彼のそれの話を具体的に話もした。 
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