おっちょこちょいのかよちゃん
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222 休息中の襲撃
前書き
《前回》
スターリンとの戦いで疲弊したかよ子達は本部より支給された水を飲みながら休息を取る。その一方ですみ子達組織「義元」は福岡の小学生達と雷の山の守護を頼むために合流する。だがその場に戦争主義の世界の人間・トロツキーが現れ、交戦する事に。さらにすみ子達に撃退されたはずのアルバート、アリス、ヘレナの三人が再び現れ、戦いは激しくなる!!
玲衣子達福岡の四人組の小学生達はアルバート達を、すみ子達組織「義元」はトロツキーを狙い定めた。山口、川村、ヤス太郎の攻撃がトロツキーを窮地へと引きずり込む。
(ぐっ、こうなったらもう勝ち目がない・・・!!)
やがてトロツキーの姿が消えた。アルバート、アリス、ヘレナも消えている。
「やったか!?」
「・・・く、駄目だ。逃げられてしまった」
「何だって!?」
「トロツキーにはこう言う窮地に陥った時に限って瞬間移動で避難する能力を使用するのだ。多くの者が幾度か追い詰めておきながらこれで逃してしまっている」
「私の能力封印も間に合いませんでした。申し訳ない・・・」
「取り逃がしちまったならしょうがねえな・・・」
「でもここの守備は我々が行おう」
「ああ、頼んだぞ、道真。我々は先へ進むぞ!」
「うん・・・!」
すみ子達は四人の小学生と道真に雷の山を託して次なる領土の攻め込みを続行した。
トロツキーは最後の手段として窮地に陥った時に緊急で瞬間移動する能力でアルバート、アリス、ヘレナと共に別の場所に移動した(なお瞬間移動は完全に窮地に陥った時の切り札としてしか発動できず、通常は使用できない)。
「くそ、復讐に成功できるかと思っていたのだが・・・」
アルバートは悔しがった。
「仕方あるまい。ムコーも援軍が来ていたのだから。上の命令が下るまで貴様らもヴィクトリアの所へ戻って待機しているとよい。私はレーニン様に連絡をしにひとまず休憩する」
「了解。アリス、ヘレナ、戻ろう」
「はい、父上」
トロツキーはアルバート達と別れて自分の屋敷に戻って行くのであった。
「あのレンチュー、聞いた話では我が妹を葬った者共だな・・・。必ず倒す・・・」
かよ子達藤木救出班は休憩を続けていた。
「そろそろ、行かないとね」
「そうだな、だが、某から見てお主はまだ万全な状態ではなさそうだな。我々も援護しよう。あまり一人で解決しようとはせず、少しは頼るとよい」
「次郎長さん、うん、ありがとう・・・」
かよ子はそう言われて少し心を落ち着かせる事ができた。その時、大野や関根などがそわそわしていた。
「おい、また来てやがるぜ」
「え?」
「杖を奪いに来おったか!皆の衆、山田かよ子を全力で守護して戦うぞ!」
「おう!」
「わ、私も足を引っ張らないようにするよ!」
「ああ、だが、お主もあまり無理するでない」
「う、うん・・・。のりちゃん、のりちゃんのキャロラインで見つけられる?」
「やってみるわ!」
のり子は自身の人形で索敵を試みた。
「いたわ!あそこよ!」
「よし!ボクちゃんが行くよ!」
関根は刀を振るう。風邪の刃を作り出し、遠くへ飛ばす。その遠くへ飛ばした刃が砕かれた。
「あそこだなブー!」
ブー太郎は水の石を利用して大波を出した。だがその時、急にブー太郎の両手が上がった。
「ブー太郎、どうしちゃったのお?バンザイなんかしてえ?」
まる子がからかった。
「違うブー!両手が勝手に上がったんだブー!」
そしてブー太郎の手から石が離れた。関根もいつの間にか刀を話して両手を挙げている。
「こ、これは敵の能力なの!?」
かよ子は驚いた。
「ここにいたか。杖の所有者が!」
遠くから男の声がした。
「だ、誰!?私の杖を取りに来たの!?」
かよ子は問答する。男は近づいて来た。
「そうさ。我が名はムラト1世。オスマン帝国の皇帝の一人だ!」
「お、おすまん・・・?なんじゃ、そりゃ?」
友蔵は言葉が聞き取れなかった。
「オスマン帝国!嘗て中東にあった帝国だ!」
石松は単刀直入に説明した。
「さあ、杖を貰う為の聖戦を始めよう」
「この野郎、一撃で片付けてやる!」
大政は怒って槍を出現させ、数本ムラト1世の元に飛ばした。
「簡単に聞くか!」
槍が消滅した。同時に大政も両手を挙げられ行動を封じられてしまう。
「くう!」
「武器を使用して攻めても倒しきらねば何にもなるまい・・・!!」
次郎長はどう打破すべきか悩む。
「う・・・!!」
かよ子は杖を向けようとした。
「待て、山田かよ子、無闇に杖を向けてもお主まで動けなくなるうえに簡単に杖を取られてしまうぞ!」
「あ、ごめん・・・」
かよ子は杖を使うのを止めた。
(またおっちょこちょいやっちゃったよ・・・)
「ははは、もう為す術がないか!纏めてくたばりやがれ!」
ムラト1世が剣でかよ子に攻めにかかる。
(どうしよう、羽根の結界で守る?いや、それでも動けなくなって杖が取られちゃう・・・)
「く、くう・・・!」
「かよちゃん!」
「山田!」
「山田かよ子!」
皆はかよ子を心配して呼ぶも、かよ子はどうするか考えてしまった。ムラト1世から防御をしても動けなくなってしまう。仮に成功したとしても一人一人戦える者が減っていくのみである。
「こ、来ないでーーー!!」
その時、ムラト1世が吹き飛ばされた。
「うご・・・、な、なぜだ!?」
「・・・え、な、何が・・・!?」
「そうか、武装の能力だ!!皆の者、武器を使えなければ能力だけで戦えばよい!」
「そうか!」
「よし、俺がやってやる!」
大野が石を使わずにムラト1世に飛び込み、殴り込んだ。ムラト1世は吹き飛ばされる。
「俺も行こう」
続いて椎名もムラト1世に殴り込む。ムラト1世は剣で応戦するが、その剣も弾き飛ばされた。
「な、こんな事が・・・。我が能力はこれだけではないぞ・・・!」
ムラト1世は立ち上がる。
「ああ、アラーよ、この者達に裁きを・・・!」
「まずいぞ!能力を使う気だ!」
「親分!某が囮になります!」
「石松!」
石松は左目の眼帯を外した。大物主神の能力を利用する。ムラト1世のアラーの能力である白い光と石松の大物主神の能力がぶつかり合う。
「突破するのはこの私だ!」
「某の能力をなめるな!」
アラーの裁きの光が石松を襲う。だが、大物主神の蛇も応戦し、裁きの光を噛み消した。
「今だ!留めを刺せ!」
「うん!」
「おう!」
吉良の仁吉がムラト1世を持ち上げて投げた。ムラト1世は投げられた事で神を操る能力への集中力が途切れてしまった。
「武器を使わぬ肉弾戦なら平気だな!」
そしてかよ子が次郎長の刀に杖を向け、杖を剣に変化させた。ムラト1世の胸を突き刺し、斬る。
「これで終わりだよ!」
ムラト1世は光となって消えた。
「・・・杖を使ったけど、体が動く・・・?」
「ああ、ムラト1世を倒したからであろう。呪いが働かなくなった」
そして動きを封じられていた大政やブー太郎、関根も動けるようになった。
「山田、ありがとうブー」
「お前のお陰だ。礼をする」
「あ、いや、私は・・・」
「でも、お主の武装の能力や石松の能力で倒せたのだ。謙虚になる必要はない」
「う、うん・・・」
その時、かよ子は石松が体力を消耗している様子を見た。
「石松、大丈夫!?」
「あ、ああ・・・」
以前、石松はカール5世との戦いでも神を操る能力を使用した結果、かなり疲弊した事があった。
「私の羽根に乗って!歩ける?」
「ああ、申し訳ない」
皆もまた羽根に乗り、石松を心配しながら進む。
妲己は杯の持ち主の少女を連れて紂王の屋敷へと戻って来た。守衛が出迎える。
「妲己様、お帰りなさいませ。その小娘は一体・・・?」
「ああ、あの坊やの嫁として連れて来た。そしてこの小娘が持っているのが世界で四つしかない最大の能力を持つ道具の一つ・杯だ」
妲己は杯を見せた。
「これが・・・」
「ああ、まあ、この小娘に部屋を一つ貸してやらないと・・・。そして逃げられないように」
妲己は屋敷の中へと入るのであった。
後書き
次回は・・・
「囚われた場所には」
妲己やレーニンに敗れ、拉致されたりえが目を覚ますと、その場所は見知らぬ部屋だった。杯は奪われてしまい、脱出はほぼ不可能な閉鎖的な空間の部屋だった。その部屋でりえはある一人の少年と再会する・・・!!
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