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少女は 見えない糸だけをたよりに

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12-6

 3月になるとくるみちゃんが卒業で居なくなるので、新しいバイトの人を募集していて、採用のほうは私に任すといわれていた。お姉ちゃんは、最近お店のことは全部私に任せっきりで、一週間ごとに報告を聞くだけになっていた。

 ちょくちょくお店に買いに来てくれるお客さんの中で、2年生の大学生がやりたいと言ってくれたので、私は、直ぐに採用した。お姉ちゃんは履歴書の写真を見たと
き、「ふーん」と、言ったきり、なんにも反応しなかったのだ。おそらく自分の好みに合わなかったのだろうけど、私は、そんなことは気にしなかった。反対されたら、お店のことを任せっきりなんだから・・と反論するつもりだった。お姉ちゃんは、そんなことになるのを避けたのだろうと、私は感じていた。

 そして、くるみちゃんの卒業式が近づいた時、お姉ちゃんがくるみちゃんの慰労会を開いてくれて、暁美さん、奈々ちゃんと私、それに新しいバイトの女の子の米原瞳ちゃんが参加して、すみれさんは出れないからって、就職祝いのプレゼントだけを預かっていた。

「くるみちゃん ご苦労様 あなたが頑張ってくれたから、だいぶ助かったわよ。香波とも仲良くしてくれたしね」と、お姉ちゃんが労うと

「いいえー 香波と楽しかったですよ 正直言って 店長だけの時は、怖かったから」

「あら そーかしら 優しくしていたつもりよ」

「ええ だから、余計に なんか怖くて・・ エヘッ」

「そうそう 私も そうだった でも、直ぐに慣れたけどね この人は美人すぎるから冷たい感じするんだとね」と、暁美さんも

「二人とも、そんなこと思ってたのー まぁ あなたは笑顔も素敵だから、ホテルに行っても好かれるわよ ねえ 結婚はまだ先なんでしょ?」

「ハイ 就職も決まったから、しばらくは仕事に集中しまーす」

「そうよねー でも、日曜もお仕事になるんでしょ 彼と会う機会が減るねぇ」

「香波 嫌なこと思い出させてくれるやん そーなんだけど、もう、しっかり掴まえているから平気よ 香波こそ、ちゃんと掴まえておかなきゃだめよ」

「うん 私たちは繋がっているから大丈夫だと思う」

「はぁー さては、ついに繋がったのー?」

「くるみのバカ 変な言い方しないでよ」私、ドキドキしながら、お姉ちゃんの顔を見てしまった。そうしたら、少し、笑っていただけだったけど・・ 
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