八条学園騒動記
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第六百六十四話 連合軍への考えその三
「実にな」
「大暴れ出来てですね」
「マウリア軍相手にな」
「それでマウリア軍は強かったですか」
「兵器の質や和は連合軍とは比べものにならんが」
それでもというのだ。
「勇敢でかつ訓練も充分でな」
「強かったんですね」
「そうであった、戦術もよかった」
「連合軍と違いますか」
「連合軍の戦術は損害を出さないことばかり考えておる」
「それ普通じゃないですか?」
野上君は博士の指摘に怪訝な顔になって応えた。
「戦争は出来る限り損害を出さないで」
「勝つことであるな」
「はい、こっちの軍人さんが無事なら」
それならばというのだ。
「いいじゃないですか」
「それで連合はいつも慎重で無駄のない戦術ばかりじゃ」
博士は面白くなさそうに語った。
「完全にマニュアル化されたな」
「いや、損害が最低限で勝つには」
「マニュアル化されてか」
「それで戦えばいいですよね」
「そこが違う、他の国ではじゃ」
連合以外の国々ではというのだ。
「勝利の為には例え命を賭けてもな」
「いいですか」
「連合軍は命を賭ける時は戦争に勝つ時ではない」
「最低限の損害でいようとするので」
「市民を護る時じゃ、国土とな」
「それも当然じゃないですか?」
野上君はまた怪訝な顔になり博士に返した。
「連合軍は市民の軍隊ですから」
「それでじゃな」
「市民を護らないと」
さもないと、というのだ。
「誰を護るのか」
「連合の領土もであるな」
「はい、絶対にです」
それこそ何があろうと、というのだ。
「市民は護ります、領土も」
「敵は退けるな」
「自分達が盾になっても」
「そうじゃ、連合軍は市民を護ることを念頭に置いておるが」
「敵と戦う時はですか」
「出来るだけ犠牲を出さない様にする」
「そこが博士としてはですね」
野上君は博士の言わんとすることを察して先に言った。
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