××のした人生最大の失敗
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私のした人生最大の失敗
「いってきまーす!」
私、南ことり15歳!今日からお母さんが理事長を勤めている音ノ木坂学院に通う事になったんだ♪
「あっ、楽人くん! おはよ〜」
「ことりちゃん! そうか〜今日から高校生になるのか〜。いやはや早いもんだなぁ」
「あ〜、また子供扱いした! も〜」
「はははごめんごめん」
この優しそうなお兄さんは白瀬 楽人くん。小学校の頃からの幼馴染で家も近いからたまに話したりするの。
今日から通学路が途中まで一緒になったから2人で話しながら歩きます。
それから数分。
「ことりちゃーーん!! おっはよーーー!!!」
「あ、白瀬さん。おはようございます」
「おはよ〜」
「おはよう2人とも」
予め待ち合わせをしていたところで穂乃果ちゃんと海未ちゃんが待っていました。集合する時いつも穂乃果ちゃんは少し遅れて来るはずなのに珍しいなぁ。
「今日は穂乃果ちゃん早いんだね」
「そりゃそうだよ! だって今日は入学式だよ!? 輝かしい高校生活最初の日だよ!? 楽しみすぎて早起きしちゃった!」
「それにしてもみんな無事入学できて本当に良かったね」
「その節はありがとうございました。ほら、穂乃果も」
「ありがとう楽人さん!!」
「どうも」
私たち三人は入学試験前に勉強会をしたんだけど、その時楽人くんも参加してくれたの。彼は大学生だから頭が良くて勉強を教えるのも得意みたいで、成績が怪しかった穂乃果ちゃんの為に手伝ってくれたんだ。
「じゃあ僕はそろそろここで。みんな入学式頑張ってね。」
「うん! またね。楽人くん」
「やっぱり楽人さんって良い人だよね! 優しいし!」
「そうですね。白瀬さんがあの時手伝って下さらなかったら今頃ここに穂乃果がいたかどうか……」
「そんな怖い事言わないでよ! 海未ちゃんのイジワル!」
「あはは」
穂乃果ちゃんと違う学校。考えただけでも嫌です。楽人くんに勉強会の話をして良かったと心から思いました。
────────
「そしたら穂乃果ちゃんが……」
「ほうほう」
入学してひと月。
毎朝楽人くんと出発して前日あった事などを話し穂乃果ちゃんたちと合流、少しして楽人くんと別れる。という流れがお馴染みになってきました。中学の頃は週に数回しか会ってなかったから毎日お話しできるのは嬉しいな。
「それでね……」
ヴーヴー
「おっと、ちょっとごめん」
「うん」
メールが来たらしく、楽人くんは真面目な顔で文章を打ち始めました。せっかくいいところだったのに。むー。
「ふう。久しぶりに仕事が入ったよ」
どうやら仕事のメールだったみたい。
「なんの仕事してるの?」
楽人くんの家庭環境は複雑らしく今は家に1人で住んでいて、学費も1人で稼いでいると前に話してくれた事がありました。それなのに仕事が久しぶりって一体どんな事をしてるんだろう。
「ん? 気になる?」
「うん」
「それはね……秘密〜」
「えぇー!」
「それより話の途中だったよね。その後どうなったの?」
「う、うん。えっとね……」
話を逸らされてしまいました。怪しい……。でもしつこく聞いて面倒と思われたくないから深くは聞かない事にします。危ない仕事じゃないといいけど。
「それで海未ちゃんがね……」
「おはようございます。ことり、白瀬さん。楽しそうに何の話をしているんですか?」
気がつくと待ち合わせ場所に着いていました。今日はまだ穂乃果ちゃんは来てないみたい。
「海未ちゃんおはよ〜。今ね、昨日の昼休憩の話をしてたの」
「アレですか。まったく穂乃果ったら困ったものでしたね。最終的にあt」
「まってまって!まだ途中だから!」
「おっとすみません。過程があっての結末ですもんね」
「うん! それでね……」
「おっはよーー!!みんな聞いて聞いてー!!」
穂乃果ちゃんが来ました。今日はよく話を遮られるなぁ。ふえぇ。
「どうしたのですか?」
「あのねあのね! 雪穂から聞いたんだけど、最近よく原宿に凄いカッコいい人が出るんだって!!」
「そうなんですか」
「見にいってみようよ!! 今日!!」
「なんでですか?」
「気になるじゃん!! なんかね、雪穂が言うには誰かを探してるみたいなんだって!!」
「はあ」
「もし本当に困ってるなら助けてあげないと!!」
「おお、優しいね穂乃果ちゃん」
「えへへ」
珍しく穂乃果ちゃんが凄いやる気を出しています。カッコいい人かぁ、少し気になるなぁ。
「本当にそれだけですか?」
「え?」
「いつもお気楽でのんびりでだらしがない穂乃果が、『困ってそうな人がいるから』なんて理由だけでわざわざ出かけてみようなんて言うとは思えません! 何か別に理由があるはずです!」
「そうなの?」
「べ、別にそんな事ないよ!! 雪穂に『お姉ちゃんももう高校生なんだから彼氏とか作った方がいいんじゃない? 明日原宿のその人でも見てきなよ。何か考えが変わるかもよ? 行ってきたらイチゴのショートケーキあげるよ。2つ。』って言われてそれに釣られたなんて事絶対に無いよ!!」
「それに釣られたんだね」
「俗物的だね」
イチゴに簡単に釣られる穂乃果ちゃん、かわいい!
「…………」
「どうしたの?海未ちゃん」
「ハレンチです……」
「??」
「彼氏だなんてハレンチです!!!」
「えぇ」
「だって彼氏ができたら、ち……チュウをしたりするのでしょう? い、いけません!! まだ私たちには早すぎます!!!」
「そうかな……?」
私は少し気になるけどなぁ。恋愛とかそういう系。
「そもそも! 私は毎日弓道の練習があるので放課後は無理です!」
「あ! そうか! ことりちゃんは今日大丈夫?」
「私は大丈夫だよ」
「よかった! 楽人くんも来る?」
「ごめん、今日は僕仕事があるから」
「そっか。じゃあ放課後は二人で行こうね!」
「うん!」
「じゃあ僕はそろそろここで」
「じゃあね!楽人くん!」
「それにしてもことりは白瀬さんの前だとよく喋りますね」
「そ、そうかな?」
「確かに! 二人とも昔から凄く仲良しだもんね! もしかして実は付き合ってたりして……」
「えぇ!? 私たちはそういうのじゃないよ〜……」
楽人くんは優しくていつも話を聞いてくれて良い人だと思うけど、そういう関係ではありません。私の中ではお兄ちゃん的な存在だと思います。でも、よく考えてみたら結構顔も良いし優しいし……っていけないいけない。きっと楽人くんも私の事、妹のようにしか思ってないと思うから……
その日の放課後、私と穂乃果ちゃんで原宿に行きましたが、そのカッコいい人は見つかりませんでした。でもその代わりにとってもかわいい服を売っているお店を見つけました。放課後で時間があまりなかったので、土曜日にまた来てじっくり回ることにしました。
────────
土曜日、原宿。
先日見つけた洋服屋さんに来ました。穂乃果ちゃんはお店のお手伝いがあり、海未ちゃんは用事があったので今日は1人です。今日は下着も選ぶ予定だったので楽人くんにはそもそも言っていません。
「あっ! これかわいい〜」
右手にフリフリの白ワンピース、左手に手触りの良い薄緑のカーディガンを持って鏡越しに確認する。とても似合う。買おう。
「お客様、そちらのワンピースならこちらと組み合わせても似合うんですよ」
「本当だ! あ! これもいい!」
そんな感じで色々試したりするうちに日が暮れてきました。今日は晩ご飯を家族で食べに行く事になっているので早く帰らないと。
そう思い帰路に着こうとしたその時。
「すみません。少し、いいですか?」
振り向くと凄くカッコいい爽やか系の男の人がいました。一目見て、「この人が穂乃果ちゃんの言っていた人なんだ」と直感しました。
「どうしたんですか?」
「いや、実は……君に一目惚れしてしまったみたいで、つい話しかけてしまったんだ」
「……えっ!?」
「君のようにかわいい子は初めてみました! どうか、一緒にお茶でもいかがですか?」
「え……えーっと……」
どうしよう。こんな事になるなんて思ってなかったから凄いびっくりしました。今日はもう帰らないとご飯の時間に間に合わなくなるんだけど……。でもこんな事って滅多にないと思うし、もしうまくいったらこんなにカッコいい人と付き合えることになるかもしれないし……。私ももう高校生。せっかくのチャンスだし、たまにはいいよね。
そう思い親に『少し遅くなります。ごめんなさい』とメールを送り、
「少しだけ……ですよ?」
そうして私はその人に連れられ喫茶店に入りました。
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