八条学園騒動記
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第六百六十二話 気付けば二本その十四
「最後に原発をやってな」
「遂に終わったんですね」
「連載がな」
「最終回は迎えていないですか」
「そうじゃ、そしてわしはじゃ」
博士はというのだ。
「その漫画は全否定しておった」
「そうでしたか」
「最初からな」
「野蛮で、ですか」
「下品で無教養でな」
それでというのだ。
「主張が全部それでじゃ」
「出鱈目ばかりで」
「何も手本にしなかった」
「食べもののことも」
「フランス風の生牡蠣を食べる時に日本酒を持ってきたらじゃ」
博士は怒った声で語った。
「わしなら即刻じゃ」
「殺しますね」
「わしは普通の者は殺さぬがな」
それでもというのだ。
「そうした奴を見るとじゃ」
「博士なら殺しますね」
「そうする」
本気の言葉だった。
「許せるものか、和食で食べる生牡蠣ならじゃ」
「日本酒ですね」
「それがよいがフランス料理のレストランでじゃ」
「フランス式で食べてる時にですね」
「日本酒を持ち出すなぞな」
「作法にないですね」
「今の連合でもないな」
「フランス料理のお店に日本酒ないですからね」
野上君はそこから答えた。
「イタリア料理にも」
「そうであるな」
「お店にないものは持って来たら駄目ですよ」
「持って来ていい店以外ではな」
「それがマナーです」
「しかしそのマナーをじゃ」
それをというのだ。
「平気で破る」
「まさに野蛮人ですね」
「下品で無教養なな、そして何かあるとすぐに激怒する」
感情を露わにするというのだ。
「それこそ羊肉が臭いというだけでな」
「あの匂いですか」
「マトンのな」
「それを言ってどうかとなってな」
そうしてというのだ。
「羊が美味いと言ったオーストラリア人がじゃ」
「怒ったんですか」
「匂いがあるから嫌と言った日本人にな」
「そこ怒ります?」
野上君は疑問形で返した。
「それだけで」
「普通は怒らんな」
「はい、とても」
「あと山葵を醤油にとかしてな」
「それでも怒ったんですか」
「山葵農家の人がな」
そうした場面もあったというのだ。
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