イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十六話 犬も太るのでその九
「いいわね」
「そうするわね」
「ただあまり無理に運動させてもね」
「よくないわよね、それも」
「嫌がってるのにやらせてもね」
それでもというのだ。
「よくないからね」
「犬でもね」
「そうよ、部活でもそうでしょ」
「嫌々行く部活なんか意味ないわよね」
「そんな部活に行ってる子もいるでしょ」
「みたいね、中には」
咲はその目で見たことはないが聞いている限りで話した。
「顧問の先生が暴力振るったりしてね」
「そんな先生は何時でもいるわね」
「東京じゃましらしいけれど場所によっては酷いらしいわね」
日教組の勢力が強いと問題のある教師がその問題が明らかになろうとも処罰されない、組織が教師を庇い悪事を隠蔽するからだ。
「どうも」
「それが問題なのよ」
「そうよね」
「普通の会社、お役所でも人を殴ったら首よ」
「絶対そうなるわね」
「まして生徒って子供でしょ」
「中学生でもね」
高校生でもとだ、咲は言葉の中に入れた。
「子供よね」
「子供に殴ったり蹴ったりっておかしいでしょ」
「悪いことしたら怒ってもね」
「中には床の上で背負い投げにするらしいけれど」
奈良県では実際にあったことだ、受け身を知らない生徒にそうしたのだ。
「これ傷害罪よ」
「そうなるみたいね」
「柔道の技は畳の上でするものよ」
「床の上でしたら危ないのよね」
「衝撃がまともにくるからね」
身体にだ、受け身を知らないなら後頭部を直撃することすら有り得る。
「だから普通はしないの」
「そうよね」
「それをしてもお咎めなしの部活だとね」
「行かない方がいいわね」
「下手したら死ぬわよ」
暴力を受けてだ。
「それでも行けとか言う親いたらね」
「おかしいのね」
「お母さんもお父さんも言わないから」
そうしたことはというのだ。
「絶対にね、他にも試合で負けて生徒全員に丸坊主にさせてね」
「今時あるのね」
「かもね、それで自分だけ丸坊主にしないとかもね」
「そうした先生もなの」
「絶対に関わったら駄目よ、一般社会でもね」
「駄目なのね」
「だって自分の教え方に問題ないってね」
その様にというのだ。
「思っていてよ」
「丸坊主にしないのね」
「そうだからね」
「試合に負けたのは全部生徒が悪いってことね」
「そうなるわね」
「自分の指導は?」
咲は母に問うた。
「どうなるの?」
「だから絶対に正しいよ」
「そういうことね」
「それで生徒が全部悪くてね」
「負けたのは全部生徒のせいね」
「それで試合に負けた罰という意味でも」
この意味合いもあってというのだ。
「自分はしないでね」
「生徒だけさせるのね」
「そんな先生もいるのよ」
「世の中そんな先生もいるのね」
「そして丸坊主にした生徒さんが少ないと」
母はその場合も話した。
ページ上へ戻る