| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

イベリス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十六話 犬も太るのでその三

「悪いことしたらその場でよ」
「すぐに怒るのね」
「そうしないと駄目よ」
「それが躾ね」
「これは人間でも子供なら同じよ」
「子供も悪いことしたらなの」
「すぐに怒らないと駄目よ」
 その場でというのだ。
「いいわね」
「その場で」
「そのことは覚えておいてね」
「わかったわ」
 咲もそれはと頷いた。
「私も結婚して子供出来たら」
「悪いことしたらよ」
「その場で怒るわ」
「そうしなさいね」
「まあ物凄く先かあるかないかわからないことだけれど」
「そこは縁だから」
 母は娘に微笑んで話した。
「それ次第よ」
「それで結婚するのよね」
「縁を作るのも動いてこそだけれど」
「自分が」
「そう、けれどね」
 それでもというのだ。
「神様もよ」
「用意してくれてるの」
「そうよ、縁はね」
「神様のお仕事なの」
「自分でそれがある様に努力しても」
 それでもというのだ。
「それもね」
「神様のお仕事なの」
「努力した先に縁があっても」
 その場合もというのだ。
「全部ね」
「神様の思し召しなのね」
「そうじゃないかってお母さん思うわ」
「そうなのね」
「モコと会ったのも縁だしね」
「そのことも」
「そう、こんないい娘と出会えたのも」
 このこともというのだ。
「全部よ」
「神様がしてくれたことなのね」
「そう思うわ、それで今はね」
「モコも家族なのね」
「ずっとね」
「私モコと会えてよかったわ」
 咲はそのモコを見て言った。
「本当にいい娘だから」
「癒されるでしょ」
「前のモコが亡くなって半年経ってね」
「お家に来てくれてね」
「何かモコが生まれ変わったみたいだって思ったし」
「その娘多分生まれ変わりよ」
 母は咲の今の言葉を否定せずに述べた。
「前のモコもね」
「やっぱりそうなの」
「犬の種類は違うけれど」
「前の娘は柴犬でね」
「そうだけれどね」
「生まれ変わりなのね」
「生まれ変わってね」 
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「うちにまた来てくれたのね」
「そうよ、前の人生いや犬生の時は咲のお姉ちゃんだったけれど」
「モコの方が先に生まれてたしね」
「そうだったけれど」
「十八歳で亡くなったのよね」
「あんたあの娘が四歳の時に生まれたからね」
「それで私が十四歳の時に亡くなって」
 咲はその時の大往生の時を思い出しながら話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧