急な下痢程怖いものはない
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第一章
急な下痢程怖いものはない
この時若月神楽、黒く腰まである髪の毛を後ろで束ねて上にまとめてうなじを見せていて切れ長の二重で長い睫毛の目に細く長い眉に色白で卵型の顔と大きめの唇を持ち一五九程の背ですらりとしたスタイルの彼女は社内では仕事が出来る女性として評判である。
クールでこつこつと仕事をしていき人当たりもクールで決して感情を見せることはない。それでだった。
飲んでもそれは同じであり。
「若月さんっていつも冷静だよな」
「クールだよな」
「落ち着いていてな」
「怒らないし」
「意地悪いことも言わないし」
「飲んでも乱れないし」
「表情も変わらないな」
同僚達はこう言った、そして。
そんな彼女を有り難く思っていた、しかし。
ある日急にだった、神楽は自分の席で仕事をしていたが。
表情を変えた、その表情は。
「えっ、何!?」
「若月さん様子がおかしいけれど」
「何あの苦しそうな顔」
「この世の終わりみたいだけれど」
「どうしたんだ!?」
「す、すいません!」
神楽は顔を赤くさせ青くさせてだった。
苦悶と恐怖それに焦燥に満ちた顔になり周りに叫ぶ様に言った。
「暫く席を外します!」
「は、はい」
「わかりました」
「そうしてね」
周りは普段と全く違う彼女に驚きつつもだった。
それを許した、すると。
神楽は風それも突風の様な速さでオフィスを飛び出てだった。
戻って来なかった、同僚達はその彼女を見送ってから唖然となって話した。
「な、何があったんだ」
「一体どうしたんだ」
「あれが若月さん?」
「別人過ぎるだろ」
「まさか何かの中毒とか」
「発作とかじゃないよな」
皆不安になった、そしてこうも話した。
「戻ってこないし」
「もう十分以上経つけれど」
「どうしたのかな」
「大丈夫?」
「どうなったのかな」
神楽のことが不安になった、しかし。
三十分位経って戻って来た、するとだった。
普段のクールな彼女だった、そして席に戻っていつも通り仕事をするがその彼女を見てそうしてだった。
周りは唖然としたままだ、ひそひそと話した。
「元に戻ってる」
「いつものクールな若月さんだよな」
「一体何があったんだ」
「さっきのは何だったんだ」
「あのこの世の終わりみたいな感じは」
「ちょっと聞いてみるか」
「若月さん本人に」
こう話して実際にだった。
彼等は神楽に何があったのか聞くと神楽はいつものクールさで答えた。
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