太ったからこそいい
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第二章
「そういうことなんだよ」
「わかったわ、じゃあ今夜も」
「いいのな」
「それではね」
由梨は夫の言葉に笑顔で頷いた、そしてこの夜もであった。
その次の日早苗にスマートフォンで夫が毎晩求める理由をそのまま話した、すると彼女はこう言った。
「ああ、好みね」
「主人のね」
「それでだったのね」
「そうみたいなの」
「何かって思ったら」
早苗はスマートフォンの向こうで言った。
「そうした理由だったのね」
「これがね」
「よくわかったわ、ただね」
「ただ?」
「スタイルも人それぞれ好みがあるのね」
早苗はしみじみとした口調で言った。
「痩せているのが好きな人もいれば」
「主人みたいに太ってる方が好きな人もいるのね」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「今夜もね」
由梨は自分から言った。
「多分だけれど」
「旦那さん求めて来るのね」
「そうなるわ、だからね」
それでとだ、由梨は笑顔で話した。
「若しかしたら子供もね」
「授かるかも知れないのね」
「近いうちに。そうなったら」
その時はというのだ。
「嬉しいわ」
「そうね、あんた達子供欲しがってるしね」
「主人がそれが好きならね」
「いいことね」
「ええ、じゃあ今夜もね」
こう言うのだった、そして実際に小五郎はこの夜も由梨を求め彼女も応じて。
一年後男の子を産んだ、由梨はこの時太るのもいいと思った。
太ったからこそいい 完
2022・6・17
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