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ハッピークローバー

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第二十五話 満足している姉その六

「それって」
「そう、それで沢山の人があっちに行って」
「一人も生きて帰ってないわね」
「地上の楽園だって聞いて行ったら」
 その実はだ。
「この世の地獄でね」
「そこで酷いことになって」
「皆苦しみながら死んだのよ」
「それ私も知ってるけれど」 
 富美子はこれ以上はないまでに顔を顰めさせて述べた。
「最悪な話よね」
「こんな酷い話があるのよ」
「そうよね」
「それで地上の楽園だから行くべきだって言った人はね」
 この帰国事業の旗を振った輩共はだ。
「北朝鮮で帰った人達に言われたのよ」
「実際にあっちに行った人達に」
「言ったことと真逆だ、滅茶苦茶になった自分達の人生どうしてくれるんだって」
「本当に人生壊れたわね」
 富美子もそれはとわかった。
「あんなところに行ったらね」
「人生アウトでしょ」
「この世の地獄だからね」
「もうそれこそね」
「あの国に生まれるだけでも不幸なのよ」
 かな恵達と話していることをそのまま話した。
「そんな国に行ったら」
「もう終わりでしょ」
「地獄に行ったことでしょ」
「そう、それを言ったのよ」
 美奈代にしてもだ。
「お姉ちゃんもね」
「そうよね」
「それでそう言われた人はゴロツキに絡まれたってね」
 その様にである。
「言ってたのよ」
「それも嘘じゃない」
「それであの国に沢山の人達を送った人達はね」
 多くの左翼系の知識人や政治家そしてマスコミが関わっている。
「一人も責任取ってないのよ」
「冗談抜きの極悪人よね」
 ランブルスコワインを飲む手が思わず止まった、そのうえでの言葉だった。
「もうそれこそ」
「それでこんな連中もよ」
「地獄に落ちるわね」
「間違いなくね」
 絶対にというのだ。
「そうなるわよ」
「そうならない筈がないわね」
「閻魔さんに舌抜かれてね」
 またこう言った。
「それでよ」
「それから地獄でお仕置き受けるのね」
「こうした連中こそ本物の悪人でね」
 それでというのだ。
「もうよ」
「報いを受けるのね」
「今の人生がよくても」
 例えそうでもというのだ。
「死んだらよ」
「地獄ね」
「そうなるわよ、絶対にね」
「そうよね」
「今はよくても後がそうなるなんてね」
 チーズを食べてからワインを飲む、そうしてから語った。
「嫌でしょ」
「何があってもね」
「幸せにもね」
 そうにもというのだ。
「なれないわよ」
「そうよね」
「だからね」
 それ故にというのだ。 
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