イベリス
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第五十五話 速水の食事その十
「そのせいで、です」
「沢山の人が亡くなったんですね」
「結核でもです」
「結核は私も聞いています」
「感染した人が多かったんですね」
「沖田総司さんもでしたね」
新選組一番隊隊長として知られる彼の名前を出した。
「それに高杉晋作さんも」
「幕末のその人達もでしたね」
「あと太宰治も」
「そして先程お話した森鴎外もです」
「結核だったんですか」
「それで命を落としています」
「そうだったんですね、脚気に結核なんて」
咲は真剣に考える顔になって述べた。
「あと梅毒も。皆怖い病気だったんですね」
「それで命を落とす人が多かったのです」
「昔は」
「その為平均寿命は今よりも短かったです」
「癌で亡くなるより多かったんですか」
「そうかも知れないですね。病気にならないことは」
速水はこうも言った。
「このことだけでも幸せでしょうね」
「誰もそんな病気になりたくないですね」
「そうですね、病気のことを知ることも大事です」
「その原因や歴史をですか」
「脚気一つ取ってもそうでして」
今メインで話しているこの病気もというのだ、速水は穏やかだが笑うことはなくそのうえで話をしていった。
「小山さんも覚えておいて下さい」
「そうします」
咲も約束した。
「病気にならない為に」
「栄養のあるものをバランスよく食べて」
「脚気もそうですし」
「なりそうなことについては慎重にです」
「梅毒がそうですね」
「梅毒は防げますので」
咲にこうも話した。
「知識を備えて慎重にお願いします」
「そうすべきですね」
「梅毒は性のことで普通は申し上げにくいですが」
「それでもですか」
「今は申し上げます、小山さんもです」
「注意すべきですね」
「感染すると厄介です」
今は助かる病気であるがというのだ。
「これは淋病やクラジミアも同じです」
「梅毒でなくてもですね」
「エイズも然りです、迂闊に遊びますと感染して」
「厄介なことになりますか」
「そうなりますので」
「ちゃんと勉強してですね」
「慎重にお願いします」
こう咲に言うのだった。
「くれぐれも」
「はい、それじゃあ」
咲も頷いた。
「そうしていきます」
「こうした病気は今は国民病、死病ではなくなりましたが」
このことは事実だがというのだ。
「危険であることには変わりがないです」
「だから慎重にですね」
「そうです、結核も栄養をしっかりと摂って身体が丈夫なら」
それならというのだ。
「感染しにくいので」
「しっかりと食べることですね」
「お肉やお魚、お野菜や果物をバランスよく」
「そうして食べることですか」
「しかも沢山です」
量の話もした。
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