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八条学園騒動記

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第六百六十一話 朝に思うことその五

「どうしてもな」
「そうなんですか」
「そうじゃ、それで今回は気付かんかった」
「そうでしたか」
「恐竜と共に暮らしていた時期もあったしのう」
「地球で、ですね」
「カンブリア紀も見てきた」
 生物があまりにも独特の進化を行っていた時代である、アノマロカリス等実に多彩な生きもの達が出て来た。
「そして他の星もな」
「宇宙を巡ってきたんでしたね」
「そうであった、それでじゃ」
「一年はですか」
「その間の変化はな」
「気付かないこともありますか」
「そうなのじゃ」
 こう野上君に話した。
「わしはな」
「それも凄いですね」
「まあ長生きしておるとそうなる」
「長生きってレベルじゃないですね」 
 二百億年となると、というのだ。
「もう」
「人間の感覚ではそうじゃな」
「そうですよ、しかし本当にです」
「同じ商品でもじゃな」
「よくなりますから」
 その品質がというのだ。
「前より美味しいんです」
「そういうことじゃな」
「そうです、お握りもよくなっていますし」
 野上君は自分の朝食の話もした。
「梅干しのを食べたんですが」
「梅か」
「そうでした」
「あれもよいな」
 博士はハムを食べつつ述べた。
「あっさりしておってな」
「お握りにいいですよね」
「最高のおかずの一つじゃ」
「そうですよね」
「あれを白いご飯の真ん中に置く」
「梅干をですね」
「赤いそれをな」
 これをというのだ。
「それで日本の国旗になるな」
「日の丸弁当ですね」
「今はそれだけで食べぬが」
「二十世紀まではそれが普通でしたね」
「うむ、お弁当箱を開けるとな」
 そうすればというのだ。
「全部ご飯でじゃ」
「おかずがなくて」
「そしてじゃ」
「真ん中にですね」
「赤い梅干しが一粒じゃ」
「それがおかずですね」
「そうであった、わしも食った」
 その日の丸弁当をというのだ。 
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