オズのホボ王子
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第八幕その十
「そうなるわ」
「そうですね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「オズの国ではね」
「そんなことはしないですね」
「どの狼も頼りになるね」
そうしたというのです。
「立派な生きもの達よ」
「そうなんですね」
「聡明で誇り高くてね」
「恰好よくて」
「立派よ」
「そうなんですね」
「だからね」
それでというのです。
「ジョージ達もね」
「怖がる必要はないですね」
「何一つとしてね」
「というか狼が怖いならね」
王子は腕を組んで首を少し傾げさせて言いました。
「他の生きもの達の方がね」
「怖いですね」
「そうだよ」
こうジョージにお話しました。
「本当にね」
「何か外の世界の童話ですと」
「狼は怖いね」
「悪くて。それは偏見なんですね」
「それ以外の何でもないよ」
まさにというのです。
「彼等については」
「狼イコール恐怖でも悪でもないですね」
「全くね」
「そうですか」
「悪いものは何か」
王子は深く考える顔でお話しました。
「それはね」
「偏見ですね」
「それだよ、オズの国ではないけれど」
「偏見についてはですね」
「僕も知っているよ」
「そうなんですね」
「一見正義を語って」
そうしてというのです。
「偏見を抱いて何かよからぬことを言う」
「そうした人こそですね」
「悪だと思うよ」
「そうなんですね」
「僕はね」
「ではそうした人こそですね」
「狼でなくね」
むしろというのです。
「そうした人こそね」
まさにというのです。
「悪者だよ」
「そうですね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「そうした人達こそね」
「注意することですね」
「むしろ童話の狼より悪いわね」
王女はお顔を曇らせて言いました。
「本当に」
「そうですね」
ジョージもそれはと頷きました。
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