ハッピークローバー
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第二十三話 安売りだったのでその十
「空気がね」
「違うのね」
「あそこはね」
大阪人から見ると、というのだ。
「巨人の本拠地でもあるし」
「それも大きいわね」
「巨人の人気もよ」
このこともというのだ。
「まだね」
「あるのね」
「もう一番の不人気球団だけれど」
十二球団の中でだ。
「それでもよ」
「東京ではまだなのね」
「地元だからね」
巨人のというのだ、長きに渡って球界を壟断し盟主風を吹かせてきたうえで戦後日本のモラルの崩壊の象徴であった憎むべきこのチームの。
「それでよ」
「東京はまだ巨人ファンが多いのね」
「それでテレビも新聞もね」
マスメディアもというのだ。
「かなりね」
「巨人贔屓なのね」
「そうなのよ」
実際にというのだ。
「それでそこもね」
「大阪人には合わないのね」
「大阪は阪神でしょ」
「ええ」
一華もその通りだと答えた。
「野球はね」
「そうでしょ」
「サッカーはガンバかしらね」
こちらのチームの話もした。
「けれどね」
「野球は阪神でしょ」
「うちだって皆阪神ファンじゃない」
一華は自分達の話もした。
「そうでしょ」
「お父さんもお母さんもね」
「当然私もね」
「それで東京に行ったら」
「やっぱり馴染めないのね」
「うどんも辛いわよ」
「それ有名よね」
一華もそれはと応えた。
「おうどんのことは」
「墨汁みたいにね」
「おつゆが黒いのね」
「お蕎麦が主だし」
「そうそう、そのおつゆも辛いのよね」
「昆布が入ってなくてね」
関西のだしと違ってというのだ。
「それで噛まないのよ」
「飲むのよね」
「喉越しを味わうって言って」
東京の蕎麦の食べ方についても話した、このことを聞いた関西の人間はかなり驚く場合もある。関西では蕎麦も噛むのだ。
「それでよ」
「お蕎麦噛まないの」
「しかも量が少ないし」
母はこのことも話した。
「お蕎麦とご飯を食べることもよ」
「ああ、ないのよね」
「あんたおうどんとかお好み焼きでご飯食べるでしょ」
「何かあるの?」
「それもないのよ」
ワインを飲みながらきょとんとなった娘に話した。
「東京だとね」
「いや、おうどんおかずでしょ」
一華はそれの何処がおかしいという顔で述べた。
「お好み焼きも」
「お好み焼き定食ね」
「お蕎麦だって」
こちらもというのだ。
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