イベリス
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第五十三話 雨の東京その五
「太宰と芥川ってかなり似てるところあるわ」
「そうよね」
「太宰の方が後の人だけれど」
「この二人似てるわね」
「どうも」
「何か太宰が芥川に憧れて」
事実終生憧れていた。
「それで芥川の作品や人生をなぞった様な」
「そんなところあるのね」
「そういえばゲームやアニメでも太宰って芥川敬愛してたわね」
「あっ、文豪アルケミストね」
「文豪ストレイドッグスじゃ逆だったけれどね」
「あの二人ってね」
創作の話もここでしていった。
「やっぱりね」
「太宰ってね」
「芥川にかなり思い入れあって」
「重なるところあるわね」
「そうよね、私どっちの作品も知ってるけれど」
咲も言った。
「太宰ってね」
「芥川に思い入れ強いわよね」
「終生敬愛していただけあって」
「それだけにね」
「凄いあるわね」
「文豪ストレイドッグスだとね」
この作品ならというのだ。
「逆に芥川が太宰に思い入れ強くて」
「敬愛してるわね」
「そっちは逆わね」
「それで文豪アルケミストはそのまま」
「そうなってるわね」
「どっちにしても」
逆のケースでもというのだ。
「太宰と芥川って関りあるわね」
「芥川は太宰のこと知らなかったけれど」
また太宰に詳しいクラスメイトが言ってきた。
「太宰はね」
「芥川をよく知っていたのね」
「もう生涯敬愛していたから」
それも深くというのだ。
「だから太宰のね」
「一方的な思い入れね」
「そうなの」
「そうなのね」
「けれど二人共死んで」
そうなってというのだ。
「あちらではね」
「顔合わせて」
「お互い知って」
そうなってというのだ。
「どうなってるかは知らないわ」
「そうなのね、けれどね」
咲はクラスメイトの言葉を聞いてこう返した。
「別にね」
「別に?」
「悪い関係にはなってないわよね」
「ああ、それね」
クラスメイトもこう返した。
「相性が悪いとはね」
「思えないわよね」
「二人共あまり自信あるタイプでないみたいだし」
「気が弱い?」
「強くないわね」
太宰だけでなく芥川もというのだ。
「自殺してるところからも思うけれど」
「やっぱりそうよね」
「強さを前面に出すとか」
そうしたことはというのだ。
「芥川も太宰もね」
「ないわよね」
「むしろ弱くなれって」
その様にというのだ。
「太宰言ってるし」
「そうなのね」
「それも芥川みたいにってね」
最後の方の作品如是我聞で言っている言葉だ。
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