生の烏賊には要注意
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第一章
生の烏賊には要注意
サラリーマンの山村亨太の趣味は釣りである、その為休日はいつも日の出前に外出して朝早くから釣りを楽しんでいる。
大学のサークルが釣りであったのでそこからのものだが。
「今日は烏賊釣りだったの」
「だから昨日の夜から仕事が終わったらすぐに行ったんだよ」
亨太は家に帰ってから大学生の妹の美優黒髪をショートにしてきてきりっとした顔立ちで一六七あるすらりとしたスタイルの彼女に話した、彼は一七六位の背で痩せていて穏やかな顔立ちで細面であり癖のある黒髪を真ん中で分けている。
「それで夜にだよ」
「釣っていたのね」
「夜にね、面白かったよ」
妹に笑顔で話した。
「烏賊釣りもね」
「そんなに?」
「かなり釣れたからね、それで旅館に帰ってお風呂に入って」
そうしてというのだ。
「焼いたり天麩羅にしたりお刺身にしてね」
「食べたのね」
「美味しかったよ。それでお家にも持って帰ったから」
釣った烏賊達をというのだ。
「晩ご飯にお刺身出すよ」
「そうするのね」
「だから楽しみにしてるんだよ」
「わかったわ、楽しみにしてるよ」
「烏賊もいいよね」
兄は妹に笑ってこうも言った。
「お魚もいいけれど」
「釣る楽しみに」
「それにだよ」
「食べる楽しみもあるのね」
「釣ったお魚を自分で捌いて」
そうしてというのだ。
「食べる。お酒と一緒にね」
「それが最高だっていうのね」
「父さんと母さんの分もあるから」
だからだというのだ。
「一家でだよ」
「楽しみのね」
「そうしよう」
こう話してだった。
亨太は実際に烏賊を捌きにかかった、だがここで。
兄が釣ってすぐに凍らせて解凍させてからそのうえで捌いている烏賊に丁寧に切り身を入れるのを見てだ。
怪訝な顔になって兄に尋ねた。
「凍らしたの」
「そうだよ」
兄の返事はあっさりしたものだった。
「それえ解凍してからだよ」
「捌いているのね」
「お刺身用の烏賊は釣ってすぐに冷凍したんだ」
「すぐになの」
「だって怖いからね」
「怖いって?」
「寄生虫だよ」
妹に包丁を動かしつつ答えた。
「それがいるからだよ」
「寄生虫って」
「烏賊にはアニサキスがいるんだよ」
その寄生虫の名前も出した。
「だから生で食べる時はだよ」
「冷凍するの」
「徹底的に凍らせて」
その様にしてというのだ。
「アニサキスを殺すんだ」
「冷凍殺菌ね」
「それで解凍してから捌くけれど」
それでもというのだ。
「念には念を入れてね」
「それでなの」
「包丁を徹底的に入れてね」
烏賊の身にというのだ。
「寄生虫を切ってね」
「殺してるの」
「若し身体に入ったら胃の中に激痛が走って」
そうなってというのだ。
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