少女は 見えない糸だけをたよりに
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5-8
クリスマスが近づいた時、くるみちゃんが
「カナミ ねえ ねえ 今年のクリスマスはどうすんの?」と、聞いてきた。
「別に 何もないですけどー お店もあるし・・」
「そう ウチな お店終わった後、デートなんだー 北山通のお店でクリスマスディナー」と・・これが、言いたかったんだ。でも、私は
「えー いいなぁー 本格的にお付き合いしてるんですか?」
「うん 今んとこわね でも、食事終わったら、比叡山にドライブに連れて行ってくれるんだって、山頂には行かないで大津に降りるんだって。だからね、どうしょうか、思ってるんだ。一応、つもりして、出掛けるけどね」
「なんですか その、つもりって」
「だからー つもりよ お泊りでも 良いようにね ちゃんと 下着も新しいもの身に着けてね」
「くるみ それって・・」
「そうよ その時の雰囲気でね」
「・・そんな もん なんですかー でも 怖くないのー 初めてなんでしょ?」
「だって いつかは ね もう ウチも二十歳になるのよ」
私も、あの人に会うと一晩中、腕の中で眠りたいと思うかもしれない。その時には、やっぱり特別な下着なのかも知れないと思っていた。
「くるみ 幸せそうね その気持ちわかるかも知れない」
「おぉ 言うのーぅ まだ 小娘のくせして」
「うふっ また 結果聞かせてね 後学のために」
「そんなの わかんないじやぁない 仮りにの話よ という訳で、カナミは 安全牌のゲンイチさんと出掛ければ―」と、無責任なことを言って居た。
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