よく寝てこそ
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第二章
「寝かせたらな」
「いいのね」
「そうだ、むしろよく寝ないとな」
さもないと、というのだ。
「駄目だからな、だから寝ていてもな」
「どうかって思わないことね」
「むしろいいことだってな」
その様にというのだ。
「思ってな」
「そうしてなのね」
「見ていくことだ」
「そうなのね」
「親だからな」
「私達はふわりの」
「ふわりのことをよく知って」
娘である彼女をというのだ。
「そして育てるべきだろ」
「そうよね」
「俺達はあいつ等とは違うんだ」
ふわりのかつての飼い主達とはというのだ。
「あいつ等はふわりを可愛がって一緒にいたんじゃない」
「ふわりはおもちゃでしかなかったわね」
「だからふわりのことを全くな」
それこそというのだ。
「知らなかったんだ」
「もっと言えば知ろうとしなかったのかしら」
「そうだ、そんな連中と違うからな」
自分達はというのだ。
「ふわりそれに犬のことをよく知ってな」
「育てていくべきね」
「親なんだからな、だからよく寝ることもな」
ふわりもっと犬がそうであることをというのだ。
「知ってな」
「そのうえで」
「やっていくことだ」
「そういうことね」
「ああ、それじゃあな」
「これからも」
「ふわりをよく寝かせていくぞ」
身体を動かさせて食べさせてというのだ。
「そうしていくぞ」
「わかったわ」
由里子は夫の言葉に頷いた、そうしてだった。
ふわりが寝ている姿を見た、そしてその姿を見て自然と笑顔になった。そのうえで彼女が寝たいだけ寝かせた。
よく寝てこそ 完
2022・5・25
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