ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士
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第47話 =はじまりの街と教会=
=第1層 はじまりの街=
この街はアインクラッド内最大の都市で、安くポーションや武具類、食物などの冒険や生活に必要なものが手に入るそれだけな
ら群を抜いて「ホームタウンにしたい層ランキング」の上位に入ることは間違いないだろう。でもいまの攻略組みをはじめ中層
プレイヤーなどの知り合いでここをホームタウンにしているプレイヤーはおれは知らない。その理由には上の方が景色が綺麗だ
とか《軍》の横暴があるため対応が面倒だとかさまざまな理由はあると思うけどそれは多分、建前でしかなくここに居座り続け
たらあの時のことを思い出してしまうからだろう…。
2年前、楽しいだけのゲームが死と隣り合わせのゲームに生まれ変わったあの日を…。
「なに、感傷にふけてるのよ」
「いいじゃん、別に」
ユカにつっこまれたがここに来るのは数ヶ月…いや、1年ぶりくらいだから別に俺だってそう感じてもいいと思う。でも今日の
目的はユイを知っている人を捜すためだ、俺が思ってることは後回しでもいいだろう。
「ユイちゃん、見覚えのある建物とか、ある?」
「うーー……」
アスナの問いユイは難しい顔で石造りの建築物を眺めていたが自分の斜め下にあるキリトの頭に目をおろすと横に首を振った。
ちなみに、ユイは今キリトに肩車されてこの中では一番背がでかくなっている。
「仕方ないわよ。ここってものすごく大きいから」
リズの言うとおり結構な大きさのあるアルゲードの2,3倍はあるはじまりの街。入って1歩目でお目当てのものが見つかるとは限
らない。
「あちこち歩けばそのうち何か思い出すかもしれないさ」
「ですね」
「なら…まずは中央広場だね」
サチの指差す方角には例のデスゲーム化したときに集められた場所に続く通路を指していた。確か俺はキリトには世話にならな
いとかいって後からこの通路を走って抜けたんだっけ…。
「リクヤー!置いてくよー!」
「えっ!…ちょっ、待って!!」
どうやら昔のことを思い出していたら先に皆はすでに足を進めていた。さすがにここで迷子になると恥ずかしいので走って追い
つこうとするがそのときにあることに気がついた。
「ここって…こんなに人少なかったか?」
「えぇ…それは私も思ったけど……アスナ、ここって何人くらいの人がいるんだっけ?」
「えっとねお姉ちゃん………何人だっけ、キリト君…」
しばらく考えているアスナだったがそんなに情報があるわけでもなく、しかも攻略の担当だったから下の層の情報もそんなに持
ってないのだろう。顔を赤くしながらキリトに聞いていた。
「そうだな…今生き残ってるのが約6000人、《軍》を含めるとその3割くらいがはじまりの街に残ってるらしいから2000人弱っ
てところじゃないか?」
「その割には…というかまったくといっていいほど人がいませんけど…」
「みんな圏外に行ってるとは考えにくいしね…」
俺もリズの意見には賛成だ。ここに残る=圏外にでて殺されるのが怖いと思っている…というかそれが心を支配している人しか
いないだろう。外に出るやつは大概自分、もしくは親しい人のためか戦いに楽しさを覚えている人だろう。
「マーケットの方にいるのかな…」
「なら行くしかないか」
ということでマーケットに来たはいいもののそこには定期的に同じことを繰り返すNPCとそのNPCが出す店のみが立ち並ぶだけで
プレイヤーは誰一人として歩いていなかった。
「…さすがに上の方は昼間から夕方にかけてフィールド出るって人は多いけどそれにしてもいなさすぎだろ…」
「うん…この静けさがなにか不気味だよね…」
サチの言葉にみんな頷こうとしたところユカに「静かにして」と声小さく怒鳴られてしまい、それに従う。しばらくするといく
つかの場所を指差しながら「そこと…そこ」と口を開いた。
「さっき呼びさしたところから声が聞こえるわ…ということは人はいるわね…」
「お姉ちゃん…なんでそんなもの上げてるの…?」
「結構役に立つのよ?索敵とかも痴漢とかそういうものの対策になるし」
ユカはあまり戦闘用のスキルは上げていない。戦闘面は投剣系のスキルのみで戦ってるし、他は調合スキル、索敵といったサポ
ート系のスキルで結構埋め尽くされているこの世界ではごく稀にいそうな後衛タイプだ。そのおかげで何度助かっていることや
ら…。
「な、なによ…そんなじっと見てきて…」
「いやぁ…羨望の眼差しってやつ?」
いつの間にか凝視していたらしい。というかそれだけで頬を赤く染めないでほしい。
「それが女子ってもんよ」
「無駄な説明ありがとな、リズ」
こんな無駄話をしながらさらに進むと街路樹のそばでしゃがんでいる人に出会いその人から有益な情報を得ることが出来た。どうやら東七区―それがどこかなんて知らないけど―にある教会で子供プレイヤーがいっぱい集まってそこに住んでいるらしい。
あとはその街路樹から落ちてくる実がおいしいってことか。そのプレイヤーはこれを狙っていたらしいけどどうせ換金のためと言っていたため10倍の50コルでそれを買い―まさか5コルだなんて思わないだろ、普通―食べててみたら桃みたいな味がして美味しかった。
川沿いにあると言われたのでその通りに歩いていくと教会が見えた。だがそれに近づくにつれどんどんアスナの顔が暗くなっていくのがわかる。それは多分、ここにいる全員が同じ気持ちだろう。短い期間だが俺たちはユイの兄、姉となりキリトとアスナは父と母になったのだ。家族と離れ離れになるなんて普通考えないし考えたくもない。
「きっとユイは俺たちのこともずっと覚えてて遊びに来るさ」
「リクヤ君?」
「そうじゃなくても俺たちが会いにいけばいいさ」
「…ありがと。慰められちゃったね」
「どういたしましてっと。…教会ってあれか?」
どうやらもう目の前まで来ていたらしい。俺が教会を知らないだけかもしれないが扉から結構でかい。その扉をノックしてみる
も反応はなく、仕方がないので扉を少し開き上半身だけぞろぞろと入るがそれでも反応どころか人影すら見つからない。
「あのー!どなたかいらっしゃいませんかー!」
「………反応なし、ね」
「誰もいないんですかね」
その疑問に答える前にキリトが索敵を発動させていたらしく口を開き人がいる方向とその人数まで答えていた。まだ俺の熟練度
は最近800を迎えたところだからキリトのような芸当は出来ない。正直この修行は地味すぎて疲れるから時々サボってしまうん
だけど…と、考えているとアスナとユカがさらに1歩踏み出した。
「あのー!人を捜しているのですが!」
今度はさっきよりも大きな声でユカが尋ねる。すると、右手の方にあるドアがわずかに開きそこから、か細い女性の声が聞こえ
てくる。
「……《軍》の人じゃないんですか?」
「違いますよ。私たち…上の層から来たんです」
ちょっとの時間が経つとその少し開いた扉の向こうから1人の女性プレイヤーがおずおずと姿を現した。暗青色のショートヘア
で黒緑の大きな眼鏡をかけ、その奥の瞳はいっぱいに見開いているが怯えを孕んでいるのがよくわかる。
「………本当に《軍》の徴税隊でじゃないんですね…?」
「えぇ。いきなりで信じてもらえる、とは思っていませんが…。私たち、人を捜していて今さっき上から来たばかりなんです」
「上から!?ってことは本物の剣士なのかよ!?」
ユカが安心させるように笑顔をその人に見せる。この姉妹、社交性高すぎだろ…と感心しているとおくからドタバタと足音が聞
こえこちらへ数人の人影が駆け出してくるのがわかる。正直、いきなりのことで全員ぽかんとしているか驚いているかだがそん
なことを気にせずに俺たちの元へと集まってくる子供たち。
「こら、あんたたち!部屋に隠れてなさいって言ったじゃない」
だがしかし、聞く耳を持とうとしない。
「なんだよ、剣の一本も持ってないじゃん。ねえあんた、上から来たんだろ?武器くらい持ってないのかよ?」
「い、いや、ないことはないけど」
キリトはいきなり話しかけられ戸惑っている。奥さんとは真反対だな。だが、対応をするとぱっと子供たちの顔が輝き見せて見せてと言い募る。武器を見せてほしいという子供たちはいろんな武器を集めている武器マニアであるキリトに任せるとして…ピナがシリカと子供たちで取り合いになっているのを助けないと…。
「なんだよ、これー!」
「ピナを引っ張らないでー!」
「ストップストップ!!ピナが目回してるから」
一応そう言い一瞬、両者の動きを止める。その隙にピナを言い方は悪いけどその間から奪い取り抱きかかえる。
「なぁ、これってなんなの?」
「こいつはピナっていう俺たちの仲間だ」
「仲間?ペットじゃなくて?」
「ピナのご主人様はこの人だからな」とそのご主人様であるシリカの頭の上に乗せる。優しく撫でるだけならフワフワで気持ちいいのでそれを伝えると今度は触らして触らしてとコールがかかった。シリカはそれに「優しく…ね」と頭の上のピナを抱えてみんなが触りやすいようにする。今度はピナも撫でられて気持ちいいのか「きゅー…」と気持ちよさそうに鳴いている。
「すみません…本当に…」
目の前の女性もそう謝っているが子供たちの喜んでいる姿が見れてうれしいのか顔に笑みを浮かべていた。
「…あの、こちらへどうぞ。お茶の準備をしますので…」
一応サチやアスナは断ったのだがせっかくなのでということで俺たちはお茶をご馳走してもらうことにした。礼拝堂の奥の部屋
に案内された俺たちは淹れてもらったお茶を飲みほっと息をつく。何気に人数が多いので俺とキリトは立っているが…。
「それで……人を探していらっしゃると言うお話でしたけど……?」
「はい。ええと…わたしはアスナ、このひとはキリトといいます。そして…」
バトンタッチされたのでそれを受け取ろう。
「俺はリクヤです。そしてユカ、リズベット、サチ、シリカです。で、そのシリカの肩に乗っているのはフェザーリドラのピナ
っていいます」
と椅子に座っていてその女性に近い順に名前を挙げていく。
「あっ、すいません…名前も言わずに…私はサーシャと言います」
その女性、サーシャさんも頭を下げてきたので俺たちはぺこりと頭を下げあう。最後にアスナが自身の膝の上で座りながら眠っ
ていたユイの頭を撫でながら説明する。ユイと出会った場所やそのときの状況、そして今の状況、ここに来た理由を。それを聞
いたサーシャさんは驚きのあまりか目を大きく見開いていた。
「…この教会には小学生から中学生までの子供たち20人近くが暮らしています。…多分この層にいる子供プレイヤーほぼ全員だ
と思います…」
ゲーム開始時、この世界に居た小学生から中学生の年代の子供たちのほとんどはパニックを起こし、精神的に問題をきたしたら
しい。でもゲームに適応し、この街から出て行った子供も一応は居たらしいがまだまだ親に甘えたい盛りの年代、一人で死と隣
り合わせになる場所で適応できているキリトやアスナ、俺たちのような例の方が絶対に少ない。事実、攻略組の7割くらいは大
人だ。
サーシャさんも一応このゲームに適応、クリアを目指そうとしたらしいのだがある日、街の一角で子供たちを見つけて他にもい
ると思ったらいても立ってもいられなくなり気づいたら大勢の子供たちとの生活が始まったらしい。
「……すごいな…」
「そんなことないですよ…私は先にドロップアウトしちゃったのが皆さんに申し訳なくて…」
「申し訳ないとか思わないでください!」
いきなりシリカが声を上げた。それに引き続きサチも口を開く。
「シリカの言うとおりです。サーシャさんは立派に戦ってます」
その言葉にサーシャさんは礼を言い、話を続けた。彼女はどうやら子供たちを見つけた日から今までの2年間、ずっと毎日1エリ
アずつすべての建物を見て周ってるらしいのだがユイのような子供がいればすぐに気がつくらしい。
「残念ですけど…はじまりの街で暮らしてた子じゃないと思います」
「そうですか…」
「……そういえば…聞いていいですか?」
ユカが断りを入れてサーシャさんが了承したので話を続けるとどうやら毎日の生活費のことについてらしい。これにも快く答え
てくれてどうやらこの辺りでは絶対に安全な年長の子供プレイヤーがいて、その分お金を稼げているから生活していけると言っ
ていた。
「その分…目をつけられているんですけどね…」
「え…誰に?」
「それは……「サーシャ先生!!大変だよ!!」こら!お客様も失礼じゃないの!」
「それどころじゃないんだよ!!」
先ほど、キリトに詰め寄っていた少年が涙を目に浮かべて必死に訴えている。奥を見ると泣いている子もいるらしい。
「ギン兄たちが軍のやつらに捕まっちゃったんだよ!」
「――場所は!?」
先ほどとは別人のようにサーシャさんが少年に訊ねる。どうやら場所は道具屋の裏の空き地でそこで軍の兵士が子供相手にブロ
ックを展開しているらしい。
「わかった、すぐ行くわ!……すみませんがお話は…」
「…俺たちも行くぞ!」
「もちろんです!」
「行かない、なんて言ってたらぶっ飛ばしてたわよ」
とシリカとリズがやる気満々だ。
「で、でも…」
「気にしないでください、サーシャさん」
「これが凛々の自由…よね?」
ユカの口にした《凛々の自由》の名前にハテナを浮かべたサーシャさんだったがこの説明は後でもいいだろう。まずは向かうのが先決だ。
「兄ちゃんの武器も貸してくれよ!あれがあれば軍の連中もすぐに逃げ出すよ!」
などとこの子供たちも大切な仲間を守りたい、という気持ちがヒシヒシと伝わってくる。けど連れて行くわけには行かない。
「――残念だけど」
さすが、というべきかおいしいところ持って行きやがって、というべきかは知らないけどこういった大事な局面で妙に存在感を
出すのはキリトの得意技だ。それにより子供たちも静まり返る。
「あの武器は必要パラメータが高すぎて君じゃ装備できない。俺たちが助けに行くよ。こう見えてもあのお姉ちゃんたちは無茶苦茶強いんだぞ」
お姉ちゃんたちといわれると俺は入ってないのか…と落胆しかけるがこういう面では本当に最強な女性陣だ。納得するしかないだろう。
「わたしたちにもお手伝いさせてください。少しでも人数は多い方がいいはずです」
「…わかりました。お気持ちに甘えさせていただきます」
そういいながらサーシャさんは俺たちに深く一礼すると、眼鏡をぐっと押し上げ俺な心配な部分を使うような言葉を言った。
「それじゃ…すみませんけど走ります!」
「「「「「「はい!」」」」」」
…置いてかれたりしないよね、俺…。
後書き
涙「いやぁ…疲れた!!」
リ「お疲れ。そういえば最近、アンケート結果がよく来るらしいじゃんか」
涙「うん……サラマンダーに1票も入ってないwwみんなオリジナルの方が面白いって思ってるのかな…書こうとしてる自分も面白そうだとは思うけど」
リ「なら決定でいいと思うけど…」
涙「そうなると前みたいな簡単な設定じゃなくて本格的に設定考えないと…能力は中二病発動すれば考えれるから……問題は外見だな」
リ「体にラインが出る、じゃいけないのか?」
涙「今考えたら羽根にみんな特徴が出てる気がするんだ。サラマンダーなら赤、シルフなら緑、ウンディーネなら青、インプなら紫…とかね」
リ「なら…雷って事で黄色は?」
涙「君もわかってると思うけどテイルズで雷って言ったら紫なんだ…魔方陣とかそうでしょ?」
リ「そうだったな…」
涙「こうなったら無理やりにでも作るか!…アイデアあったら待ってます!」
リ「最後は人頼みかよ!」
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