ハッピークローバー
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第二十二話 身体が丈夫ならその十三
「幸せもね」
「その辺りにあるのね」
「身近にね、それでね」
「色々な形で」
「沢山ね」
その数もというのだ。
「クローバーも沢山あるしね」
「四つ葉のクローバーは滅多にないわね」
「けれど三つ葉のクローバーの花言葉もね」
「幸せなのね」
「そう、それでね」
「幸せもなの」
「その辺りにあるの、三つ葉のクローバーと同じでね」
こう妹に話した。
「沢山あるのよ」
「特別なものじゃないのね」
「そうよ、だから幸せを見付けることは」
「簡単ね」
「見付けようと思えば」
その時はというのだ。
「そうかもってね」
「お姉ちゃんは思ってるのね」
「今はね、どうかしらね」
「ううん、わからないわ」
妹は首を傾げさせて答えた。
「難しくて」
「難しい?」
「何かね、幸せがどんなものかって言われても」
「お姉ちゃんもよくわかってないけれどね」
「考えてる最中?」
「実はね」
「それで言ったのね」
姉に対して問うた。
「今こうして」
「そうなの、どうかしらね」
「私わからないわ、けれどお姉ちゃんがそう思うならね」
「私がなのね」
「そうとか?やっぱりわからないけれど」
「私がどうかなのね」
「そうじゃない?まあ嬉しい楽しいならいいわよね」
そう思うならというのだ。
「それじゃあね」
「それで幸せなのね」
「そうじゃない?」
「そうなのね、しかし今はね」
ここでだった、理虹は。
目の前で阪神が負けたのを見た、それで実加に言った。
「不幸せよ」
「残念ね」
「ええ、今日はね」
「こんな日もあるけれどね」
「負けたのは残念ね」
「本当にね」
「こんな時は幸せじゃないわ」
目の前の阪神の敗北を見て憮然となった、この時は理虹も実加も幸せとは思わなかった。それも心からであった。
第二十二話 完
2022・1・15
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